医療貢献学科 言語聴覚学専攻

やさしさと強さを育み、国家資格である言語聴覚士の資格取得をめざします。

言語聴覚学専攻では、ことばや聴こえに障がいのある方を支援する言語聴覚士の資格取得を目標とし、コミュニケーション障害学、医学、心理学、言語学などを学び、専門性と科学的思考力を身につけます。人の痛みに共感し、共に歩めるやさしさや、障がいのある方と社会との間に立ち、障がいへの理解を高め、環境を改善していく強い心、その両面を兼ね備えたコミュニケーション障害学のスペシャリストを育成します。

言語聴覚学専攻の特色

「言語聴覚士」の国家試験
受験資格が取得可能

ことばや聴こえの障がい内容を的確に判断し、訓練計画を立て、言語的コミュニケーション能力の改善を図る言語聴覚士の国家試験受験資格が卒業と同時に得られます。

言語聴覚士、医師、
言語学者らによる専門教育

医療現場で活躍する言語聴覚士、医師の他、言語学や心理学などの専門家も授業を担当。生きた知識や技能を修得できます。新しい評価方法、訓練方法の開発にも挑める人材を育成します。

全国約70施設の実習先で
高い臨床能力と人間性を養う

隣接するAHSMECにある愛知淑徳大学クリニックの他、全国各地の医療機関とネットワークを結んでいます。現場で役立つ知識や技術修得のため、医療機関などでの体験、見学、実習を実施しています。

言語聴覚学専攻の魅力

実習の流れ 高い臨床能力や豊かな人間性を養う現場実習

臨床実習のプロセス

実習レポート学外実習を経験して詳しく読む
  • 学外実習を経験して

  • 患者さんに必要なことを瞬時に見つける、現場ならではの体験

    内木 麻莉子さん

    健康医療科学部 医療貢献学科 言語聴覚学専攻 4年生(岐阜県立大垣北高等学校 出身)2020年度

    実習先

    岐阜県総合医療センター

    検査や訓練の見学や実施の他、脳梗塞などの手術直後や意識障がいのある患者さんの症例も見学させていただきました。どんな検査が適切か、今すべきケアは何か、慢性期ケアにどうつなぐかなど、急性期病院ならではの実習ができました。訓練では、一人あたりの訓練時間が限られる中、短時間で患者さんにとって優先すべき訓練内容を導き出す大切さを経験。そのためには病室での様子を知ったり、訓練時間以外でも積極的に話しかけたりと、患者さんに常に寄り添う姿勢を持つことも必要だと学びました。

  • 学外実習を経験して

  • 患者さんと接する言語聴覚士の姿から、コミュニケーションの鍵を見つけた。

    池田 奈緒花さん

    健康医療科学部 医療貢献学科 言語聴覚学専攻 3年生(2019年度)

    評価実習では、病院で小児領域を担当。主な実習内容は、言語聴覚士の方が検査をするところを見学させていただいたり、カルテを見て患者さんの情報を書きだしたりすることでした。時には、私が検査を担当させていただくことも。学内実習で障がいを持った患者さんと関わった経験はあったのですが、いざ重度の麻痺を持っていたり肢体不自由だったりする患者さんを目の前にすると、「何かあったら大変」と不安になり、関わり方が消極的になってしまいました。このままではだめだと思った私は、言語聴覚士の方の行動を観察し、患者さんが安心できる喋り方や目線などを見て学び、少しずつヒントを見つけていきました。そうして習得した知識や技術を、自分が担当する検査で実践。患者さんとも自然に関われるようになり、実習が終わるころには自信を持って検査できるようになりました。
    また、病院には特別支援学校が隣接しており、患者さんが学校でどんな行動をして、どんな問題を抱えているのかを学校教諭や言語聴覚士、作業療法士などの間で共有する「多職種連携」に取り組んでいました。今後の医療現場において多職種連携は非常に重要な課題となるため、学生のうちにその現場に関われることは、貴重な経験だったと思います。
    今後の実習では、これまでの実習内容に加えて、評価の結果から患者さんが抱える課題を探したり、自分で訓練を考えたりします。また、成人領域を担当するため、検査内容や環境も大きく変わります。評価実習で学んだ患者様との接し方を忘れずに、成人の患者さんに合わせた話題を予習して総合実習に臨みたいです。

  • 学外実習を経験して

  • 学内外の実習から、患者さんとのコミュニケーションの大切さを知った。

    田口 紗希さん

    健康医療科学部 医療貢献学科 言語聴覚学専攻 3年生(2019年度)

    言語聴覚学専攻では、1年次から言語聴覚士が働く現場を1日見学できるのが特徴です。早期から見て学ぶことで、人のサポートができる言語聴覚士のやりがいを再確認。具体的な仕事内容は把握していませんでしたが、将来働く姿が明確になって学修への意識が高まりました。
    2年次後期と3年次前期には学内実習として、学内に患者さんを毎週招き、これまで授業で学んだ検査方法や訓練方法などを実践しました。2年次後期は、発達障害や聴覚障害を持つ子どもが対象。子どもとの接し方を学ぶために一緒に遊んだり、その様子を記録して、それぞれの子どもの症状などを検査しました。3年次前期は、失語症や構音障害を持つ大人の患者さんの症状や障害を導き出す検査を中心に、先生の指導を受けながら、検査結果からその患者さんに有効な訓練方法を考えました。実習において、人生を左右する責任感のある仕事を経験し、改めて身が引き締まりました。
    3年次の夏休みには、学外の病院などで学外実習をおこないます。私は回復期の患者様が多くいらっしゃる病院で、会話している様子を検査する業務を中心に携わりました。質問の答え方によって症状や障害の種類を判断する実践も経験させていただきました。先生方の観察の目は鋭く、すぐに症状や障害を判断していましたが、それができるのもコミュニケーションをしっかり取っているからだと勉強になりました。将来、患者さんのことを理解し信頼される言語聴覚士になるため、私も一人ひとりと話す機会を大切にしようと思いました。

  • 学外実習を経験して

  • 自己開示が患者さんとの距離を縮めることを、身をもって学びました。

    林 花南さん

    健康医療科学部 医療貢献学科 言語聴覚学専攻 3年生(2019年度)

    私は、回復期の患者さんのリハビリをおこなう愛知県済生会リハビリテーション病院で評価実習に取り組みました。
    はじめは言語聴覚士の方の仕事を見学し、少し慣れてきた頃に、患者さんの検査を任せてもらえることに。学内実習で練習を重ねたこともあり検査自体は問題なくできましたが、慣れない現場に緊張してしまい、検査をおこなうことで精一杯になっている自分に気が付きました。検査をおこなう目的は、検査結果を考察し、どうしたら患者さんがよりよい生活を送ることができるかを提案することです。考察までたどり着けていないので言語聴覚士の方に質問をすることもできず、力不足を痛感。悔しい気持ちもありましたが、現場に立つことで初めて自分の実力を知り、今後の課題を見つけることができました。
    また、もともとボランティア活動をおこなっていたため、コミュニケーションには慣れていたつもりでしたが、中にはなかなか打ち解けられない患者さんも。それでも根気よくコミュニケーションをとったり、言語聴覚士の方を観察したりするうちに、相手に質問するだけではなく自分の話もして自己開示をすることで心を開いてもらえることを、身をもって学びました。家族や友達のこと、趣味の話など、私自身のことを打ち明けることで患者さんとの心の距離が縮まったように感じます。
    言語聴覚士の方が担当する患者さんの経過観察をする中で、脳梗塞の後遺症で食事や喋ることができなかった方が、1か月間のリハビリを経て、退院時には普通のコミュニケーションがとれるようになったことに感動しました。ご家族の方も驚いており、言語聴覚士の方が感謝されているのを見て、私もたくさんの人に感謝されるような、患者さんとご家族の気持ちに寄り添える言語聴覚士になりたいと思いました。

授業紹介

臨床演習(基礎)

3つの領域(成人、小児、聴覚)について、症例協力ボランティアの方に来校していただき、検査や評価、訓練計画の立案、訓練の実施といった医療現場での流れの基礎を経験します。授業は少人数のグループに分かれて実施し、領域や症状をローテーションしながら実践的に学修。2年次後期と3年次前期の2期かけて全領域・症状について学びます。

  • 授業紹介
  • 授業紹介
TOPICS詳しく読む
実習(症例)報告会

1回の学外実習では、1カ月から2カ月の長期にわたり実際の医療現場で患者さんに接し、実際に検査や言語訓練を経験します。実習後には学外実習で経験した症例や検査、訓練などを発表する機会を設けています。実習後の学生にとっては自身の実習を振り返り理解を深める場に、実習前の学生にとっては自身の実習をイメージする場として、貴重な時間となっています。


  • 実習(症例)報告会

  • 実習(症例)報告会

施設紹介詳しく読む
聴覚検査室

防音ブースが設置された実習室で、現場で実際に使用されているさまざまな検査機器を用いて実習をおこないます。

  • 施設紹介

発声・発語分析室

音声を音響信号として捉え、グラフ化する機器を設置。「音響学」の授業などで使用します。国家試験の科目でもある音響について具体的に学べる場です。

  • 施設紹介

小児集団言語訓練室

子どもの言語訓練の実習をおこなうための訓練室です。感覚統合を促すさまざまな遊具を設置し、子どもの行動を専門的視点から観察する力を養います。

  • 施設紹介

卒業生の声多くの先輩が、言語聴覚学専攻から羽ばたいています。 詳しく読む
  • 卒業生の声

  • さまざまな経験を自信にかえて。言語聴覚士になる思いと向き合いながら過ごした4年間

    卒業生

    田口 紗希さん
    健康医療科学部 医療貢献学科 言語聴覚学専攻 2020年度卒業
    (愛知県立名古屋西高等学校 出身)
    就職先:社会福祉法人 石川整肢学園金沢こども医療福祉センター

    言語聴覚士という職業を知ったのは高校生の時。愛知県内の大学で唯一1年次から資格取得に向けたカリキュラムが整っていたことに惹かれて本学へ進学しましたが、覚えるべき知識の広範さ、講義や実習の多さなど、想像を超える大変さに圧倒された4年間でした。学内実習で症例協力ボランティアのお子さまと上手く関われなかったり、レポートが再提出になったりした時は、自分は言語聴覚士に向いていないのではと悩みました。それでも、学外実習やボランティア経験を積み重ね、先輩方の話を聞くうちに言語聴覚士になるという気持ちは自然と固まっていきました。小児領域に進むと心が決まったのは、小児領域の療育医療センターでおこなった学外実習。子どもたち一人ひとりのリズムを大切に言葉がけをする言語訓練の様子にやりがいを感じ、もっと学びたいという思いを強くしました。まだまだ知識や技術は足りません。まずは言語聴覚士としてのスタートラインに立ち、少しでも快適なコミュニケーションが叶うよう、患者さまとそのご家族を支えていきたいです。

4年間の学び(2021年度)

1年次から全員が国家資格取得をめざすカリキュラム。
体験学習を多数取り入れ、実践力と科学的思考力を身につけていきます。




カリキュラム(2021年度)

※今後(上記の)カリキュラムは変更になる場合があります。

時間割例

3年次前期

時間割例

学内実習で知識と技能を実践的に修得。学外実習に向けての準備を進めます。

『臨床演習(基礎)2』では、患者さまに協力していただき臨床経験を積みます。『臨床演習(応用)1』では、症例検討を通して、専門分野ごとに学んできた知識や技能を融合させて実践力を高めていきます。学外に実習に出る前に、学内で実践力を養う科目を多数開講しています。

資格・免許

取得できる資格・免許
  • 言語聴覚士(国家試験受験資格)
言語聴覚士国家試験合格率(2020年度)

68.6% (合格者24名/受験者35名)

就職

主な就職先

*印は小児領域中心の職場です

  • 北海道立子ども総合医療・療育センター*
  • 学校法人慈恵大学 東京慈恵会医科大学附属病院
  • 国立大学法人信州大学 信州大学医学部附属病院
  • 学校法人愛知学院 愛知学院大学歯学部附属病院*
  • 社会福祉法人恩賜財団済生会 愛知県青い鳥医療療育センター*
  • 独立行政法人国立病院機構 東名古屋病院
  • 日本赤十字社 名古屋第一赤十字病院
  • 愛知医科大学病院
  • 学校法人藤田学園 藤田医科大学病院
  • 学校法人愛知淑徳学園 愛知淑徳大学クリニック
  • 国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
  • あいち小児保健医療総合センター*
  • 公立大学法人名古屋市立大学 名古屋市立大学病院
  • 地方独立行政法人 岐阜県総合医療センター
  • 社会福祉法人 土岐市社会福祉協議会 土岐市幼児療育センター*
  • 鈴鹿市療育センター*
  • 地方独立行政法人 三重県立総合医療センター*
  • 社会福祉法人恩賜財団済生会 静岡済生会総合病院 静岡済生会療育センター令和
  • 国立大学法人金沢大学 金沢大学附属病院
  • 京都府立聾学校*
  • 学校法人関西医科大学 関西医科大学附属病院
  • 社会福祉法人北九州市福祉事業団 北九州市立総合療育センター*