随想

感受性(平成15年度 『大学だより』より)

学長 小 林 素 文

 ようこそ愛知淑徳大学へ。在校生・教職員こぞって皆さんお一人お一人を心より歓迎いたします。
 皆さんは今日から、制服から私服に変わり、生徒から学生と呼び方も変わります。そのことは与えられたことをこなしていくことから、自らが選択していくことを意味します。大学生活は受け身であってはなりません。
 自分が自分らしく生きていくために、何をすべきか、何を選択すべきかを、感受性を高め見極めていってほしいと存じます。そのことが卒業後の皆さんの未来を豊かにするのだと確信するからです。
 最後に、茨木のり子さんの作品を紹介します。有意義な大学生活を送って下さい。

自分の感受性くらい

ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮しのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性ぐらい
自分で守れ
ばかものよ