報告

2011年12月18日

福祉貢献学部 学術講演会 明石徹之氏・明石洋子氏 講演

福祉貢献学部 学術講演会 明石徹之氏 講演「ありのままにあたり前に地域に生きて」~そして僕はひょうきんな公務員になった~ 明石洋子氏 講演「自立への子育て」~自閉症の息子と共に理解と支援の輪を広げて~

互いの違いを認め理解し合い、共に"自分らしく"生きる。
そのための福祉のあるべき姿を見つめる講演会となりました。

 福祉貢献学部は、社会に貢献することはもちろん、福祉に関する新しい提案ができる人材の育成をめざしています。そこで学生たちが実社会のさまざまな事例から学びを深め、福祉に対する考えを広げることができるよう、12月18日(日)に学術講演会を開催しました。講師としてお招きしたのは、自閉症でありながらも公務員として働く明石徹之氏と、お母様であり、社会福祉法人あおぞら共生会 副理事長を務める明石洋子氏。会場には福祉貢献学部の1年生を中心とした学生たちや地域の方々が集まり、登壇されるおふたりをあたたかい拍手で迎えました。
まず初めに、「ありのままにあたり前に地域に生きて ~そして僕はひょうきんな公務員になった~」と題して明石徹之氏が講演しました。「どうしても高校に行きたい!」という目標を実現して高校生活を楽しんだこと、作業所などでさまざまな仕事に励んだこと、猛勉強して公務員試験に合格し、明るく元気に働いていること。会場の皆さんがやさしい笑顔で見守る中、ご自身の幼少の頃から現在までの出来事や思いをハキハキと話してくださいました。

 明石徹之氏の元気あふれる講演の後、明石洋子氏が「自立への子育て ~自閉症の息子と共に理解と支援の輪を広げて~」というテーマで子育てやさまざまな活動について語ってくださいました。洋子氏はわが子が地域の中で自立し、地域の人と共に生きていけるよう、「"人が好き"になる子に」「自己決定できる子に」「地域の人から支援をうけて」をモットーに子育てをしてきました。お話の中で、幼い頃からの水への興味を活かして掃除を得意にさせたことや、"具体的""視覚的""肯定的"に伝えて"できること"を増やしていったことなど、徹之氏とのさまざまなエピソードもご紹介くださいました。「自閉症について多くの人が誤解をしています。最も大きな壁は、人の"心のバリア"。それをなくすために、多くの人と積極的に交流し、ご理解いただき、徹之の"地域の中で生きる力"を育んできました。福祉を学ぶ皆さんにも、正しい知識を身につけ、それを社会へ広げてほしいと願っています」と力強く語りました。

「障がいの有無に関わらず、"自分が何をしたいか"という意思が育った子は、主体性、自主性が育ち、社会で自立します。だからこそ、本当に必要なのは一人ひとりの"思い"に寄り添う支援。社会の中で"自分らしく生きる"ための支援です」と福祉に対する考えを語ると、学生たちは思いを受けとめるようにその言葉の数々を真剣なまなざしで書きとめていました。

すべての人が互いを理解し合い、ありのままを受けとめ合いながら共に"自分らしく"生きていく。こうした社会に向けてどう行動していくのか、考えを深め、新たな道筋を見出すきっかけとなった今回の学術講演会。福祉を志す学生たちにとって、愛知淑徳大学の理念「違いを共に生きる」をより深く実感し、その実現をより具体的にめざす一歩となりました。