報告

2014年08月27日

ソーシャルワーカーデー2014 inあいち [権利擁護とソーシャルワーク]

ソーシャルワーカーデー2014 inあいち[権利擁護とソーシャルワーク]

平成26年7月13日(日) 星が丘キャンパス 記念講堂

誰もが自分らしく生きるために――
ソーシャルワークの意義を学び合いました。

 すべての人が“自分らしい”生き方を楽しみ、笑顔に満ちた毎日を送れるように、福祉のさまざまな現場で活躍している専門職がいます。それが、ソーシャルワーカー。社会福祉士や精神保健福祉士などの国家資格を持ち、福祉を必要とする人の相談に応じ、安心して暮らせる地域づくり、社会づくりに励んでいます。認知症高齢者の在宅生活、障がいのある人や生活困窮者などの地域生活、子どもなどへの虐待防止……さまざまな生活課題が増える現代、その解決をサポートするソーシャルワーカーへの期待はますます高まっています。

 こうした社会の要請に応えるために、本学の福祉貢献学部は、社会福祉士と精神保健福祉士の資格取得に対応したカリキュラムを充実させています。福祉の専門性だけでなく“福祉マインド”も培うことを目標に、ボランティア活動や外部講師の講演会など、地域や社会の今を肌で感じる機会を豊富に用意しています。その一環として、7月13日(日)に星が丘キャンパスで開催されたのが、愛知県社会福祉士会、愛知県医療ソーシャルワーカー協会、愛知県精神保健福祉士協会などが共催した「ソーシャルワーカーデー2014 inあいち」。ソーシャルワーカーの活動を推進・普及するイベントであり、全国各地で実施されています。福祉を学ぶ学生や現役のソーシャルワーカーなどによる講演がおこなわれ、会場には学生や現役ソーシャルワーカーなど約220人が集まりました。
 開会式では福祉貢献学部の瀧誠先生が「福祉を必要とする人の権利やソーシャルワーカーの関わりなどについて、大いに学び合い、語り合って、互いに連携を深めましょう」と挨拶。続くプログラムでは、「権利擁護とソーシャルワーク」というテーマのもと、ソーシャルワークの現状や課題、今後の可能性などが議論されました。参加した学生たちにとって、“誰もが生きやすい社会を支える”というソーシャルワーカーの原点や魅力をあらためて知り、向学心をさらに高める機会となりました。

第1部「ソーシャルワーカーの魅力を語ろう」

 ソーシャルワーカー数年目の若手3人と、ソーシャルワーカー志望の学生3人が、福祉の道を志したきっかけ、仕事・学びでのエピソードなどを語り合い、会場に集まった人たちと共にソーシャルワーカーの魅力を再確認しました。
 本学 福祉貢献学部4年の池内瑞姫さんも、スピーカーとして登壇。精神保健福祉領域のソーシャルワーカーをめざしてどんな目標を立て、何を学んでいるのかなどを、精神保健福祉援助実習での経験を交えて語りました。「大学で福祉の多様な領域を学び、興味を抱いたのが精神医学でした。広い視野を持ち、患者さまに安心感を持っていただけるようなソーシャルワーカーになりたい。そう考え、地域活動支援センターやデイケアなどでの実習では、利用者の方や職員の方の話を“聴く”ことに重点を置き、積極的にコミュニケーションをとりました」と池内さん。トークセッションでは現役の精神保健福祉士の方に「他職種との連携ではどんなことが難しいでしょうか?」と積極的に質問。その方は「たとえば看護師は患者さまの身体面からケアを考え、精神保健福祉士は患者さまの精神面からサポートを考えます。“患者さまのために!”という目標は同じでも、そこへ向かうための意見がぶつかってしまうこともあるのです。だから互いの意見に耳を傾け、よりよい方法を一緒に探る姿勢が大切になりますね」と、柔軟な思考や広い視野を持つことがチーム医療には重要であることを語りました。こうした答えを受け、池内さんは大学で幅広い教養の修得にも努めていることを話しながら「福祉に関することに限定せず、自ら学び、体験したことのすべてが、将来の糧になると思います」とコメント。講演会の締めくくりとして、さまざまな視点から“その人らしく”ある支援を考え、本気で取り組めることがソーシャルワーカーの魅力であると結論づけられると、賛同するような大きな拍手が会場を包みました。

 人の役に立つ仕事に就きたいと考え、社会福祉士と精神保健福祉士の国家資格取得をめざし、愛知淑徳大学に入学しました。高校生の頃までは、福祉=介護という偏ったイメージがありましたが、学びを深めるにつれて、福祉には児童、高齢者、障がい者、精神保健、地域など幅広い分野があることを実感。ボランティアサークルに所属し、地域のさまざまな人と積極的に関わり合いながら、福祉の専門性を深め、視野を広げていきました。福祉を学び、“自分らしさ”“人生”を真剣に考え、自分自身の幅も広がったと感じています。そうした学びや経験を活かして、今回、ソーシャルワーカーデーのスピーカーとして参加でき、推薦してくださった瀧先生、同じ舞台に立った方々に心より感謝しています。トークセッションでは臨機応変に考え、話しながら議論を展開していく大切さを学び、思考力や主体性、行動力などが鍛えられたと感じています。この経験を糧にし、福祉の現場に立ったとき、“その人らしさ”を大切にしたサポートができるよう向上し続けたいと思います。

第2部「権利擁護とソーシャルワーク」

 名城病院、守山区障害者基幹相談支援センター、愛知ぱあとなあセンターの方々が「権利擁護とソーシャルワーク」について、それぞれの観点から現状や課題などを報告しました。そもそも社会福祉における権利擁護とは、虐待や経済的被害などの権利侵害からの保護に限らず、“本人らしい生活”“本人らしい変化”を支えるという“積極的権利擁護”に広がっています。「病院ではチーム医療の当事者意識を高め、患者さまのバックグラウンドを理解し、問題状況を共有して対応したい」「本人の思いを聴き、“自己選択・自己決定”の支援に努める」「本人の意思決定を支援し、地域の支え合いのなかで成年後見人制度などを活用」などの意見が深められました。ソーシャルワーカーは一人ひとりの幸せな暮らしをどう支えていけばいいのか。ソーシャルワーカーデー2014 inあいちで議論されたことを、参加者がそれぞれの現場で考え、行動していくことが、希望に満ちた未来への確かな一歩になるでしょう。