報告

2014年12月04日

文学部講演会「教養を身につけるための英語教育」

文学部講演会「教養を身につけるための英語教育」

平成26年10月24日(金) 長久手キャンパス ミニシアター

英語修得のために必要な要素を
イギリス文学を通じて見つめ、学習法を学びました。

 文学部では外部講師による講演会を定期的に開催し、学生たちの学びに対する視野を広げています。10月24日(金)には、今年3回目となる文学部講演会を開催。東京大学教育学部教授であり、幕末以来の英学史論者、そして英語教育論者として活躍する斎藤兆史先生をお迎えし、「英語学習法」について語っていただきました。演題は「教養を身につけるための英語学習法」。近年変化する英語教育を取り巻く環境や考え方を取り上げ、さまざまなメディアを活用しながら、学生たちに英語を身につけるために必要な「土壌」についてご教授いただきました。

"教養英語"vs"実用英語"?! 英語を修得するために必要な要素とは?

 「英語教育の歴史をたどっていくと、現在の英語教育の中心は"いかに円滑なコミュニケーションを取るか"に重きをおいた"実用英語"にあることがわかります。文法や訳読をメインの学習方法としてきた"教養英語"を否定するような流れがありますが、果たしてそうでしょうか」と学生たちに問いかけた斎藤先生。スヌーピーのキャラクターでお馴染みのアメリカのマンガ『ピーナッツ』を取り上げ、「この英語で書かれた四コママンガを理解するために必要な要素はひとつではありません。文法の知識、語彙力、語用論的知識の他に教養が必要です。そもそもなぜこのマンガはおかしいのでしょう。クスっと笑うためには、セリフ内の"オリバー・ツイスト"が何たるかを知っている必要があります」と学生たちの興味を喚起しながら、話を進めていきました。

疑問を持ち、調べ、主体的に英語を学ぶことの大切さ。

 『オリバー・ツイスト』とはイギリスの長編小説で、主人公で孤児のオリバーが「おかわり」を哀願し、救貧院を追放されるシーンはとても有名でイギリス中に知られています。学生たちはこのシーンをドラマ、映画、ミュージカルなど、さまざまな形態で鑑賞したあと、原書を訳読。古典的な英語学習方法とされる訳読を通じて、語彙や構文、慣用表現などを学びました。

 「英語を身につけるためには、自ら読み、書き、理解することが必要不可欠です。とても地道な作業ですが何度も反復練習する中で、文法の理解が乏しいのか、単純に知らない単語が多いのか、"自分は何がわからないのか"が見えてきます。それが英語を修得するための第一歩です。今日一緒に勉強したように、原書をたくさん読み、疑問を持ち、辞書などを活用して自分で調べて、学びを深めてください。」と斎藤先生は学生たちに力強いメッセージを贈り、講演会を締めくくりました。英文学を活用して英語学習法を見つめた学生たちは、自ら調べ身につけていくという学びの原点に立ち返り、英語力の向上にいっそう励んでいくことでしょう。