報告

2014年12月08日

三浦しをん in 愛知淑徳大学「しをん物語の世界」

三浦しをん in 愛知淑徳大学「しをん物語の世界」<br />

平成26年10月20日(月) 長久手キャンパス 7号棟 741教室

書くことで、次が見えてくる――
人気作家の創作活動に迫るトークイベントを開催。

 ユニークな分野にスポットをあてた小説や、ユーモアにあふれるエッセイなどを発表し続ける、三浦しをん氏。若者を中心に多くの読者から支持を集める人気作家の一人です。2006年に直木賞を受賞した『まほろ駅前多田便利軒』、2012年に本屋大賞1位を受賞した『舟を編む』など、生み出した作品が次々と映像化・漫画化するなどメディアミックスされ、そのオリジナリティ豊かな世界は人々を惹きつけてやみません。

 10月20日(月)には本学に三浦氏をお招きし、メディアプロデュース学会主催のトークイベント「しをん物語の世界」を開催。第一線で活躍する三浦氏のお話を聞こうと大勢の学生が集まり、会場となった大教室はあっという間に満席となりました。三浦氏とともに登壇したのは、代表学生5人。それぞれ文学部英文学科、心理学部、メディアプロデュース学部、交流文化学部と所属学部は異なりましたが、全員が三浦氏の大ファン。彼らの質問にお答えいただくというスタイルで、三浦氏にご自身の創作活動について語っていただきました。

 大学時代に多くの小説を読み、出版業界をめざして就職活動に励んでいたという三浦氏。ある出版社に提出した作文が高く評価され「小説を書いてみたら?」と勧められて、初めて"書き手"の道に進むことを意識したそうです。「はじめは、どんな作家をめざしていましたか?」という学生の問いに、三浦氏は「自分がどういう作品を書きたいのか、最初は見えていませんでした」と告白。「素晴らしい!と夢中で読んだ作品の数々と自分の作品を比べ、なぜ私には"理想とする小説"が書けないの!?とデビュー当初は試行錯誤の積み重ねでした。でも、理想と実作を近づけたい!と工夫し続ける日々は、苦悩ではなく、楽しさに満ちていました。書くたびに新たな課題を見つけ、どう乗り越えようかワクワクしていたのです。書くことによって、次に自分が書きたい作品が見えてくる、そんなふうにして、作家としての道を歩んできました」と語った三浦氏。学生たちは「書きたい!」という純粋な意欲や好奇心、チャレンジ精神が、創作の大きな力になることを学びました。
 三浦氏は笑いを交えながらトークを進め、話題はストーリーの組み立て方、取材方法、登場人物の個性の生み出し方などにも広がりました。学生が「学生時代にやっておくべきことは何ですか?」と質問すると、三浦氏は「学生だから、社会人だからと考えず、自分がやりたい!と思うことをやればいい」とアドバイス。興味のおもむくまま何事にも挑む"今"が積み重なって、自分のめざす未来が開かれる――その体現者ともいえる三浦氏の言葉の数々は、学生たちが新たな一歩を踏み出すチカラになるでしょう。