成長

2017年12月27日

アナウンサーから、僧侶、住職の道へ。伝える力を磨きながら、人や社会と向き合います。

vol.49

文学部 国文学科OG [1989年度卒]

学生時代、アナウンサー時代に、「社会と広く向き合う力」を伸ばしました。

 実家はお寺で、幼い頃から後継ぎとしての期待をかけられて育ちました。祖父母や両親の気持ちに応えたいと思う半面、プレッシャーを感じていた私にとって、自分らしさをのびのびと開放できたのが学校でした。愛知淑徳中学・高校で友達と一緒に勉強や活動などに励み、「自分で見て、聞いて、感じ、考え、伝える」力が鍛えられたと思います。進学したのは、愛知淑徳大学 文学部 国文学科でした。日本の文化や文学、言葉などを幅広く学び、ゼミでは演劇史を研究。中高時代、演劇部に所属していたため、日本の舞台芸術について楽しみながら知識を深めました。また、大学時代は父の仕事の関係で、インドネシア、中国、チベット、インドなどの仏教遺跡の発掘調査に携わり、各地で異文化にもふれました。さまざまな学びや経験を重ねた日々は、自分と向き合う貴重な時間。このまますぐに僧侶になるのではなく、多様な世界があることを知っておきたいと考え、大学卒業後はラジオ局に就職しました。「2年間だけ」という約束を父と交わし、アナウンサーとして働きました。いろんな場所を取材し、多様な方々のお話を聞いて、社会を広く見渡すことができました。それが、僧侶となった今の私にも役立っています。

一人ひとりが自分らしく生きるヒントを、伝えていきたい。

 住職になったのは、父が急逝した後の2011年からです。葬儀や法事などのほか、祖父と同じ仏の教えを伝える説教師をめざしました。鍛えられた声に選りすぐりの言葉で、御釈迦様、阿弥陀如来、親鸞聖人の教えを丁寧に話すことを自分のいただいた役目と受け止め、聞き手が興味を持つように、世相を織り交ぜて伝えるように心がけています。お説教の内容を考える上で、学生時代やアナウンサー時代に広げた見識を活かしています。若い世代の人たちにもお寺や仏教に親しんでもらい、よりよく生きるヒントを多くの人に届けていきたいと思っています。
 人は一人ひとり、願われて生きている、かけがえのない存在です。愛知淑徳大学で学ぶ後輩の皆さんも、「淑徳魂」というたくましい根っこを心に育てながら、自分自身が願う明日へと歩んでいってください。若い頃は多くの壁にぶつかるでしょうが、大丈夫。皆さんが輝く居場所は必ず見つかりますよ。

アナウンサーから、僧侶、住職の道へ。伝える力を磨きながら、人や社会と向き合います。