成長

2019年08月29日

店と住まいが美しく調和した商店街づくりが目標です。

vol.56

現代社会学科 都市環境デザインコース(現・創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻)OG [2004年度卒]

発端は「商店街がなくなってしまう!」という危機感。

 私は名古屋市西区にある「円頓寺商店街」に生まれ、育ちました。実家は商店街の中にある「化粧品のフジタ」。1913年(大正2年)に創業した老舗です。
 日本各地の商店街は戦後の復興期から高度成長期にかけて数を増やしてきましたが、百貨店の台頭、大型ショッピングセンターの郊外出店などが進み、商店街を中心とする市街地は空洞化していきました。近年では、インターネットのECサイトで気軽に買い物ができる背景も商店街が活気を失うひとつの要因でしょう。
 そんな中、2000年頃でしょうか。ふと商店街に出ると、お客さんどころか人自体がいないことに私は強い危機感を覚えました。「このままでは商店街がなくなってしまう!」。この危機感がいま取り組んでいる活動の発端となったのです。

店と住まいが美しく調和した商店街づくりが目標です。

店と住まいが美しく調和した商店街づくりが目標です。

空き店舗オーナーと空き店舗を借りたい事業主をマッチング。

 愛知淑徳大学では、現代社会学部 都市環境デザインコース(現:創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻)で学び、卒業論文では円頓寺商店街について執筆しました。その後、同コースの実習助手を担当し、まちづくりコンサルタント会社に就職。2018年に那古野地区の店舗開発を行う「ナゴノダナバンク」を法人化しました。
 ナゴノダナバンクは那古野地区を魅力ある街に再生するため、空き店舗の有効活用を考えているオーナーさんと新規開業を考えている事業主さんの双方を橋渡ししていく役割を担っています。その他にも空き店舗を活用するためのプランニング、店舗の維持・改善の提案などを建築家と一緒に推進しています。
 当時はこのような橋渡し役がいなかったので、空き店舗のオーナーさんも「こんなに古い店舗を借りてくれる人がいるのか?」と懐疑的でしたし、空き店舗を借りたい事業主さんも、どこに問い合わせればいいのか分からない状態でした。そこで私たちが間に入り、双方の希望を聞きながらマッチングしていくことで、空き店舗問題も徐々に解消していき、円頓寺商店街に活気が戻ってきました。

商店街の活性化の次は、商店街の「質」が問われる段階へ。

 現在は円頓寺商店街の知名度も上がり、空き店舗の情報もこちらから集めなくてもオーナーさんから積極的にいただけるようになりました。ただ、人気が高まることで需要が増えてしまい、必然的に家賃が高くなってしまう課題も出てきました。また飲食店が増えてしまうことで、商店街のバランスが保てなくなること、住まいと店のバランスも気になるようになりました。私は商店街というのは観光地ではなく、あくまでもそこに住む人たちが地域のコミュニティを形成できる場所でなくてはならないと思っています。商店街が活性化するのは良いことですが、その次は商店街の「質」をうまくコントロールしていく必要があると考えています。
 今後は店舗と住まいが美しく調和する商店街づくりをしていきたいと思います。ここに新しく住む人たちが、故郷として商店街を愛してくれるように。そしてその商店街への愛が次の世代にも受け継がれていくことを願って、活動を続けていきたいですね。

■藤田さんの活動■

店と住まいが美しく調和した商店街づくりが目標です。

ナゴノダナバンクが主体となって改修した長屋の一画

店と住まいが美しく調和した商店街づくりが目標です。

ナゴノダナバンクが円頓寺商店街でおこなったイベント