成長

2019年11月13日

実践が多いほど、それが成長につながる。個性を尊重し、共に学ぶ大切さを伝える仕事。

vol.58

文学部教育学科 OG【2011年度卒】

低学年次から教育現場に携わることができる魅力的な環境。

 私が小学校教諭を目指したきっかけは、小学校1年生の時の先生との出会いから。当時、プールの授業があったのですが、水が怖かった私は泳ぐことができませんでした。先生は当たり前のように全体を見つつ、私が水に慣れるまで時間を割いて一生懸命に練習を見てくれたのです。児童への接し方など尊敬できる部分が多く、児童一人ひとりのことをしっかり考えてくれる先生だと思い、教師に憧れを抱きました。その後も、出会ってきた先生たちの素晴らしい姿を見て、この道へ進む決心が固まります。そして、その夢が叶う愛知淑徳大学に入学し、学びを深めていきました。
 愛知淑徳大学では、1年次に長久手市内の小学校で教育体験ができることが魅力だと思います。実際の教育現場を見学し、ときには勉強のサポートや休憩時間に子どもたちと接することで、先生という仕事についてイメージを深めていきます。興味が沸くような授業の仕方など、大学で学んでいる教育方法などに結び付けることができ、とても良い糧になったことを覚えています。この体験のおかげで、子どもの成長や子どもを教育するということが"やりがいのある仕事"だと改めて感じることができました。

実践が多いほど、それが成長につながる。個性を尊重し、共に学ぶ大切さを伝える仕事。

実践が多いほど、それが成長につながる。個性を尊重し、共に学ぶ大切さを伝える仕事。

大学時代の先生方の言葉を糧に、教師として成長。

 小学校教諭になって1年目、実際に教育の現場に出ると接し方や注意の加減など、壁にぶつかることもありました。そんな時は、ゼミの先生や教職科目の先生方から教わったことを思い出して参考にしていました。それは、教育現場を経験されてきた先生方ならではの、「さまざまな子どもがいるから、他の子も学べる」といった考え方。自分勝手にしている子がいたらその子をしっかり注意して、その子だけでなく周りの子にもそれがダメな事だと気付いてもらうなど、児童たちとの距離間も掴めてきて、徐々に慣れていきました。
 担任として接するのは1年間ですが、その間にも成長著しい子どもたち。まだ担任を経験していない学年もありますが、修了式の日には教師をやっていて良かったと思いますし、6年生の担任を持っている時は卒業式で一緒に涙しています。

エチオピアでの経験が今に活きる。

 同校で5年間過ごして教育者としての経験を積んだのち、大学時代から考えていた「青年海外協力隊」に参加しました。青年海外協力隊は、海外ボランティア派遣制度で、農林水産、保健衛生、教育文化など活動分野は多岐にわたります。私はエチオピアの公立小学校で1年9カ月程、教育に携わりました。現地の先生と一緒に授業案を考えて実践したり、時には自分一人で授業をしたりすることもありました。貧困地域では、材料にお金のかかる図工や音楽など情操教育の授業が少ないため、安価で簡単にできる日本ならではの切り絵や貼り絵を落ち葉を使って教えました。瓶の蓋でカスタネットを作ったりもしました。
 現地の子どもたちは同じ学年でも年齢が異なるなど、家庭環境によって状況は様々でしたが、みんな感性がとても豊かで、好奇心も旺盛で素直。彼らと接し、日本人との違いや個性の強さに、一人ひとりと向き合う大切さを再度認識する機会になりました。

 昨今は少子化などの社会背景や、学校と保護者や子どもを取り巻く環境の変化などもあり、子どもたちの行動をそれぞれの個性としてより尊重していかなくてはならない時代だと思います。そのため、児童だけではなく、ご家庭の事情も含めて「尊重して育てる」ということを重んじています。児童の成長や変化にきちんと向き合い、連絡や報告などは正確に速やかにご家庭へ伝え、子どもたちを取り巻くさまざまな変化を共有し向き合っていかなくてはならないと思います。
 子どもの性格も様々、世の中もグローバル化していますが、エチオピアでの経験から、一人ひとりの個性を認めていける教師になりたい、個性を尊重して互いが認めあえるような学級を作り上げていきたいと考えるようになりました。

 先生という仕事に限らず、社会に出る前に多様な経験値を身に付けておくと良いと思います。私は、学生時代に海外ボランティアで訪れたカンボジアでの経験が海外青年協力隊への参加のきっかけとなり、海外の小学校の現場へ行ったことが財産となっています。学生時代は自由な時間も比較的多いので、自分の興味のある分野は積極的に取り組み、参加してみてください。