成長

2017年03月22日

ジャカルタの地でホテルウーマンとして勤務。大学で得た力が基盤となり、支えてくれています。

vol.42

文学部 英文学科 2013年度卒業

大好きなイギリス文学の秘密に迫りたい。
その思いをかなえられる英文学科へ。

 幼少の頃から読書が好きで、特にイギリスの作家、アレックス・シアラーの大ファンでした。じっくりと英文学を研究し、イギリス文学の魅力に迫りたいという思いが募り、愛知淑徳大学の文学部 英文学科に入学しました。学生時代を振り返った時、「転機」と感じるのは1年生後期に参加した英文学科の「長期海外セミナー」です。この海外研修に参加し、3ヶ月イギリスのリーズ大学に留学。現地の語学学校で英語の基礎を学びました。毎週自分の知らない単語とその例文を英語でまとめ提出する課題が出たのですが、私にはその勉強方法がしっくりときて、「語学の学び方」を修得することができました。現在、インドネシアのジャカルタでホテルのフロント係として働いていますが、インドネシア語を修得するときもこの方法が役に立ち、想像していたよりもスムーズにインドネシア語を覚えることができたように思います。

今に通ずる「学ぶ力」、「根気強さ」、
「仲間と共にがんばる力」を育んだ4年間。

 留学の他に学生時代に打ち込んだことで、特に印象に残っているのは卒業研究と部活動です。卒業研究では、リーズ大学に留学した時に感じた「古いものと新しいもの、貧しいエリアと裕福なエリア、常に二面性が混在していることがイギリス文学を育んだ理由かもしれない」という自分の気づきに向き合おうと研究テーマを決めました。取り上げた作家はロバート・ルイス・スティーヴンソン。『ジキル博士とハイド氏』で知られる、まさに「二面性」をテーマにした作品を世の中に送り出したイギリスの作家です。自分の主張を裏付ける論文を見つけ出し、その情報をひとつにまとめ上げる卒業研究はとても根気のいることでしたが、ゼミの担当教諭に助けられ、最後までやりきることができました。
 もう一つ、力を注いだのはなぎなた部の活動です。全国レベルの選手ばかりでしたが、私は初心者ながら2年次から部長としてチームをまとめました。後輩指導やチームの士気を高めること、人に思いを伝える難しさを感じながらも、最後まで諦めない気持ちや同じ目標に向かって仲間と一緒に努力する大切さを部活動で学びました。留学で得た「学ぶ力」、卒業研究で得た「根気強く努力を続ける力」、部活動で得た「仲間と共に目標に向かう力」。そのどれもが、海外で暮らす私の心の支えになっています。

ジャカルタの地でホテルウーマンとして勤務。大学で得た力が基盤となり、支えてくれています。

ジャカルタの地でホテルウーマンとして勤務。大学で得た力が基盤となり、支えてくれています。

ジャカルタで外国人として生きる私が見つけた、
「違いを共に生きる」ために大切なこと。

 現在、インドネシアのジャカルタで日本人をメインターゲットとしたホテルのフロント係として働いています。海外のホテルで勤務したいという思いが芽生えたのもやはりリーズ大学への留学がきっかけでした。日本に帰る前にロンドンのホテルに宿泊した時、白人のホテルウーマンが日本語で「おつかれさまです」と声を掛けてくれたのです。その時感じた安心感が進路決定の決め手となり、私も異国の地でお客様に安心感やほっとくつろげる瞬間を提供したいと、ジャカルタをその挑戦の地として選びました。気合十分でスタートした海外生活でしたが、最初の1週間は、毎日泣きそうでした。ホテルで必要なスキルも足りない、電話を転送するなどシステムもわからない、インドネシア語もわからない......。八方ふさがりのように感じていましたが、そんな時、ある日本人のお客様から「日本人のスタッフの方が居てくれて安心できるわ」という言葉をいただきました。この言葉があったからこそ、今まで頑張ってこられたのだと思います。
 現在は、インドネシア人の新人スタッフを指導することもありますが、そこでは文化の違いを痛感しました。私が「すぐにお客様に荷物をお届けして」とお願いしても、結局お客様の手元に届くのは30分後。彼らとってはそれが「すぐ」なのです。はじめはその時間的な感覚の違いに苛立ってしまうこともありましたが、「彼らはそういう感覚で生きているんだ」ということがわかれば、対策もできるようになります。荷物のお届けをお願いしてから、何度か確認の連絡を入れることで、より早くお客様の手元に荷物が届けることができるようになりました。「郷に入れば郷に従え」という言葉がありますが、わたし流に言い換えれば「郷に入ればその郷のルールを知りましょう」。自分のポリシーとして従えないルールは従わなくてもいいと思っています。ただし、決してその国のルールに反発しないで正しく真摯に理解すること。その上で自分とその国の人たちの違いをいかに楽しめるかを一生懸命考えて、実行していくこと。それがジャカルタで「外国人」として生きる私が行き着いた「違いを共に生きる」ために必要な「大切なこと」です。

ジャカルタの地でホテルウーマンとして勤務。大学で得た力が基盤となり、支えてくれています。

■青木さんと勤務先のホテル従業員のみなさん