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2017年10月24日

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2017年8月5日(土) 星が丘12A教室

高校生を対象にした心理学の5つの講座を開講。
心理学の奥深さ、楽しさを伝えました。

 心理学は「心」のしくみを明らかにし、人や社会に役立てることを目的とした学問です。目には見えない「心」をデータから読み解き、「見える化」することで理解を深めていきます。このような背景から「心の科学」とも呼ばれる心理学。その魅力を伝え、高校生の進路選びの一助となることを目的として、日本心理学会が毎年「高校生のための心理学講座シリーズ 心理学と社会―こころの不思議を解き明かす―」を開催しています。8月から12月にかけて全国の大学でおこなわれ、本学も実施校の一つとして参加しています。

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

 8月5日(土)、心理学部の5人の教員がそれぞれの心理学の専門領域に関する特別講座を開講。今回はその様子をダイジェストで紹介します。

1限目「心理学とは」 
担当者:斎藤和志 教授

 「心理学とは」というタイトルで、心理学とはどのような学問なのか、心理学ではどのように研究をすすめるのか、どのような学問領域があるのかなどを解説しました。その中で斎藤先生は、「心理学では物事に対して"なぜ?"という視点を持つことが大切です」と解説。その「なぜ」という疑問に対して、自分なりの答=仮説を立て、その仮説が正しいかを検証していくことで、科学的な思考力や論理的思考力が鍛えられると語り、心理学の学びを通じて得られる力やその学問の奥深さを高校生や保護者の方々に発信しました。

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2限目「認知心理学」
担当者:吉崎一人 教授

 認知心理学のテーマは「ヒトの認知システム,光と影」。高校生や保護者の方々は、吉崎先生の指導のもと、簡易的な実験に参加。モニターに映し出された単語に対する質問に答えてもらい、その後、記憶課題とは伝えていませんでしたが、単語を思い出してもらいました。単語に対する質問が「意味」に関連するもであれば、記憶成績がよいことを実体験。しかしもう一つのデモンストレーションでは、記憶の危うさもを体感。ヒトの認知システムは優れているのですが、それが災いすることも知ることができました。

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

3限目「発達心理学」
担当者:蒲谷槙介 講師

 発達心理学とは、人の成長に着目し、心の発達に関するなぞを解き明かそうとする学問領域です。蒲谷先生は、子どもを対象にした実験や観察の様子をうつしたビデオを上映しながら、子どもがいつから相手の様子をうかがうようになるのか、また相手の心にいつから気づき始めるのかを解説しました。「わたしたちは自分自身の成長発達に無自覚なことが多く、その過程を生涯にわたって、科学的に検証する必要があります。」と蒲谷先生。子育てや子どもの教育にも欠かせない発達心理学の可能性と奥深さを伝えました。

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

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4限目「臨床心理学」
担当者:栗野理恵子 講師

 臨床心理学は,カウンセリングや心理療法の技法を学ぶだけの学問ではない。4限目は,先生のこの言葉から授業が始まりました。こころの不調を支援するためには,技法やスキルはもちろん必要です。しかし,人を理解するためには,基礎心理学で明らかにされている「こころの働き」をしっかり学ぶ必要があると,例を交えて説明されました。実践活動は,さまざまな活動分野の中からスクールカウンセラーの仕事が紹介されました。そして,人と人とをつなぐ関わりが必要とされることから,「コミュニケーション力」が求められること,そしてその力の大切さを伝えました。

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

5限目「社会心理学」
担当者:平島太郎 講師

 社会心理学の授業を担当した平島先生は、まず、単なる記号や模様にも、感情や性格といった「心」を見いだしてしまう体験からスタート。そして、「人間は他者の心を読み過ぎてしまう存在である」と解説。さらに、童話「裸の王様」や、「友人への同調」「お金にはなぜ価値があるか」といった身近な事例、その後の社会心理学研究の契機となった「キティ・ジェノヴィーズ事件」を紹介。心を読みすぎる個人が集まり、互いに心を読み合うことで、社会的に現実が形づくられるプロセスを解説し、心と社会の関係の興味深さを伝えました。

2017年度 高校生のための心理学講座シリーズ「心理学と社会 ― こころの不思議を解き明かす ―」

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