追究

2017年11月15日

交流文化学部 特別上映会「人生フルーツ」

交流文化学部 特別上映会「人生フルーツ」

2017年7月24日(月) 星が丘キャンパス 記念会堂

交流文化学部の授業の一環として、特別上映会を実施。
二人合わせて「177歳」の老夫婦に学ぶ、美しい時の重ね方。

 7月24日(月)、交流文化学部の学びの全体像をつかむためのオムニバス形式の授業「交流文化総合講座」の最終回で、特別上映会が開催されました。上映された作品は、平成28年度 文化庁芸術祭 テレビ・ドキュメンタリー部門で大賞を受賞した映画「人生フルーツ」。90歳の建築家・津端修一さんと87歳の妻・英子さんの日常を追ったドキュメンタリー作品です。修一さんは日本住宅公団の創成期の中心メンバーとして、戦後日本の住宅や団地、ニュータウンを作り続けてきました。そして戦後最大の都市計画ともいわれた愛知県春日井市の「高蔵寺ニュータウン」の基礎設計にも携わりましたが、できあがった団地は修一さんがめざしたものとは程遠く、無機質なもの。この設計を最後に一線を退き、高蔵寺ニュータウンの一角に家を構え、約50年住み続けてきました。その家の庭には、英子さんが丹精込めて育て上げた約100種類もの野菜や果実が実をつけます。そしてその実を使ってできた食事の数々が映画を彩ります。ジャガイモのコロッケ、イチゴのショートケーキ、サクランボのジャム。その一つひとつに「お父さんのいいようにやってあげたい」という英子さんの思いが込められています。ゆっくり、コツコツ、時を重ねるお二人の生き方に寄り添った作品の鑑賞を通じて、学生たちは自分の人生や暮らし、生き方などについて考えるきっかけを得ることができました。

交流文化学部 特別上映会「人生フルーツ」

交流文化学部 特別上映会「人生フルーツ」

 上映後は監督の伏原健之氏が登壇し、担当教諭の林大策先生とのトークセッションがおこなわれ、津端さんへの取材交渉が約4か月にも及んだことやドキュメンタリーというよりもファンタジー作品として仕上げたいと考えていたことなど、作品の裏側にある思いについて語られました。そして、「一般的なテレビ番組とは異なり、この作品は意識して"余白"を残しました。映画を鑑賞した後に多くの人と、人生や生き方について自由に意見を交わしてほしいと願っています」とメッセージ。作品や監督の言葉から多くのことを感じ取った学生たちは、自らの価値観をあらためて考え、多様な価値観を共有し、互いが共存できる交流のあり方について知見を深めていくことでしょう。