追究

2018年01月25日

司書・学芸員課程講演会「展覧会をつくる―制作の立場から―」

司書・学芸員課程講演会「展覧会をつくる―制作の立場から―」

2017年12月7日(木) 長久手キャンパス ミニシアター

第一線で活躍するプロから「展覧会ができるまで」を学ぶ講演会が開催されました。

 「展覧会」とはどう作り上げるものなのか。12月7日(木)、司書・学芸員課程主催の講演会が長久手キャンパスで開催されました。ご登壇いただいたのは、株式会社ニホンディスプレイ 代表取締役社長の坂康臣氏。まず、「ディスプレイ業とは」「ディスプレイとは」という入口から、イベントでの会場ディスプレイについて、企業ブース展示の完成予想映像などで紹介していただきました。そして、話題は今回のテーマである「展覧会」へ。実際の仕事の流れについて、学芸員はどういう立ち位置になるのかを交えてお話されました。「学芸員は、展覧会全体のプロデュースをする立場。作品の見せ方だけでなく、作品ごとの保存方法も考慮しなければなりません」と、学芸員という仕事の在り方を伝えました。

司書・学芸員課程講演会「展覧会をつくる―制作の立場から―」

司書・学芸員課程講演会「展覧会をつくる―制作の立場から―」

作品ごとに異なる展示方法の工夫を知る

 坂氏がディスプレイを手掛けた展覧会のひとつが、愛知県美術館での「フィンランド・デザイン展」。巡回展として全国で開催され、愛知では2017年4月7日~5月28日に執り行われました。その際の展示方法にはどんな工夫を施したのか、一つひとつ解説。「天井の低い展示室や吊り作品のある場所では、床に設置するステージは高さを調節できるものにする」「ランプの展示やテキスタイルの吊り展示は、天井に角材を取り付けることで可能」といった具体的な方法を聞き、学生たちも熱心にメモをとっていました。

知識や経験より先に必要なのは「コミュニケーション」

 現場の知識について詳しく語った坂氏。しかし、何よりも必要なことは「コミュニケーション」だと言います。坂氏のようなディスプレイを専門とした会社の人間、クライアント、協力会社、そして学芸員。展示会には、多くの人が関わります。「決められた予算があるなかで、いかに協力して作り上げるか。同じ目的を持って周りと関係を築くことが大切です」と述べました。

司書・学芸員課程講演会「展覧会をつくる―制作の立場から―」

 講義後に、学生から「ディスプレイ業の会社では、どんな知識や経験を持った人が働いていますか?」と尋ねられ、坂氏は、「経験よりまずは、モノを作ることが好きで、人が好きなこと。しかし、臆せず人と接するためには知識の引き出しも必要になります」と回答。質問をしたのは、創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻の学生。3年生になると自分たちの手で学生展覧会を行います。今回の講演会は、学芸員をめざす学生はもちろん、それ以外の学生にとっても大いに役立ったことが伺えました。