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2018年03月28日

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

2018年1月26日(金) 長久手キャンパス ミニシアター

「学校司書」と「ICT支援員」の社会的使命を考える講演会が開催されました。

 1月26日(金)、長久手キャンパスにて図書館情報学専修講演会が開催されました。愛知淑徳大学 人間情報学部 図書館情報学専修では、人と人とのコミュニケーションや情報メディアの活用について理解できる「情報マネジメント能力」を育成。司書をはじめ、出版流通や情報通信業界に寄与できる人材をめざします。時代の流れとともに、司書の仕事は最新のデジタル技術との共存が必須となり、「学校司書」においては教育に対する役割も広がっています。
 学校での学び方を支援する仕事として、学校司書の他に挙げられるのが「ICT支援員」。「ICT」とは、「IT」に代わって使われるようになった言葉です。ITは「Information Technology」の略で、「情報技術」のこと。ICTは「Information and Comunicaion Technology」の略で「情報通信技術」を指します。ほぼ同義の言葉ですが、情報通信技術を利用したコミュニケーションの方法論を指す意味合いで「ICT」という言葉が用いられるようにもなりました。「ICT支援員」は、学校現場でICTの活用をサポートする人材です。今回の講演では、「学校司書」と「ICT支援員」の両方の立場から2名の登壇者をお招きしました。

人を結ぶ"要"として、児童・生徒だけでなく教員もサポート。

豊田市教育センター 学校司書
中西由香里氏

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

 最初にご登壇された中西氏は、「学校司書に求められる役割・職務」をテーマに講演を展開されました。まず、「学校図書館」が担う役割は「生きる力の育成」「生涯学習の基盤形成」の2つだと言います。言語活動を充実させるにあたり、学校司書は児童・生徒や教員、地域住民などを結ぶ"要"。職務内容として、「読書センター」「学習センター」「情報センター」機能の推進及び教員へのサポート、児童・生徒の心の居場所づくりなどがあると説明されました。その実際の取り組みとして、図書委員会による読み聞かせの様子や、小学生がプログラミングに挑戦する機会を設けたこと、その他さまざまな取り組みを紹介。「学校司書には、児童・生徒や教員に対する支援はもちろん、各教科の教育指導に関する支援も求められます。」と学校司書の役割を伝えられました。

授業でICTを活用するための支援活動を実施。

ラインズ株式会社 文教グループ グループリーダー代行 eサポート担当
坪内真理子氏

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

 ICT支援員として活躍する坪内氏は、学校教育におけるICT環境の現状や活用方法、ICT支援員に求められることを中心に講演されました。現在の学校現場では、コンピュータ教室だけでなく普通教室にICT環境を整備することが必要と考えられています。しかし、教員へのアンケート調査では、「自身がICTを活用する能力」を持っていても、「児童・生徒のICT活用を指導する能力」には苦手意識がある教員が多いという結果に。このような背景があり、授業での教員のICT活用を支援する「ICT支援員」の存在が求められています。その支援内容は、「授業における支援」「研修における支援」「校務における支援」の3つ。現在全国には、2,000名ほどのICT支援員資格保有者がいるとお話しされました。

「違い」と「共通点」から見えた、チームとしての可能性。

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

人間情報学部 図書館情報学専修講演会「学校におけるICT教育と図書館の現状と今後について」

 続いて行われたのは、学校司書とICT支援員の「違い」や「共通点」を話し合うパネルディスカッション。違いとしては、「学校職員か企業勤務かという社会的立ち位置の違い」、共通点としては、「職務に必要なスキル」や「教員サポートの仕事」などが述べられました。そして、お2人ともが「学校司書とICT支援員が揃えば、良いタッグが組めるのでは」という考えを持っていらっしゃいました。パネルディスカッションの最後には、「今後の学校教育では、教員・学校司書・ICT支援員がチームとして授業を行うことで質の向上が可能となる」という結論で締めくくられました。
 最後に設けられた質疑応答の時間には、会場から「学校司書やICT支援員をめざすため、大学のうちに学ぶべきことは?」という質問が投げかけられました。「学校司書は、学習指導要領や指導方法などを理解している必要があるため、できれば教員免許をとっておくと良いです」と中西氏。坪内氏も、「私も同じ考えです。ICT支援員も、あらかじめ学校の制度や様々な教育理念を知っていると働きやすいと思います」と賛同しました。
 情報資源を的確に活用する力を身につける、図書館情報学専修。今回の講演は学生たちにとって、今の時代に適応する知識を吸収できる機会となりました。