追究

2018年08月31日

福祉貢献学部主催 公開講演会「子どもから出発するスウェーデン保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」

福祉貢献学部主催 公開講演会「子どもから出発するスウェーデン保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」

2018年7月4日(水) 長久手キャンパス 7号棟4階 741教室

スウェーデンから講師をお招きして講演会を開催。
「プロジェクト型保育」を学ぶことで、最先端の保育について知見を広げました。

 2018年7月4日(水)、長久手キャンパスにて福祉貢献学部主催の公開講演会「子どもから出発するスウェーデンの保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」を開催しました。この講演会ではスウェーデンの就学前学校に勤務する2名の教師をお招きし、現地での保育について実例を交えてご講演いただきました。登壇したのはマリー・シェルストロム先生とイボンヌ・ヨハンネスソン先生。スウェーデンの保育現場でおこなわれている「プロジェクト型保育」について、スクリーンに多くの写真を映し出しながら解説いただきました。

福祉貢献学部主催 公開講演会「子どもから出発するスウェーデン保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」

福祉貢献学部主催 公開講演会「子どもから出発するスウェーデン保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」

 第一部ではクラス編成や教育理念、カリキュラムなど、お二人が働く「シリンダー就学前学校」の全体像を説明されました。その中で「子どもたちは生まれながらに100の言葉を持っているが、ほとんどの場合99の言葉が奪われている」と説いた指導者、ローリス・マラグッチ氏の言葉を紹介。子どもの好奇心や学びたい、試してみたいという気持ちに応える「プロジェクト型保育」を実施していくことで、子どもたちはダンスや音楽、絵、粘土、工作など、たくさんの“言葉”を得ていくことを示されました。

福祉貢献学部主催 公開講演会「子どもから出発するスウェーデン保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」

福祉貢献学部主催 公開講演会「子どもから出発するスウェーデン保育実践 子どもたちに一つではなく 百の言葉を語る機会を与えたなら」

 そのことを踏まえて第二部では、1歳から5歳まで年齢ごとにどんなプロジェクト型保育があるのかを紹介。たとえばある年の1歳児たちはてんとう虫に興味津々で生き物を観察したい!と求めたことから、てんとう虫の写真や動画を見る機会を与えたことで、興味や行動が深まっていく様子を紹介されました。
 第三部では「カタツムリ」をテーマにした保育を例に挙げて、どのようにプロジェクトが発展していったかが語られました。きっかけは4人の5歳児がカタツムリを飼いたいと言い出したこと。カタツムリを園に持ち帰った後、子どもたちはカタツムリが生きていくのに必要なものを考え、「家」を作り、「家族」を見つけ、「名前」を付け、好きな食べ物を調べました。さらにお遊戯や劇、歌などを通じてカタツムリになりきり、その時に感じた気持ちを子どもたち同士で話し合いました。そして、最終的には「寝てばかりで窮屈そうなので森に帰す」ことにし、森に帰ったカタツムリがいつでも園に遊びに来られるよう、カタツムリに宛てて手紙を書いたことも紹介し、この「手紙づくり」は子どもたちの読み書きの力を育むきっかけにもなったと締めくくられました。
 子どもがどんなことに興味を示しているのかをよく観察し、自らのプロジェクトを発展できるよう、保育環境を整え、子どもたちの主体性に委ねることの大切さを訴えた今回の公開講演会。保育者をめざす学生たちにとって、スウェーデンの保育を知ることで自らの保育観を醸成する素晴らしいきっかけになったことでしょう。