追究

2019年01月10日

司書・学芸員課程 講演会 ユニバーサルミュージアムをめざして

司書・学芸員課程 講演会 ユニバーサルミュージアムをめざして

2018年11月19日(月) 長久手キャンパス ミニシアター

すべての人の知的好奇心を刺激する博物館をめざし、
学芸員ができることとは。その答えを紐解く講演会を実施。

 本学では司書や学芸員の資格を取得できるカリキュラムを用意し、学生たちの知的好奇心を満たすための学修体制を整えています。この司書・学芸員の資格取得をめざす学生たちを対象に、11月19日(月)、長久手キャンパスのミニシアターで講演会を実施しました。お招きしたのは、南山大学人類学博物館の改装を担当され、運営を担っている黒沢 浩氏。リニューアルオープンに至るまでの経緯や新しい人類学博物館のコンセプトなどをご紹介いただく中で、大学博物館の役割や使命について、伝えていただきました。

司書・学芸員課程 講演会 ユニバーサルミュージアムをめざして

司書・学芸員課程 講演会 ユニバーサルミュージアムをめざして

 南山大学がリニューアルしたのは2013年のこと。その約1年前、オープンに向けた準備が佳境に差し掛かろうとしている時、黒沢氏は一人の文化人類学者に出会います。それが全盲の広瀬 浩二郎氏。彼の講演会を聴講し、感銘を受けた黒沢氏は「視覚障がい者でも楽しめる博物館をつくろう」と決意。しかし、視覚障がい者が普段どんな暮らしをしているのか、どんなことに不自由さを感じているのか、何も知らなかったという黒沢氏は当事者に何度もヒアリングを重ねることで「すべての人の好奇心を刺激する博物館」を具体化していきました。「たとえば床の素材を変えることで、足から得られる感覚の違いから展示ゾーンの違いが分かるように工夫したり、ほとんどの展示物を触られるように配置したり。さらにじっくりと触って鑑賞できるよう最適な高さの椅子も用意しました。すべては来館する全員が楽しめる博物館をめざすため。障がいの有無で鑑賞する楽しみが異なってしまうことは、悲しいことだと思うのです」。 

司書・学芸員課程 講演会 ユニバーサルミュージアムをめざして

司書・学芸員課程 講演会 ユニバーサルミュージアムをめざして

 さらに黒沢氏は大学博物館ならではの使命についても言及。「障がい者にとって、鑑賞しやすい環境を整えるだけでは小手先の対応になってしまいます。実際に博物館のリニューアルに取り組む中で、“博物館の理念”も社会的マイノリティの立場から発想しなくてはいけないことに気がつきました。先陣を切って実験的な取り組みに挑戦できるのは、大学博物館ならではの強み。この長所を生かしてこれからもユニバーサルミュージアムをめざした挑戦を続けていきたいと思います」と黒沢氏。この言葉を受けた学生たちは大学博物館の可能性に気づき、博物館の魅力をいかようにも伸ばすことができる学芸員の仕事の奥深さを実感しました。
 本学ではこれからも学外の有識者による講演会を積極的に実施することで、学生たちの視野を広げるきっかけを提供し続けていきます。