追究

2019年03月28日

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

2019年1月21日(月) 長久手キャンパス8号棟5階 製図室、プレゼンテーションルーム

3年次の学びの集大成として2つの建築設計課題に挑戦。
特別審査員もお招きした最終講評会が開かれました。

 創造表現学部 建築・インテリア専攻「空間設計Ⅳ」は、与えられた課題に準じた建築計画をおこない、模型や図面制作を通じてプログラム構成から空間設計を学ぶ授業です。3年次の集大成となる授業として位置づけられており、建築化のプロセスを学ぶことで、コンセプトを具体化する論理力、課題解決につながる手法を考え出す創造力、自らの考えを形にする表現力などを磨きます。学生たちは名古屋栄を対象敷地とした「文化交流施設(図書館・美術館機能を持つ複合施設)の提案」と「自分の通った小学校の現代化プロジェクト」という2つの課題に取り組み、学生一人ひとりが自らのアイデアを形にしていきました。

製作の様子

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

 2019年1月21日(月)には、「第一課題(文化交流施設)」と「第二課題(小学校)」の最終講評会を実施。特別審査員として建築家の門脇耕三氏をお招きし、ハイレベルな講評会が展開されました。一次審査は設計のコンセプトや建築物の概要をまとめた「パネル」と「模型」をずらりと並べ、制作者が審査員の先生方にプレゼンテーション・質疑応答するポスターセッション。会場には第一課題(文化交流施設)12作品、第二課題(小学校)31作品が並び、学生たちは自分の作品の魅力を存分に伝えていきました。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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 門脇氏を含めた教員による審査の結果、二次審査に進んだのは第一課題5作品、第二課題10作品。一次審査を突破した学生たちは、持ち時間2分間で設計の意図や制作のポイントをプレゼンテーションしました。ときにはCCDカメラを使って模型をスクリーンに映し出し、空間構成のポイントや動線、視線の抜け方などについてアピールしていきました。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

 厳正な審査により2月に学外のギャラリーで開催する「優秀作品展」に出展する5作品が選出されました。第一課題は「stadium」と「FLOAT SQUARE」の2作品。第二課題は「水端の学校‐順応する生命としての建築」、「学び山」、「交り、学ぶ、回り道」の3作品。さらに門脇氏が「自分でもスタディしたいと思った」という視点で選んだ「門脇賞」に「3/2 Place」と「老若の里」の2作品が選ばれ「荒削りな部分もあるけれど、すごく可能性を感じた」と門脇氏から評されました。

選出された5作品

『stadium』

石本紗代子+大竹由佳莉
 二面性を併せ持つ構成の文化交流施設。久屋大通公園側へ開く丘のような図書館と、栄の街側へ開く街のボリュームを引き込んだような美術館。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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『FLOAT SQUARE』

岩崎利希人+片岡達哉+平野哲也
 45°ずつ斜めに配置されたボックスが立体的に積層することで生まれる空間を浮遊する”広場”ととらえた文化交流施設の提案。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

『水端の学校‐順応する生命としての建築』

片岡達哉
 堤防によって囲われた町に位置する小学校に対して機能を全て地上から切り離して水害に対して順応させようという作品。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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『学び山』

平井木乃香
 自然豊かな場所に位置する小学校に対して、階段のない傾斜のみで解かれた小学校の計画。建築全体が山であり、子どもたちは山をかけ回る感覚で自由に過ごすことができる。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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『交り、学ぶ、回り道』

平野哲也
 名古屋市内にありながら広大な公園に囲まれたロケーションにある小学校。実際の小学校の敷地を超えて公園内と小学校を散策するかのように地域の人にも開放された教室群を配置した作品。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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『3/2 Place』

杉山綾乃
 平面的に複雑な形を積層し、ずらすことでできる隙間と、ボリュームの高さに差を与えることでできる隙間によって構成された視線と気配を奥へ導く文化交流施設。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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『老若の里』

橋本佳穂
 梨畑の広がる敷地周辺の風景を取り込み、梨畑と共にある小学校を計画。農家のような、あるいは農作業小屋のようなスケールの切妻屋根のボリュームを二層重ねた小学校。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 「空間設計Ⅳ」最終講評会

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 最終講評会終了後は、門脇氏による講演会も実施。「抽象の構造について」と題し、ご自身がめざす理想の建築のあり方について語りました。まず門脇氏は自身の大学時代を振り返り、サブカルチャー全盛期だったことをふまえ、建築だけでなく映画や音楽に熱中していたことを披露。映画の場面転換やクラブミュージックのDJなどを深く知っていくなかで、「映画や音楽は構造を工夫することで、感情・空間・時空をコントロールできること」を見出し、以来、「映画や音楽のような制約のない建築物がつくりたい」という思いに至ったことを語りました。そして自身が手がけた二世帯住宅や自宅などをスライドに映し出しながら紹介。時間的境界や空間的境界をなくすことで抽象的な空間を生み出すことに挑んでいきたいとも語りました。学生たちは門脇氏の講演を通じて多様なジャンルの知識や興味を建築に反映させることの可能性に気づくことができました。
 本格的な講評会や講演会など、建築設計について多角的なアプローチから学ぶことができた「空間設計Ⅳ」。学生たちはこの授業で学んだことを4年次で取り組む卒業プロジェクトにいかし、自らめざす表現を突き詰めていくことでしょう。