追究

2019年04月01日

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

2019年2月19日(火)~2月24日(日) 名古屋市民ギャラリー栄 第1・2展示室

学内で高い評価を得た優秀作品を展示。
学年の枠を越えて競い合った講評会も実施しました。

 建築・インテリアデザインの基礎から応用までの学びを通して、歴史・経済・文化・環境といったさまざまな背景まで探究し、「広く社会を捉える視点」を養っている本学の建築・インテリアデザイン専攻。工学系大学と同等のカリキュラムによって一級建築士の資格取得をめざすことも可能で、国際的に活躍する建築家の展覧会をデザイン・施工して学内で実施するなど、実践的な授業も豊富に取り揃えています。この学びの成果を発表する機会として、2019年2月19日(火)~24日(日)に「優秀作品展」と題し、名古屋市民ギャラリー栄にて展覧会を実施しました。4年次の卒業プロジェクトの優秀作品に加え、今年度から新たに2・3年次の実習課題作品のうち、評価の高かった作品も一緒に出展。卒業プロジェクトの設計制作11点、論文6編、2・3年次の優秀作品計9点のパネルと模型・論文が会場に展示され、会場を訪れた方々に披露されました。

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

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建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

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建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

 また2月20日(水)には、「優秀作品賞」と題した講評会も実施。学外からゲスト審査員として建築家の久野 紀光氏と末光 弘和氏をお招きし、学生たちはポスターセッション方式のプレゼンテーションをおこない「久野・末光賞」をめざして競い合いました。久野氏と末光氏は、学生たちの解説を聞いた後、「どのように人々を建物の中に誘導するのですか?」「天井の素材は何にしようと考えていますか?」と具体的な質問を投げかけ、学生から作品の魅力を引き出していきました。

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

 最優秀作品に選ばれたのは、3年生の岩崎 利希人さん、片岡 達哉さん、平野 哲也さん共作の「FLOAT SQUARE」。「名古屋市栄の敷地に文化交流施設をつくる」という共通課題に対して提案した建築物で、45°刻みで長方形のボックスが重なり合ったフォルムが特徴です。久野氏と末光氏は、「3人で取り組んだからこそ、力強い案になっていると思います。空間の面白さが光っていたので選出しました」と講評し、来年の活躍に期待しているとエールを贈りました。さらに両氏が「目の付け所やアイディアは面白いので、あともう少し、ジャンプアップしてほしい!」と期待を込めて選出した奨励賞は、4年生 平瀬 奨馬さんの「vegetable tent」と3年生 石本 紗代子さん、大竹 由佳莉さん共作の「stadium」が受賞しました。第一線で活躍される建築家のお二人からのエールは、受賞者にとって自信になっただけでなく、参加した全員の今後の学びへのモチベーションになったことでしょう。

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

 講評会のあとは、審査員をつとめた久野氏と末光氏がそれぞれ、ミニレクチャーを開催。久野氏は「これから春休みで海外に出かける機会も多いと思います。その際、有名建築を見ることもあるでしょう。有名建築の見方をレクチャーし、みなさんへのプレゼントとしたいと思います」と呼びかけ、古代ローマからバロックまで歴史ごとに建築物を分類し、それぞれの時代背景と共に、建築物の進化と特徴を解説していきました。さらに近年取り組んだ軽井沢の農地付き別荘の設計について紹介。現地の自然環境によって生み出される水・氷・雪をいかに空間に参加させるかを考え抜いたと語り、設計をすることで新たな価値を生み出すことのおもしろさを伝えました。

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

 末光氏は「風のかたち 熱のかたち 建築のかたち」と題し、環境を力学的に解析し、設計に活かしている自身のアプローチを紹介しながら、目に見えない風や熱をいかに設計に落とし込んでいくのかを事例を挙げながら解説していきました。たとえば台湾の仕事で、樹齢100年のマンゴーの木を残したまま設計してほしいという依頼に対し、ドローンを使ってマンゴーの木を撮影し、3Ⅾ化。エネルギーの強弱を分析して画像に投影し、そのエネルギーのムラを活かして、快適な空間を提案したと語りました。さらに淡路島で手掛けた住宅と清里で手掛けた住宅をドローンで撮影したイメージ映像も映し出し、まるで実際に室内をめぐっているかのような、新しい映像体験を学生たちに届けました。
 講評会やミニレクチャーを通じてプロの建築家による貴重な指導を受けることができた学生たち。建築・インテリアデザイン専攻は今後も、学生が社会と関わり合いながら学ぶ機会を数多く提供し、一人ひとりの知的好奇心を刺激していきます。

優秀作品賞 受賞者 コメント

久野・末光賞受賞

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

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建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 3年
岩崎 利希人さん、片岡 達哉さん、平野 哲也さん 「FLOAT SQUARE」

 私たちは同じゼミに所属していることがきっかけで、3人で一つの作品作りに取り組みました。授業内で与えられたのは、名古屋市栄の指定された敷地に文化交流施設をつくるという課題です。図書館と美術館をいかに融合させるのか、どのように人が集う仕組みをつくるのか、3人で意見を出し合いながら形にしていきました。しかし、3人で取り組んだがゆえに、なかなか思うように進みませんでした。意見が食い違い、チームを解散して個人で課題に取り組もうかという話し合いもおこなうほど。しかし、最終的にはお互いの考えに折り合いをつけながら、よいところを取り込み、作品を完成させることができました。この経験は大きな自信となりました。今回の講評会はプロの建築家の方に、4年生も2年生も関係なく評価していただけるものでした。こんな機会はめったにありません。いただいたエールを自信に変えて、来年も自らの興味を形にしていくことにチャレンジし続けたいです。

奨励賞

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

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建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

メディアプロデュース学科 都市環境デザイン専修 4年
平瀬 奨馬さん 「vegetable tent」

 私が卒業制作で取り組んだのは、廃棄野菜の新しい利用方法の提案です。1年間休学し、ワーキングホリデー・ビザを利用してオーストラリアの農場で働いた経験やネパール地震、熊本地震での震災復興ボランティアに参加したことがきっかけで、廃棄野菜を利用し、災害時でも活用できる住居を生み出せないかと考えたのです。具体的には廃棄野菜を使って新しい建築素材を生み出すことにチャレンジしました。熱を加えたり、薬品で加工したり、ミキサーにかけたり、さまざまな方法でいくつかの野菜の繊維を取り出し、それぞれ紙すきをして、成形。完成するたびに「柔軟性が足りない」「強度が足りない」と次々に新たな課題が生まれて苦労しましたが、その課題をクリアするために何度も実験を重ねました。とてもアナログで地道な作業でしたが、その繰り返しの中で、マニュアルがないことに対しゼロから解決方法を見出していくことの楽しさを体験することができました。

奨励賞

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

建築・インテリアデザイン専攻2019 優秀作品展

創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 3年
石本 紗代子さん、大竹 由佳莉さん「stadium」

 文化交流施設を提案するという課題に対し、私たちは敷地の環境に目を向けました。対象敷地となった名古屋栄エリアはビル群がありつつも、緑豊かな公園も整備されている場所です。そこで都会的な要素と自然を融合させた施設を提案したいと考え、片側は無機質な印象の建造物、反対側は芝生で覆われたアプローチを連続させた建造物を組み合わせた建物を提案しました。建築家の久野さんからは「いい建物はおにごっことかくれんぼが同時にできる。つまり無限に駆け回れる空間がありつつ、隠れられる死角があるということ。この建物は行き止まりがあるから、そこに改良の余地があるね」とアドバイスを受けました。具体的でわかりやすい説明に、目からウロコ! まだまだブラッシュアップできるヒントをいただけて本当にうれしかったです。プロの建築家の方から直接ご講評いただける貴重な機会から得た気づきを学びに変えて、ぜひ、今後に生かしていきたいと思います。