追究

2019年07月18日

ジェンダー・女性学研究所主催 第37回定例セミナー 「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」

ジェンダー・女性学研究所主催 第37回定例セミナー 「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」

2019年6月17日(月)長久手キャンパス7号棟7B2教室

男性とケアに対する見方を問い直し、
表層的な男女平等観に陥らない道を模索しました。

 6月17日(月)、長久手キャンパスにてジェンダー・女性学研究所主催の第37回定例セミナー「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」が開催されました。
 講師は東京都健康長寿医療センター研究所の研究員である平山亮さん。平山さんは1979年神奈川県に生まれ、2011年にはオレゴン州立大学大学院で博士課程修了。専門は社会学、ジェンダー論で、現在は中高年期の親子関係と高齢者介護をテーマに、男性のケア問題を研究しています。
 講演会ではよく言われる「女は女らしく」、「男は男らしく」というイメージはどのようにして生まれるのか。そして「ケアをするのは女性の役割」という一般的なイメージに対し「ケアをする男性」はどんな風に見られているのかなどについて考察しました。

ジェンダー・女性学研究所主催 第37回定例セミナー 「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」

ジェンダー・女性学研究所主催 第37回定例セミナー 「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」

 冒頭、成人している娘の予定やケータイを事細かにチェックする過干渉な母親を例に挙げ「この例はやり過ぎですが、ケアの一部と言えるのではないか?」と問題定義。また、男らしさや女らしさには、明確な線引きができないことや「○○らしい」というイメージは事実から受ける印象ではなく、私たちが勝手に「○○らしさ」をイメージして解釈していることなど、興味深い内容が盛りだくさん。さらに冒頭の過干渉な母親の話に戻り「母親だからケアをしていると思い込んでしまう。でも、もしこれが赤の他人だったらストーカーと同じ」と言い切ります。過干渉な行為をケアの一部として捉えてしまうのは、私たちが「それが母親としての役割だから」と勝手にイメージしているからだと言うのです。「ケアと支配は紙一重」と注意喚起する平山さんの言葉がとても印象的でした。

ジェンダー・女性学研究所主催 第37回定例セミナー 「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」

ジェンダー・女性学研究所主催 第37回定例セミナー 「オトコの変え方・変わり方 ――ケアという視点で考える」

 その他にも「亭主関白の夫のほうが妻の介護に向いている」という意外な事実の紐解きを行うなど、ケア、支配、性役割をキーワードに展開。男性とケアに対する私たちの見方を問い直し、表層的な男女平等観に陥らない道を模索する良い機会を与えていただきました。