追究

2019年10月03日

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

巡回展:2019年8月31日(土)~9月15日(日) 長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルーム 講演会:5号棟511教室

いま話題の建築家の展覧会を学生たちの力で構築。
製作期間5か月、渾身の展示空間に
多くの人がご来場されました。

 8月31日(土)から9月15日(日)まで、長久手キャンパス8号棟5階プレゼンテーションルームにて「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展が開かれました。
 この展覧会は、TOTO株式会社が運営する「TOTOギャラリー・間」(東京・乃木坂)で開催された展覧会を創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻の学生が愛知巡回展として再構成したものです。3年生を対象とした授業「デザインワークショップ」の受講生が会場計画・施工を担当。本年度は「藤村龍至展 ちのかたち——建築的思考のプロトタイプとその応用」の愛知巡回展として開催しました。

■設営の様子■

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

■展覧会会場■

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

 藤村氏は1976年に東京で生まれ、東京工業大学大学院博士課程単位取得退学。2005年から藤村龍至建築設計事務所(現・RFA)を主催。代表的な建築作品に「すばる保育園」、「つるがしま中央交流センター」などがあり、東京藝術大学准教授も務めていらっしゃいます。
 取材日は9月1日(日)。併催イベントである講演会が開かれるため、藤村氏が愛知淑徳大学を訪れる日です。12時半頃、長久手キャンパスに到着した藤村氏を学生メンバーがお出迎え。会場まで一緒に歩きながら、道順を案内するサイン(学生が製作)などを見ていきます。8号棟5階に到着し、最初に見学したのがブックショップ。ここは藤村氏の著書などを販売するブースで、例年は5人ほどで担当する仕事を今年は、ほぼ1人でおこないました。藤村氏が手掛けた食器店「SHOP U」の什器を模した美しい曲線美の陳列棚が印象的です。

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

 その後、藤村氏と共に会場の最終確認。展覧会は「原点(超線形設計プロセス論)」、「記号的なかたち」、「集合的なかたち」、「連続的なかたち」へと「ちのかたち」を巡るテーマが時系列に沿って展開されており、テーマに合わせて模型やテキストなどで各建築プロジェクトが紹介されています。展示物を見て回りながら学生たちと会話をし、ときには展示物の場所や角度などをその場で直していく光景も非常にエキサイティングでした。

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

 13時半に確認が終わり壁面に記念のサインを。藤村氏は「8月28日にも来て確認したが、模型が並べられ、雰囲気が変わった。学生のみんなのアイデアも散りばめられており、いい展覧会になる予感がする。この愛知巡回展は非常に実験的でおもしろく、私は一生忘れないと思う」とあいさつ。それを聞いた学生たちはみな笑顔を浮かべていました。

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

 15時からは5号棟511教室に移動し、講演会が開かれました。会場には多くの聴衆が詰めかけました。講演会は展覧会の展示に沿った「原点(超線形設計プロセス論)」、「記号的なかたち」、「集合的なかたち」、「連続的なかたち」という順番で進行し、それぞれの領域で藤村氏が手掛けた案件を紹介しながら、その設計思想や背景を解説していきます。設計案を客観視して課題を発見し、その解決案を次の設計案にフィードバックするという藤村氏独自の「超線形的プロセス」思想やこのプロセスのルールである「ジャンプしない/枝分かれしない/後戻りしない」という考え方に、多く聴衆がうなずきながらメモを取っている光景も見られました。
 会の最後は質疑応答。超線形的プロセスのルールに「後戻りしない」という項目があるが、なぜ後戻りするのが良くないのか? コンテクストと自身のミスフィットはどのように判断するのか? など建築を専門的に学ぶ学生ならではのディープな質問が飛び交いました。
 2時間の講演会を終え、会場出口で藤村氏のサイン会がおこなわれました。購入した書籍などにサインをしていただき、多くの人が藤村氏とのコミュニケーションを楽しみました。

学生コメント

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

「藤村龍至展 ちのかたち――建築的思考のプロトタイプとその応用」愛知巡回展・講演会

創造表現学部 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 3年
柴山 葵さん、長谷川未穂さん、加茂千夏さん、成瀬多愛さん、梶田麻衣さん、杉原夏姫さん、安藤瑞基さん

 愛知巡回展は毎年3年生の恒例行事。会場構成や宣伝など、すべて自分たちで考え、実際に手を動かしてものをつくっていく経験は非常に多くの学びがありました。特に今年は藤村先生が意欲的に携わっていただいたのが心に残っています。2回も足を運んでいただき、いろいろなアドバイスをいただきました。
 会場は1.5m、2.0mm、3.0mとそれぞれ高さの違う壁で構成され、藤村先生の作品を研究して導いた「箱からの解放」、「連続による統合」、「人を引き込む空間」、「抽象による統合」、「能動的な調和」といった5つのテーマを具現化しました。藤村先生からも会場を見て「美術館っぽさが出た。2週間の会期ではもったいない」とありがたいお言葉をいただきました。今回の会場づくりを経験したことで、粘り強く取り組むことや妥協しないでやり切ることの大切さを学びました。この経験を今後の研究課題などにも活かしていきたいと思います。