追究

2019年12月02日

人間情報学部創立10周年記念講演

人間情報学部創立10周年記念講演

2019年9月30日(月) 長久手キャンパス741教室

人間情報学部が創立10周年を記念した講演会を実施。
ドイツの情報学教育の現状を学び、知見を広げました。

 文学部図書館情報学科を前身とする本学の人間情報学部は「人間工学」や「情報学」、「心理学」を網羅した学際的な学びを提供する学部として2010年に設立されました。2020年4月からは新たな専修体制が開始され、「3専修・5コース」の中から自らの興味関心に合わせて自由に学びを深めることができるようになります。この人間情報学部の創立10周年を記念して、2019年9月30日(月)に記念講演が実施されました。
 講師としてお招きしたのは、ドイツのシュトゥットガルト・メディア大学の教授であるマグヌス・プフェッファー先生。図書館情報学大学と印刷メディア大学が統合されたシュトゥットガルト・メディア大学で情報学を学生に教えているご経験をふまえ、ドイツの情報学の現状やシュトゥットガルト・メディア大学の先進的なカリキュラムについてご講演いただきました。

人間情報学部創立10周年記念講演

人間情報学部創立10周年記念講演

 まずプフェッファー先生はシュトゥットガルト・メディア大学について紹介。図書館情報学をはじめとする情報学を学ぶ学部は「情報・コミュニケーション学部」で、「ビジネス情報学」「情報デザイン」「情報学」「オンラインメディアマネージメント」の4つのプログラムを提供していると解説し、3年半かけてカリキュラムを履修することや学生数が300名にも達することなども言及しました。
 その後、話題は「ドイツでの図書館業務と教育について」へ。ドイツでは図書館で働くためには3つのルートがあり、それぞれのルートによって職位が定められることを紹介。原則職位が上がることはなく、最高レベルの職位である「図書館管理業務や専門職」に就くためには専門主題の博士号を持ち、さらに「図書館情報学修士」を修めなくてはいけないと語りました。

人間情報学部創立10周年記念講演

人間情報学部創立10周年記念講演

 さらにプフェッファー先生は、情報・コミュニケーション学部のカリキュラム設定の際に「新たな図書館の役割」や「社会的背景」に着目したことで、先進的なカリキュラムを構築することができたと強調。「図書館をはじめとするビジネスの現場がITなしでは機能しなくなっていること」「仕事が個人のものではなくチームで動くプロジェクト型に移行していること」「図書館が職場・家庭に次ぐ第三の場として必要とされてきたこと」「図書館の役割として小中学生に対する教育的要素が強まっていること」などを紹介し、大学では「高度なIT関連能力」とマネージメント力やコミュニケーション力などの「非技術的な能力(ソフトスキル)」の両方の修得が欠かせないと繰り返しました。この2つの能力を修得するために、情報・コミュニケーション学部ではIT関連授業の強化とソフトスキルを修得する授業を拡充。外部パートナーと連携したプロジェクト型の授業も実施し、スキルの修得だけにとどまらない多角的な授業を展開していることを伝えました。

人間情報学部創立10周年記念講演

人間情報学部創立10周年記念講演

 プフェッファー先生のお話から、情報学に軸足を置きながらも、これからの時代を生き抜くために「社会に求められる力」を総合的に学ぶ必要があると知ることができた今回の講演会。遠く離れたドイツの教育を知ることで、学生一人ひとりの向学心が刺激され、普段の授業により一層打ち込むきっかけを与えてくれました。学部としても10年先20年先の未来を見据え、さらなる躍進を遂げるためのヒントが得られる素晴らしい機会となりました。