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2020年01月06日

愛知淑徳大学 ジェンダー・女性学研究所主催「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」

愛知淑徳大学 ジェンダー・女性学研究所主催「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」

2019年12月3日(火) 長久手キャンパス813教室

内戦や災害からの復興をめざすスリランカ。
その最前線で活動する2名に学ぶ講演会を実施しました。

 2019年12月3日(火)、本学のジェンダー・女性学研究所が主催する「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」を開催しました。AHIとはアジア保健研修所の略称で、アジアの発展から取り残された人々を対象に、人権としての健康を守るために、現地の発展に貢献しうるリーダーの育成や人と人をつなげる場の創造など、さまざまな支援をおこなっています。
 講演会では、2004年の大津波や26年間内戦に苦しんできたスリランカを母国とし、AHIと関わりを持つ2名が登壇。スリランカの現状や、スリランカでどのような地域発展活動をおこなってきたのかについて、ご紹介いただきました。

愛知淑徳大学 ジェンダー・女性学研究所主催「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」

愛知淑徳大学 ジェンダー・女性学研究所主催「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」

 最初にマイクを持ったのはフランシス・プリヤンカラさん。住民の参加と意思に基づく地方自治をテーマとしたNGO「スリランカ全国漁民連合(NAFSO)」のシニアスタッフとして活躍しているフランシスさんは、スリランカが直面した多くの困難や現在の復興状況について言及。6万人もの人々が内戦によって行方不明となり、8万人もの女性が夫や息子を亡くして生活しなければならない現状があると訴えました。そのうえで、現在は2030年を目標に大規模開発が進んでいることについても紹介。さらに海外の企業への土地の提供を進めていることから、地元の人々が自らの土地を取り戻せなくなってしまっていると、急ぐばかりの開発に警鐘を鳴らしました。

愛知淑徳大学 ジェンダー・女性学研究所主催「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」

愛知淑徳大学 ジェンダー・女性学研究所主催「AHI巡回報告会 スリランカの漁村から平和をつくり出す人々」

 次に登壇したのは、ハンウェラ村でドラッグや貧困に関する若者グループや生計向上をめざした女性グループを結成したスランジ・ワサナさん。スランジさんは自らの経歴をスクリーンに投影しながら、これまでおこなった地域発展活動について解説していきました。たとえば2009年に内戦が終了したときは、敵対していた北部へ出向き、現地で暮らすタミル人の女性たちと交流。バス3台で南部から北部へと向かい、互いの伝統料理を食べ合って理解を深めたことを紹介しました。さらに、2019年の4月に同時多発テロが起こった際は、ムスリムの人たちを攻撃しないよう呼びかけ、暴動が起こらないように努めたことも伝え、現在も地域発展活動が続いていることを示唆しました。
 お二人の話から、スリランカの現状を知り、さらに地域発展のためには、小さな行動が重なり合うことで、大きな力となっていくことを感じることができました。講演に参加した学生たちにとっても、国際情勢や地域発展活動に興味を向ける絶好の機会となりました。