追究

2021年01月13日

創造表現学会主催 講演会「やっぱり美味しいコメがいい『品種選択は量より質』それは世界共通かも?」

創造表現学会主催 講演会「やっぱり美味しいコメがいい『品種選択は量より質』それは世界共通かも?」

2020年12月12日(土) 長久手キャンパス824教室

収量性か、それとも、美味しさか。
コメの品種選択を題材に、美味さを求める人間の本質に迫りました。

 2020年12月12日(土)、創造表現学会が主催する講演会が実施されました。お招きしたのは三重大学の関谷 信人先生。関谷先生は現在、「日本を含めた世界のどこかで有用資源として栽培される植物についてさまざまな視点から探求する学問」と定義している「国際資源植物学」を専門としており、食料、飼料、医薬品、工業用原材料、エネルギーなどに利用される植物を対象に研究や教育をおこなっています。特にコメを専門としており、これまで青年海外協力隊やJICAに所属し、ザンビアやタンザニアのザンジバルなどのコメの生産技術の向上などに努めてきた経験を踏まえ、講演会では「世界が求めるコメ」について解説しました。

創造表現学会主催 講演会「やっぱり美味しいコメがいい『品種選択は量より質』それは世界共通かも?」

創造表現学会主催 講演会「やっぱり美味しいコメがいい『品種選択は量より質』それは世界共通かも?」

 関谷先生が講演会の最初におこなったのは、5種類の異なる品種のコメの食べ比べ。「学生たちにふだん、なかなか意識して食したことがないであろうコメをじっくりと味わってもらい、その違いを感じてほしい。そのうえで、何を美味しいと感じるかは人それぞれであることを体感してほしい」という思いが込められたワークショップで、学生たちは5種類のお米を食べ比べ、「香り」や「粘り」、「硬さ」などを評価した後、そのお米の美味しさを総合的に評価していきました。その後、参加者全員の評価をまとめた結果を見た学生たちは、さまざまにリアクション。味覚の不思議を体感したようでした。

創造表現学会主催 講演会「やっぱり美味しいコメがいい『品種選択は量より質』それは世界共通かも?」

創造表現学会主催 講演会「やっぱり美味しいコメがいい『品種選択は量より質』それは世界共通かも?」

 その後、関谷先生は青年海外協力隊とJICAでの経験を語り、人々に求められ、採用されるのは「美味しい品種である」と伝えました。「研究者はコメの収量性を重視し、“美味しくなくても量が取れる品種”を広めようとする。けれど、実際に生き残るのは“生産性は劣るとしても、美味しいとされる品種”だ」と実感した現地での経験を語りつつ、さらに、タンザニアの稲作環境、タンザニアのコメの価格、タンザニアにおいて主流となったコメの変遷などに触れながら、「タンザニアでも高価格で新品種よりも多収性に劣るけれども、味が良いとされる“在来種”が生き残った」と紹介しました。
 「どんな環境で暮らしていても、人は美味しさを求める」という人間の本質を、「コメの品種選択」をテーマに伝えた関谷先生の講演会。文化や環境、生活水準などに左右されない、人間共通の本質に触れた学生たちは、その不思議を実感し、世界や日々の食生活へ目を向けるきっかけを得たことでしょう。