追究

2021年04月06日

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

2021年2月23日(火)~28日(日) 名古屋市民ギャラリー栄

1~4年生の優秀作品を集めた展覧会を開催。
ゲスト審査員へのプレゼンテーションなどを通して、
さらに学びを深めました。

 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻では、建築、インテリア、住宅、都市計画などについて学び、その社会的背景や計画手法も考察します。この専攻に所属する1~4年生の作品を展示する「優秀作品展2021」を、2021年2月23日(火)~28日(日)に名古屋市民ギャラリー栄で開催。学内で評価が高かった卒業プロジェクト(設計制作13点、論文5編)と、1~3年次の実習課題の優秀作品19点が展示され、住居や文化交流施設、保育園などの設計図面・模型、イスやファッション小物など、学生たちの多様な作品が並びました。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

 初日には建築家の藤村龍至氏をお招きし、ミニレクチャーを実施。「ちのかたち・その後~ニューノーマルの都市と公共空間~」という演題で、公共空間を活用したまちづくりについて語っていただきました。近年、さいたま市のストリートを活かしたプロジェクトや、岡崎市の市街地における再開発などに携わっている藤村氏。それらの事例をもとに、建築家の視点からどのようなアプローチで、自治体や民間企業と連携してまちづくりに取り組んでいるのか解説しました。藤村氏は「大学で学んだ建築のイメージやスキルを、ぜひ社会でも活かしてほしいと思います」と講演を締めくくり、その後、学生たちからの質問に丁寧に答えていました。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

 ミニレクチャーの後は、藤村氏による出展作品の審査がおこなわれました。一次審査では、作品を制作した学生一人ひとりが、藤村氏に向けて自身の作品についてプレゼンテーション。短い時間の中で、作品のコンセプトや魅力を解説しました。それを聞いた藤村氏は「なぜ建物をこの低さに設計しましたか?」「機能との関係性からも説明してもらえますか?」などの質問を投げかけて、設計の意図やねらいについて深掘りしました。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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 藤村氏は一次審査を経て、6名の学生を選出。続いて二次審査はディスカッション形式でおこないました。藤村氏は「6名に共通していることは、一つの作品の中にさまざまな要素が含まれていることです。それぞれの統一性や違いについてどのように考えて作品をつくりましたか」と質問。また、分断や統一が進む国際事情を踏まえた上で、「建築はつながりをつくるものか、それとも違いをつくるものなのか、どのように考えますか」と学生に問いかけました。学生たちは多様性や個性について、自身の考えを作品に絡めて積極的に発言。ディスカッションを終えると、藤村氏は「建築家は人前で話す場面も多く、言葉が大切になる職業だと思います。自分の言葉を持って話すことを大切にしてください。さらに、それが作品への考え方に共通しているといいと思います」と語り、学生の発言内容を作品と照らし合わせて、最優秀賞1名と奨励賞2名を選出。受賞者一人ひとりに、記念品を手渡しました。
 藤村氏のレクチャーや審査を通して、社会事情やまちづくりの在り方など幅広い視点から建築について考えるきっかけとなった優秀作品展。学生たちはそれぞれに、この経験を今後の設計課題や卒業制作、就職先での仕事に活かしていきます。

受賞者のコメント

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

優秀作品展 藤村賞(優秀作品展賞)
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 野村 鈴奈さん
「不要な着物に命を吹き込む」

 一般ゴミとして捨てられる大量の着物を偶然目にしたことをきっかけに、着物のアップサイクルを考えました。「着物を日常生活に気軽に取り入れられる小物やインテリアに生まれ変わらせたい!」という思いが根底にあります。なるべく多くの着物を使い、救える着物の数を増やすことや、現代にも取り入れやすいようデザインやパーツの素材など工夫しました。卒業制作だけで終わらせずに、今後も着物の廃棄問題と向き合い続け、少しでも多く着物を救いたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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卒業プロジェクト展 設計制作 最優秀賞(UAD賞)/優秀作品展 奨励賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 加茂 千夏さん
「たた、すまう―『たたずむ』から『すむ』まで多様な滞在を許容する都市の受け皿―」

 リニアの玄関口となる名古屋駅西側の敷地を対象に、名古屋の来訪者が多目的に活用できる施設を考案しました。多様な滞在スタイルを時間軸で分類し、空間に再構成。さらに施設の上部には、この土地に借り住まうことができるサブスクリプション住居を取り入れました。卒業制作ではプレゼンテーションの機会を通して、自分の考えを人に伝える力が磨かれました。工務店に就職後も、お客様への対応に活かしていきたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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優秀作品展 奨励賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 2年 藪井 瑠香さん
「更新しつづけるイノベーションのまち」

 クリエイターに限らず、地域住民も立ち寄り、ものづくりを体験できるビジネスラーニングセンターを設計しました。最もこだわったポイントは、シェアハウスのような感覚でものづくりをともに楽しみ、情報を共有できる空間です。さらにこのまちのような空間を、クリエイターたちのイノベーションにより、付け足し、更新していけるように考えました。制作にあたって、支えとなったのは仲間の存在です。奨励賞をいただき、協力してくれたみんなに感謝しかありません。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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卒業プロジェクト展 設計制作 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 梶田 麻衣さん
「Literature⇔Architecture~小説『セーヌ川の書店主』のイメージ空間~」

 卒業制作では『セーヌ川の書店主』という小説を題材に、物語に登場する空間やインテリアを再現しました。イメージをより明確にするため、フランスの住環境についても調べる中で、フランス人にとってイスが非常に重要なものであると知りました。そのためイスをメインに考え、登場人物の性格や部屋の用途に合わせてデザインを変えるなど工夫しました。卒業後は、映画の美術にかかわる仕事に携わり、卒業制作で得た知識や経験を活かしていきたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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卒業プロジェクト展 設計制作 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 柴山 葵さん
「刻々―tokidoki―」

 慌ただしく時間や情報に追われる現代社会の中で、光のうつろいや自然を感じながらゆったりと自分の時間を過ごせる空間をつくりました。対象となる敷地は、オフィスや大学のあるささしまライブ近くの土地。周辺に住む人や働く人などにとって憩いの場所となればと思い、建築物から見える景色や、自然と歩いて回れるような動線などを意識して設計しました。4年間を通して学んだことはものづくりの楽しさです。将来はぜひ建築の設計に携わりたいと考えています。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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卒業プロジェクト展 論文 最優秀賞(UAD賞)
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 長谷川 朋香さん
「複数の接着系あと施工アンカーにせん断力を与えた実験研究~へりあき破壊を生じた実験~」

 既存のコンクリートに設備機器などを取り付ける際に打設される「あと施工アンカー」を施工時に、コンクリートの端からどれだけ離せば、コンクリートが壊れずに保てるのか実験しました。定められている指針に沿って、いくつかのパターンで検証。実験結果に対して、なぜこのような結果になったのか原因を探る過程は興味深く、研究のやりがいを感じました。卒業後はゼネコンの会社に就職します。今後も自ら試行錯誤しながら仕事に取組み、スキルを磨いていきたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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卒業プロジェクト展 論文 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 佐々 昌彦さん
「一宮市における繊維産業とまちづくり」

 私の地元である一宮市は、かつて繊維産業がさかんでした。その名残である繊維関連の工場や繊維産業遺産を活用して、どのようなまちづくりをしたらよいのか研究しました。繊維産業に関連したまちづくりをおこなう倉敷市、富岡市、桐生市の観光地などにも足を運び、実例をもとに考察し、桐生市内で取り組まれている、事業者への支援制度を一宮市にも取り入れることで活性化につながるのではないかと考えました。卒業後はゼネコンの会社で、まちの発展に貢献したいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2021

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卒業プロジェクト展 論文 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻 4年 瀧本 真衣さん
「複数の接着系あと施工アンカーにせん断力を与えたとき、コンクリート強度が異なる場合の比較~アンカー筋にSD390を用いた場合~」

 耐震改修などに用いられる「あと施工アンカー」について、田島ゼミでおこなってきた3年間の実験結果を分析し、コンクリート強度やアンカーの本数によるコンクリートの壊れやすさの違いを比較検討しました。その結果、コンクリート強度に限界値のようなものがあるのではないかということが判明しました。自分の予想とは異なる分析結果が得られ、研究のおもしろさを体感しました。大学で学んだ幅広い知識を活かして、卒業後はゼネコンの会社で多様な公共事業に携わりたいと考えています。