追究

2022年01月06日

他学部の学生が力を合わせてバリアフリーをテーマにした絵本を製作。WAFCAの活動ツールとして、世界中で配信中。

他学部の学生が力を合わせてバリアフリーをテーマにした絵本を製作。WAFCAの活動ツールとして、世界中で配信中。

人間情報学部 人間情報学科 3年(2021年度) 大野真凛さん
文学部 教育学科 4年(2021年度) 野々山綾乃さん
交流文化学部 交流文化学科 2年(2021年度) 山本羽奈さん

授業で発案した企画を実現させることに。

 私たち3人は協力して、車いす利用者への思いやりの心を持ってほしいとメッセージする「絵本」を執筆・出版しました。この絵本は、「企画立案の基礎」の授業で考えた企画です。「企画立案の基礎」は、「全学共通科目」に属する「アクティブラーニング科目」のひとつで、愛知淑徳大学のコミュニティ・コラボレーションセンター(CCC)、キャリアセンター、国際交流センターの3つの教育機関がそれぞれ授業を開設しており、私たち学生に、地域や社会、世界を舞台にした学びの場を提供してくれます。
 「企画立案の基礎」はCCCが開講する授業で、地域貢献活動を実施するために必要な論理的思考力や提案力を鍛えます。毎年、授業は企業やNPO法人とコラボレーションし、その連携先から与えられた課題を解決するため、企画立案・プレゼンテーションするところまで進みます。今年度は、特別非営利活動法人アジア車いす交流センター(WAFCA)様と協働し、受講した学生たちは「コロナ禍においても世界の子どもたちを助けられる支援」を考え、提案しました。

他学部の学生が力を合わせてバリアフリーをテーマにした絵本を製作。WAFCAの活動ツールとして、世界中で配信中。

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 この授業を履修していたのが、私たち(野々山、大野)です。私たちの班では、車いすに関する絵本を制作して、オンラインでの読み聞かせをおこなったり、現地に発送したりすることで、遠くにいながらも子どもたちと交流することができるのではないかと提案しました。授業では高い評価をいただき、発表をもって一旦終了しましたが、私たちはぜひともこの企画を実現させたいと思い、またWAFCAさんのご協力と要望もあり、今回、絵本を実際に作る運びとなりました。

絵本をカタチにするため、翻訳や印刷の手配なども自分たちで。

 私(山本)は、実は企画立案の基礎を受講していません。けれど、インターンシップ先として、またボランティア先としてWAFCAさんにはお世話になっていました。そして、WAFCAのスタッフさんに「今度、絵本作りのプロジェクトが立ち上がるからやってみないか」と勧められ、今回のメンバーに加わることとなりました。
 文学部で図画工作のゼミに所属している野々山さんが絵を、人間情報学部でユニバーサルデザインについて学んでいる大野さんが文章を、交流文化学部の私(山本)が編集・製本・翻訳など、制作以外の翻訳者の検討から紙の選定まですべてのことをおこないました。制作費をクラウドファンディングで募っており、予算に限りがあるなか、「できること」と「できないこと」のせめぎ合いをどうやっておさめていくか、とても難しく、かつ貴重な経験をすることができました。

 最終的には、日本語版を130部発行し、中国語、韓国語、ベトナム語、タイ語、英語、インドネシア語などに翻訳したものを電子書籍として配信しました。私たち3人で刈谷市の子どもたちや刈谷市に住む外国の子どもたちを対象に読み聞かせなどもおこない、プロジェクトは大きく広がっていきました。それも多くの人の支えがあったからだと、心から感謝しています。

他学部の学生が力を合わせてバリアフリーをテーマにした絵本を製作。WAFCAの活動ツールとして、世界中で配信中。

つながりがつながりを生む環境の中、最高のプロジェクトに成長。

 私たちは所属の学部や学年も違います。障がいの有無や年齢など関係なく誰もがわかるデザインを追究するという感覚、子どもにとって何が一番良いだろうと考える姿勢、国際交流や国際支援という地球規模の感覚で課題に取り組む視点。その違いがとても刺激的で、互いが補い合って、プロジェクトを大きく育てられたように思います。
 それに、企画を実現させるには、たくさんの細やかな配慮が必要ということも身をもって感じました。費用を抑えるために「紙は安いのでもいいかな」と思っていたのですが、実際にサンプルを見たら、一つひとつ、風合いや値段も全く違うので、自分たちの理想と現実とをどうやってうまく折り合いをつけるか、とても悩みました。印刷会社、翻訳の方など、ありとあらゆる方の力を借りなければ、一つの絵本が出来上がらないということも、私たちにとって、大きな気づきでした。人と人とがつながり、協力し合うことで、まるで「チームが持つパワー」も「関わる人の数」も雪だるま式に増幅していくような感覚で、つながりがつながりを呼び、完成した絵本だと思います。少し大げさだということは自覚しているのですが、その素晴らしい出会いは、まるで奇跡のようです。今後も、今回のプロジェクトで感じた「つながることの素晴らしさ」を胸に、人生を力強く歩いていきたいと思います。

他学部の学生が力を合わせてバリアフリーをテーマにした絵本を製作。WAFCAの活動ツールとして、世界中で配信中。

完成した絵本
【こまっているひとがいたらどうする?】
ぜひご覧ください>