追究

2022年01月07日

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

2021年11月28日(日)長久手キャンパス824教室

情報過多の現代において、
ニュースに対し、どのように受け取り、考えるべきか。
あるべき姿を示唆していただきました。

 専門分野の第一線で活躍する研究者をお招きして、未来を見据えた「今」を語っていただく講演会「知求儀」。創造表現学会が主催するこの講演会は、講演者のユニークでオリジナリティあふれる研究を通じて気づいたこと、発見したことを語っていただき、これからの時代を生きる学生たちの支えにしてほしいという想いが込められています。

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

 全3回で構成される講演会の第一回目は、11月28日(日)長久手キャンパス824教室でおこなわれました。登壇するのは、法政大学経済学部教授の藤田貢崇先生。経済学部の教授でありながら、専門は物理学・科学ジャーナリズム。科学を広く伝えるためのスキルや理論を教えながら、NHKラジオ「子ども科学電話相談」の回答者としても活躍されています。
 講演のテーマは「ジャーナリズムとの向き合い方」。日々、大量のニュースがあふれる現代において、そのニュースをつくりだすジャーナリズムの役割とは何か? 大量のニュースをどのように受け取り、考えればいいのかなどを語っていただきました。

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

創造表現学会主催講演会「知求儀」01 ジャーナリズムとの向き合い方

 藤田先生は自己紹介をした後、誰もが知っている「足尾銅山鉱毒事件」を題材として、話を進めていきます。足尾銅山は明治時代、国内随一の産出量を誇る銅山であり、日本で最初の公害を生み出した地域として知られています。この公害に立ち向かったのは、地元出身の衆議院議員・田中正造氏。教科書などで田中氏は、銅山を運営する古河鉱業を相手に戦う英雄的存在として描かれていますが、果たして本当にそうなのか?と藤田先生は学生たちに投げかけます。天皇に直訴したのは、自身の売名行為ではないのか?銅の輸出によって当時の日本経済を支えた古河鉱業は、日本で最初の公害防止工事をした企業とも言えるのではないか?と、180度正反対の立場から切り込んでいきます。さらに昨今の政府の施策である10万円給付への是非や、国会議員の文書通信交通滞在費問題にも言及し、さまざまなニュースには、報道されている表の部分と裏の部分があり、人間が記事を書いている以上、そこに何かしらの思想が反映されることを知ってほしいと訴えます。また、各新聞社・テレビ局が保守派なのか、革新派なのか、それぞれの立ち位置についても伝え、学生たちがニュースを受け取るときの目安となるよう示してくれました。
 藤田先生の講演はその内容以上に優しく語り掛けるような話し方で、学生たちを魅了しました。ニュースの受け取り方、考え方へのメッセージは、情報過多の現代に生きる若者たちへ確実に伝わったことでしょう。