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2022年04月06日

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

2022年3月2日(水)星が丘キャンパス55A教室、4号館2階、3階

専門分野が異なるゼミが一堂に会し、共に学びあう討論会が今年も開催されました。

 2022年3月2日(水)、ビジネス学部現代ビジネス専攻・グローバルビジネス専攻の7つのゼミ、総勢80名の2年生が参加するインナーゼミナール大会が開催されました。「違いを共に学ぶ」という大会趣旨のもと、10回目の開催となった今年はマーケティング、経営戦略、アカウンティング、ファイナンスをそれぞれ専門分野とするゼミが参加。本大会は同じ業界の2社をそれぞれの視点から比較し、議論することで自らの視野を広げることを目的とした討論会です。大会当日は7つの分科会に分かれ、半年かけて調査した内容をもとにプレゼンテーションが行われ、各ゼミ3年の議長団進行のもと、提示された論点について議論を交わしました。

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 今年も白熱した討論が繰り広げられ、閉会式ではインナーゼミナール大会の発起人を代表して大塚 英揮先生から「ビジネス学部が学びの対象とする企業は明らかにリアルな存在です。皆さんが2~3年後に勤めるであろう職場、そしてそこで直面する顧客、取引先という“リアル”を扱っている学部です。だからこそ、コロナウイルス流行によるデジタル化の加速によって、学びからリアリティが失われてしまうという不安がありました。様々な視点を持った皆さんが集まり、対面で意見を交わすというこの大会にはとても意義があります。今日の学びをこれからの学びに生かし、社会に出た際にビジネス学部で学び、卒業したことに胸を張れるよう成長し続けてほしいと思います」との熱いメッセージが参加者に送られました。

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 以下、各分科会での議論の模様をご紹介します。

【分科会1】雪国まいたけ vs ホクト
参加チーム:三矢ゼミ、新井ゼミ、傅ゼミ
担当教員/議長団:森先生/森ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 討論前半は「投資家の視点から、どちらが将来的により良い投資対象と捉えられるか」という論点について議論を交わしました。現状の株価指標は雪国まいたけが優良であるものの、長期的展望では海外展開を行っているホクトのほうが成長性が高いのではないかと、各ゼミの専門分野に裏打ちされた意見が出されました。前半の討論を踏まえ、後半は「両社のプロモーション、各戦略を踏まえたうえでの今後の改善点」について議論。両社が扱うキノコという商品の特性上差別化が難しいため、プロモーションによって両社の違いを打ち出すべきとの結論となりました。

【分科会2】塩野義製薬 vs 小野薬品工業
参加チーム:前田ゼミ、新井ゼミ、大塚ゼミ
担当教員/議長団:浅井先生/浅井ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 まず「活動実績から見て、どちらの企業がより優良な企業と言えるか」という論点では、小野薬品工業のほうが優良企業であるとの結論に。いっぽうで、「新型コロナウイルスによる企業活動への影響や変化が大きいのはどちらか」という論点では、投資規模を拡大する小野薬品工業に対し、国産初の新型コロナウイルス治療用飲み薬を開発し、ワクチン開発にも注力する塩野義製薬の将来性に関して活発な議論が展開されました。

【分科会3】表示灯 vs 中広
参加チーム:三矢ゼミ、浅井ゼミ、森ゼミ
担当教員/議長団:新井先生/新井ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 地図広告や交通広告を主力とする表示灯と、地域密着型のフリーペーパー事業を展開する中広2社の比較がテーマとなった分科会3では、「コロナ禍、コロナ禍後における今後の両社の成長性、安全性はどのように変化していくのか?」というテーマで討論が行われました。ネット広告の拡大により、フリーペーパーは広告媒体としての魅力が低下しており、表示灯よりも中広の事業展開が厳しいとの意見が出されました。いっぽうで、地域住民への訴求力として、フリーペーパーは広告媒体として根強い有効性があるとの指摘もあり、白熱した議論となりました。

【分科会4】ヤマハ vs ヤマハ発動機
参加チーム:浅井ゼミ、前田ゼミ、新井ゼミ
担当教員/議長団:大塚先生/大塚ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 源流を一にする2社の比較となった分科会4では、「現在の戦略(財務、マーケティング等)を見て、それぞれの業界内における立ち位置に合った戦略とは何か?」というテーマで前半の議論が進行しました。まず2社のポジションを業界の「リーダー」としてのヤマハ、「ニッチャー」としてのヤマハ発動機と定義。後半の論点「今後起こりうる外部環境の変化に対応していくことができる企業はどちらか?」という問題提起に対し、二輪車事業・ボートなどのマリン事業・産業用ロボットといったロボティクス事業と、技術力を武器に多角化を進めるヤマハ発動機の将来性を高く評価する結論となりました。

【分科会5】J.フロント リテイリング vs 髙島屋
参加チーム:森ゼミ、傅ゼミ
担当教員/議長団:前田先生/前田ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 百貨店2社の比較として設定された論点は「両社の特徴(戦略・環境・業績等)を踏まえて、現時点において優れているといえる企業はどちらか?」というもの。人口減少という厳しい事業環境に対応し、店舗の立地も有利である髙島屋が優れているとの結論となりました。そのうえで、「5年後、10年後等の中長期的な目線で見たとき、どちらの企業がより成長しているか」という議論では、J.フロント リテイリングは百貨店事業に依存しない多角化を進めており、LTV(顧客生涯価値)を最大化する戦略が力強い成長を導くとの意見が出されました。

【分科会6】凸版印刷 vs 大日本印刷
参加チーム:前田ゼミ、森ゼミ、三矢ゼミ
担当教員/議長団:傅先生/傅ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 参加3チームがいずれも会計・ファイナンス領域のゼミナールに所属するという組み合わせとなった分科会6。まずは「長期的にみてどちらの企業が安全性が高く安定するか」とのテーマについて議論を交わしました。2社とも安全性が高く優劣つけがたいとの結論となったため、議論は2社の将来性を中心に進行。デジタル化の加速により紙媒体の需要が低下するなか、「両社は今後どのような戦略をとって行くべきか」との問いかけに対し、エレクトロニクス部門など、社会のペーパーレス化の取り組みを促すような領域に集中・拡大すべきとの意見で一致しました。

【分科会7】トヨタ自動車 vs テスラ.
参加チーム:傅ゼミ、大塚ゼミ
担当教員/議長団:三矢先生/三矢ゼミ

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

ビジネス学部 第10回 インナーゼミナール大会

 まずは2チームに対し「両社の特徴(経営戦略、外部環境、売上などの業績)を見て、優良であるとはどのような視点を持って判断したか?」と議長団から各チームに論拠の提示が求められました。電気自動車の先行メーカーとしてのテスラがより優良企業であるとの前提のうえで、「今後、EVと水素どちらを使った車の需要が高まるか。また、コロナ禍でそもそも自動車需要が不確実な中、今後どちらがより良い業績を挙げられるか?」という論点では、当面は電気自動車市場が拡大しテスラ優位だが、電気自動車は参入障壁が低いため競争が激化する恐れがあり、その点水素自動車の開発に注力するトヨタ自動車は、技術の模倣困難性が高いため長期的視点では優れた業績となるとの結論を導きました。