追究

2022年04月11日

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

2022年2月22日(火)~27日(日) 名古屋市民ギャラリー栄

1~4年生の優秀作品を学外のギャラリーで展示。
ゲストの建築家からレクチャーも受け、深く学ぶ機会になりました。

 創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻は、建築やインテリア、都市などの空間設計やデザインについて幅広く追究する専攻です。学生は1年次から建築製図やインテリア設計の基礎を修得し、4年間を通してさまざまな設計課題や研究に取り組みます。その優れた作品を学内外に広く発信し、新たな学びにつなげる場としているのが「優秀作品展」です。2022年は2月22日(火)から27日(日)の6日間、名古屋市民ギャラリー栄で開催しました。展示されたのは、学内で評価が高かった卒業プロジェクトの設計制作9点・論文6編と、1~3年次の実習課題の優秀作品17点です。文化施設や産業・商業施設、学校などの設計図面・模型、建材や室内環境に関する論文など、学生それぞれの斬新なアイデアや緻密な考察が光る作品が並びました。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

 会期中の2月24日(木)には、建築家の増田信吾氏によるミニレクチャーと出展作品の審査がおこなわれました。増田氏と本学はご縁があり、2020年9月には「増田信吾+大坪克亘 展 それは本当に必要か。」の愛知巡回展と講演会を長久手キャンパスで開催しました。この会場づくりを手掛けたのが、今回の卒業プロジェクトに参加した4年生で、建築・インテリアデザイン専攻教授の清水裕二先生は「この優秀作品展で学生たちの成長を見ていただけたら嬉しいです」と語り、増田氏は笑顔で頷きながらミニレクチャーを始めました。増田氏は演題「外の建築 Outside Architecture」のもと、自身がこれまでに手掛けた日本各地の建築を解説し、建築そのものの存在価値に疑問を投げかけながら、“外に開き、まわりの風景や環境をよりよく変えていく”建築の可能性を探った足跡を語りました。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

 続いておこなわれた出展作品の審査では、ポスターセッションとして24名の学生がプレゼンテーションしました。限られた時間の中、作品の意図やコンセプト、設計・計画のポイントなどを熱く語り、増田氏はメモを取りながら一人ひとりの言葉に耳を傾け、率直な感想やアドバイスを伝えました。1次審査を経て5名の作品が選定され、さらに2次審査の末、最優秀賞1名と優秀賞2名が決定しました。
 増田氏は「一つひとつの作品から、学生の皆さんの大きなパワーを感じました。与えられた設計課題に対して、きれいにまとめようとするのではなく、新たな価値を発見し、自分なりの形にしていくのが提案です。そんな貪欲なチャレンジ精神を、これからも大切にして学んでください」と学生たちにメッセージを送り、受賞者にはトロフィーが手渡され、会場はあたたかい拍手に包まれました。
 今回の優秀作品展は、学年をこえて互いに刺激し合いながら、プロの建築家からも直接コメントをいただく、貴重な機会となりました。ここで得た学びや気づきを今後の学修・研究、設計制作、卒業後の進路に活かし、学生一人ひとりがさらなる成長を遂げていくことでしょう。

受賞者のコメント

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■優秀作品展賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻2年 牧 嘉乃さん
「Three ellips」

 2年次の演習科目「空間設計Ⅱ」の課題で、「起業したい学生や若い起業家のためのビジネスラーニングセンター」の設計に挑みました。対象地の星が丘ボウルは、多くの人で賑わう星が丘テラスに隣接しています。そこで、人の流れを引き込むよう楕円で仕切るユニークな空間を設計しました。そうしたアイデアについて、先生方をはじめ増田さんも高く評価してくださったことは、嬉しい驚きです。これからも建築設計のスキルや思考力、表現力を磨きながら、新しい課題に挑みたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■奨励賞/卒業プロジェクト 設計制作 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 渡邉 愛友さん
「そうは問屋が卸さない」

 地場産業のあり方を追究したいと思い、窯業が盛んな地元・岐阜県多治見市を調査。製陶所、陶芸家、上絵付師、陶器問屋の方々にヒアリングした結果、産業を営む“人”を主体としたまちづくりの重要性に気づき、生業とまちをつなぐ建築を設計しました。4年間、数多くの設計課題に挑み、培った分析力や思考力などが活かされたと思います。卒業後は、大学院に進学します。今回の卒業プロジェクトで調査・研究した内容を論文にまとめ、建築に関する専門性を深めたいと考えています。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■奨励賞/卒業プロジェクト 設計制作 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 野中 小夏さん
「関係人口に、わたしがなる! マイパブリックの精神で自分らしくマチとつながる」

 まちづくりに興味があった私は、田中元子さんの本に感銘を受け、多様な人と公共的な関係を築く「マイパブリック」に挑戦しました。私がおこなったのは「聞き屋」です。不用品から制作した屋台を引いてまちを歩き、人々の話し相手になるという活動で、全国5か所で実践しました。各地域と自分らしくつながることができ、協力してくださった皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです。卒業後、就職先では地域のコミュニティづくりに取り組むため、今回の経験を役立てていきたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■卒業プロジェクト 設計制作 UAD賞(卒業制作最優秀賞)
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 浅倉 歩さん
「浮かび上がる芳藤の手法 ―寄せ絵【五拾三次之内猫之怪】の立体化―」

 「五拾三次之内猫之怪」は、江戸時代の絵師・芳藤が描いた子ども向けの浮世絵「おもちゃ絵」です。その独特の表現手法について、絵の立体化によって検証しました。4年間で鍛えた空間設計のスキルを発揮しながら、平面の絵を立体化させることに熱中し、多様な視点で学べる専攻だからこそ、建築にとどまらない自分の興味を追究でき、達成感や感動を得ることができました。卒業後、建築業界に進み、住宅などの設計に携わる上でも、柔軟な視野でお客様のご要望に応えたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■卒業プロジェクト 論文 UAD賞(卒業論文最優秀賞)
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 杉原 裕二郎さん
「鉄筋コンクリート構造物の構法におけるせん断力を負担するあと施工アンカーに関する研究
~六面体要素を用いたせん断力を負担するあと施工アンカーの破壊挙動に関する解析~」

 建物の耐震工事や土木などで広く使われる「あと施工アンカー」について、せん断力に着目して研究しました。田島ゼミの先輩方が継承してきた実験データを解析して、コンクリート内部の応力分布や埋込中のアンカー筋の破壊挙動をパソコン上でシミュレーションし、実験状況を再現できる詳細モデルを構築しました。この研究を大学院進学後も継続し、発展させていく予定です。4年間、専門性の高い先生方にご指導いただき、学ぶ楽しさを実感する有意義な日々を過ごすことができました。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■卒業プロジェクト 論文 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 波多野 夏希さん・加藤 秀真さん・服部 空さん
「長久手キャンパス図書館閲覧スペースの温熱環境・光環境の実測による実態把握」

 コロナ禍により積極的に換気がおこなわれるようになって、大学の図書館では閲覧スペースの寒さ・暑さへの影響が懸念されていました。そこで、効果的な換気方法について、実験によって検討しました。さらに、室内の明るさについても調査し、新たな電灯照明による快適な光環境を提案しました。3人で役割分担しながら研究を進め、チームワークの重要性を学びました。卒業後、それぞれインテリア業界や住宅業界に進みます。この専攻での学修・研究で得た力を発揮し、仕事に励みたいと思います。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■卒業プロジェクト 論文 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 中村 俊太さん
「人体エクセルギー収支による放射式・対流式暖房室の温熱環境の質の違いに関する研究」

 放射式暖房である床暖房と、対流式暖房であるエアコンは、室内を暖める上でどのような違いがあるのか。その疑問を科学的に解明するため、温熱環境シミュレーションによって研究しました。検証を重ねた結果、床暖房の方が熱の取り込みがスムーズにおこなわれ、人が体温を維持するための負荷が少ないことが判明しました。卒業後は大学院に進学し、この研究をより深めたいと思います。大学で興味を持った建築環境工学の専門性を磨き、将来、学んだことを活かして社会に貢献していきます。

建築・インテリアデザイン専攻 優秀作品展2022

■卒業プロジェクト 論文 優秀賞
創造表現学科 建築・インテリアデザイン専攻4年 山内 匠吾さん
「愛知淑徳大学におけるトラスの解法に関する教育教材の開発」

 専門科目「構造力学Ⅰ」で学ぶ「トラスの解法」は、なかなかイメージがつかず、多くの学生が苦手とする分野です。そこで、トラス構造を可視化する模型と動画を制作しようと考え、教材開発にチャレンジしました。試行錯誤を積み重ねて完成させ、先生や後輩の協力のもと、実際の授業で活用してもらいました。当初、トラスの解法に関する学生の理解度は30%でしたが、模型や動画で解説した後の理解度は85%まで急上昇しました。結果を残すことができ、確かな手応えを感じています。