追究

2022年08月26日

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 淺田ゼミ 長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 淺田ゼミ 長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 2021年度卒業
加藤 秀真さん(トヨタホーム愛知勤務)
中村 俊太さん(愛知淑徳大学大学院 文化創造専攻 建築・インテリアデザイン専修1年)

自分たちが利用する長久手キャンパス図書館を、
もっと快適な場所にするための研究。

 創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻では、各ゼミにおいて、個人またはチームで取り組む卒業プロジェクトを実施しています。今回紹介するのは、淺田ゼミの「長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト」です。ゼミ生の加藤秀真さんと中村俊太さんをはじめとする複数のメンバーが、「長久手キャンパス図書館閲覧室の実態把握と、改善に向けた提案」をおこないました。
 身近にある自然のポテンシャル(日射や風・外気温湿度の変動など、屋外環境にある様々な自然の恵み)を上手に活用して光環境や温熱環境、空気環境といった建築環境を整え、人にとって健康で快適であるばかりでなく、化石燃料を源とするエネルギー使用量の削減、ひいては自然共生建築も視野に入れて研究している、淺田ゼミならではのテーマです。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 淺田ゼミ 長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 淺田ゼミ 長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト

問題把握に始まり、長期にわたる準備、実測・分析から提案まで実施。

 プロジェクトチームが研究対象にした建築環境は、自分たちにとっても身近でよく利用していた図書館でした。図書館では、新型コロナウイルス感染症対策として、多くの人が利用する閲覧室の換気を冬季もおこなっていましたが、窓際の席が寒いという新たな問題が発生しました。読書や書き物をするために長時間滞在する場所であるため、より快適で利用しやすい場所にするための研究に取り組みました。
 研究がスタートしたのは3年生の夏休みからです。冬期に実際の熱や光環境を計測し、さらにの夏期にも同様の計測を行うことで、年間の寒暖のピーク時の状況を把握し、改善へのヒントとなる提案をめざしました。
 その中で最初に加藤さんが担当したのは、3年夏期の実測に向けた準備でした。図書館の職員や学生を対象に、どのような点が問題になっているかヒアリングを実施しました。その内容を受けて、閲覧室をゾーン分けして62か所に計測器を設置し、各場所の時間帯ごとの空気温度を計測していきました。「何が問題で、その実態を数値として出すにはどのような計測が必要で、そのためにどの場所にどのような計測器を設置するか、という流れで計測を進めていきました」と語る加藤さん。実態把握に必要な数値を計測するために、これまで自身が扱ったことのない機器について、機器選びや使用方法の習得など、多くのことを同時並行で実施していきました。中村さんは、自身の卒業プロジェクトに取り組みながら、加藤さんのプロジェクトにもサポートとして参加し、計測器の準備や設置、計測期間中の確認などの役割を担いました。

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 淺田ゼミ 長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト

創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻 淺田ゼミ 長久手キャンパス図書館の実態把握と改善に向けた卒業プロジェクト

目に見えないものを可視化し、実際の改善へとつなげていけた喜び。

 データを収集した後は、閲覧室の空気温度をグラフとしてまとめ、何が影響してその状況になったかを検討・分析していきます。チームメンバーだけでなく、先生とゼミ生全員がディスカッションに参加し、取得したデータのまとめ方や見せ方、冬期に向けた改善ポイントなどを話し合いました。中村さんは「淺田ゼミでは、ひとつのプロジェクトにゼミ生全員が関わることで視野を広げ、内容を深めていきます。そのため、私も自身の研究に加え、この卒業プロジェクトにもサポートとして参加しました」と振り返ります。
 冬期と夏期の熱環境と光環境をまとめて発表した内容は先生方のなかでも高く評価され、2022年2月22日(火)〜27日(日)に名古屋市民ギャラリー栄で開催された「建築・インテリアデザイン専攻2022優秀作品展」に出展しました。また内容を提案した図書館の職員からは、「内容がとてもわかりやすく、これからの改善につなげるための資料になる」と喜ばれました。

■建築・インテリアデザイン専攻2022優秀作品展の様子はこちら>

 加藤さんは現在、住宅メーカーで施工管理の仕事をしており「自分たちの研究が誰かの役に立つことを実感できてとても嬉しかったです。実際に仕事をしてみて、ゼミ時代に全員でディスカッションするというスタイルを経験したことが、仕事の質を高めることにとても役立っている」と実感しています。卒業プロジェクトは、研究内容の成果が誰かの役に立つことで喜びを得られるだけでなく、研究の過程も学生の貴重な経験となっています。