追究

2022年12月26日

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

2022年9月3日(土)~18日(日)長久手キャンパス 8号棟5階製図室2
プレゼンテーションルーム、824教室

建築家の展覧会を学生が企画。
これまでの学びを活かして、展示物と調和した会場デザインを構成しました。

 MARU。architectureの高野洋平さんと森田祥子さんのお二人と学生たちが0から企画し、つくり上げたマル・アーキテクチャ展「SESSIONS」は、建築・インテリアデザイン専攻の3年生が「デザインワークショップ」という講義の一環で、展示会場の計画から施工まで幅広く担当しました。展示会は2022年9月3日(土)~9月18日(日)まで開催され、9月11日(日)にはMARU。architectureのお二人による講演会も実施しました。

 「デザインワークショップ」の講義が4月から隔週で開かれ、学生たちは展示コンセプトや会場の構成などを高野さんと森田さんにチェックしてもらいながら考えていき、その中で生まれた複数のアイデアから良い部分を抽出して最終的にひとつの案にしぼり、展覧会のテーマは「輻輳(ふくそう)」に決定しました。「輻輳」とはさまざまなものが重なりながら並走している状態を表す言葉で、今回はMARU。architectureの環境や地域の特色を生かす建築思想と、学生のアイデアを組み合わせて制作を進めました。

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

 高野さんと森田さんにアドバイスをいただき、展覧会場は不定形なボロノイの空間デザインとなり、学生たちが普段利用している大学の一室をどのように活かすかを意識して制作を進めました。プロの考え方と学生のアイデアが調和された様子も「輻輳」を表現しています。

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

 2週間にわたり開催されていた会場にはMARU。architectureがこれまで取り組んできた建築の模型が並んでおり、一般の方や建築家の方など、さまざまな人が来場されました。一般の方からは、模型や会場のデザインに対して「建築に初めて触れましたが、すごくきれいだったので来てよかったです」などと嬉しい反応をいただきました。「構造や空間デザインなど細かい点にも着目が出来ていた」と、建築家の方からもお褒めのお言葉をいただきました。参加した学生たちは「多くの来場者に来てもらえたことは良かったですが、展覧会場のデザインの意図などをまだ伝えきれなかったので、そこは反省点です」とまだまだ改善点があり、もっと良いものにできたと振り返りました。

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

 9月11日(日)に開催された講演会では、MARU。architectureのお二人が展示の詳細や学生の貢献内容について語られました。展示会名「SESSIONS」は、建築のプロセスとして都市や環境への応答やマテリアルの重ね合わせることから、「さまざまな響き合い」をイメージして名付け、今回の展示会では「共に暮らす 同じものを見る」「他者を内包する」などの7つのテーマを設定しており、それぞれのテーマの背景やそこに込めた思いなどを、これまでに取り組んできたプロジェクトとともに紹介しました。最後に学生について「今回は施工を含めて自分たちでおこなうという、すごく意欲的なプロジェクトで、会場が出来上がっていくのを眺めながら楽しませていただきました」とコメント。学生の主体性と発想力に期待する気持ちを明かしました。

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

 講演会の後半では、第2回日本建築設計学会大賞などを受賞したo+hの大西麻貴さんと百田有希さんをゲストに迎えてトークセッションも実施しました。MARU。architectureのお二人はゲストのお二人と元々親交があったようで、建築への意識やプロジェクトの進行方法、お互いの建築に対する印象などをざっくばらんに語り合いました。そのなかでo+hのお二人は今回の展示会についても触れており、「大きな熱量を感じられ、展示会自体が一つの建築的な実践になっていました。MARU。architectureの考え方と学生さんのエネルギーが重なって、あのようなすばらしい会場構成になったのだと思います」と学生が企画した会場デザインを認めていただけました。

 今回の展覧会で、学生は建築家の方とともに展覧会場をつくり上げるという貴重な経験をしました。アドバイスをいただけたことはもちろん、関係者への連絡やスケジュール管理など社会に必要なスキルを磨けたことも、彼らの成長につながったことでしょう。本学では、今後も学生に実践的な体験の機会を提供し続けていきます。

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

参加学生インタビュー

建築・インテリアデザイン専攻 マル・アーキテクチャ展「SESSIONS」講演会

 今回の展覧会ではMARU。architectureさんのコンセプトと調和するために試行錯誤しました。上手くいかない点や苦労したことも多くありましたが、建築に詳しくない方にも展示に興味を持っていただけたので、頑張った甲斐があったと思います。また、これまでは模型サイズの建築物に取り組むことはありましたが、実際の大きさの建築に携わる機会はほとんどなかったため、実物を設計図通りに作ることの難しさを痛感しました。しかし“再現の難しさ”を体感できたことが、次回以降の建築に活かせると思うので、今回の経験を糧にして建築やデザインのスキルをより磨いていきたいです。