追究

2023年03月28日

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

2023年1月23日(月)長久手キャンパス 8号棟5階プレゼンテーションルーム

二種類の実践的な設計課題に挑戦した3年生。
建築家からの厳しくも的確なアドバイスが、彼らの視野をさらに広げました。

 創造表現学部 建築・インテリアデザイン専攻の「空間設計Ⅳ」は、3年生が個人やグループで設計課題に挑戦し、最終的に建築計画の図面化、模型化、設計意図のプレゼンテーションを行う授業です。3年次までの学びの集大成とも呼べる本授業では、身につけてきた分析力・表現力・課題解決力などを駆使し、対象となる地域や人々に恩恵をもたらす設計プランを考えていきます。最終回の授業では学外からお呼びした建築家の方に学生たちの作品を講評していただく「最終講評会」を実施します。2022年度は建築家の畝森泰行氏をお迎えし、最終講評会の審査員を務めていただきました。

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

 まず畝森氏による講演会が開催されました。自身がこれまでに携わってきた建築物について紹介しました。畝森氏が独立後、最初に設計したのが「small house」です。縦に細長いのが特徴で、天井高がバラバラな4階建てですが、光や風を取り込みやすく、個性的かつ機能的な住宅となっています。岩手県の商業施設を健康診断や子育て支援、市民交流などが可能な複合公共施設に変えるというプロジェクトでは、それぞれに独立の空間を用意して寄せ集めるのではなく、健康診断といった目的がない人でも来やすくなるようなプログラムを設計しました。屋内広場を設置し、そこを軸にして子育て支援などの9つのカテゴリーに分類した空間に繋がるような造りにしました。今回紹介していただいた建築はいずれも「他者を認められる」「変化がある」「シンプルである」の3つの軸を重視して取り組みました。

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

 講演会の終盤では、質問タイムが設けられ、学生の「住宅と公共施設では、設計する上で意識することは違いますか」という質問に対し、畝森氏は「住宅も公共施設も、人の居場所である」として、どちらも地続きで考えていると回答しました。そのほか、学生は建築家の考え方を学べる絶好の機会ということで、多くの質問が寄せられ、畝森氏は丁寧に答えました。

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

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建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

 講演会終了後はいよいよ最終講評会が開始となりました。畝森氏と本専攻の先生数名に、個人で取り組んだ第一課題「自分の通った小学校の現代化プロジェクト」と、グループで挑戦した第二課題「都心の文化交流施設」の作品をそれぞれプレゼンテーションしました。前半に第一課題、後半で第二課題を発表し、それぞれの審査結果をもとに課題を問わず計6作品が二次審査へと進みます。一次審査は「ポスターセッション」で、学生たちは準備しておいた模型や図面を用いて発表します。質疑応答を含め4分という限られた時間の中で、対象地域の特徴や課題、そしてその課題を解決するためにどのような工夫を施したかなどを紹介しました。どの学生も緊張の面持ちで発表に取り組みますが、畝森氏や先生方からの「どう地域の課題を解決するのか」「この形状にしたのはなぜか」などの鋭い質問にも落ち着いて回答し、厳しい指摘も真摯に受け止めていました。審査員の先生方も、学生の制作にかけてきた思いを汲み取りながら、作品一つひとつを真剣に評価していきました。

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

二次審査では、第一課題・第二課題のそれぞれの上位3作品が選出され、上位に選ばれた作品を制作した学生が、およそ5分間で改めてプレゼンテーションをおこないます。学生たちは一次審査で指摘されたポイントに注意し、より魅力的な発表になるように努めました。しかし質疑応答の時間も5分間用意されているため、一次審査よりも核心を突く質問が多く投げかけられます。一見、現代的で斬新に思える設計でも、基本的な構造が変わらないと「従来型とどう違うのか」「その設計で本当に課題が解決につながるのか」など、本質的な部分への疑問点が見つかってしまうようです。学生たちは畝森氏から厳しくも的確なアドバイスを受け、自身の作品を見つめ直したことでしょう。

 6作品の発表を終えるとすぐに集計がはじまり、畝森氏が評価した「畝森賞」に3作品が選ばれ、その中でも、牧嘉乃さんの『higher is more』が栄えある第1位となりました。牧さんには、畝森氏がお勧めする3冊の本が贈られました。

建築・インテリアデザイン専攻「空間設計Ⅳ」最終講評会

 最終講評会では、自分たちの作品を通して建築家の視点や考え方を学ぶことができました。この貴重な時間の中で得た気付きは、卒業プロジェクトや進路先でも大きな力となることでしょう。