追究

2023年04月10日

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

2023年2月27日(月)名古屋市南区 かさでらのまち箱

宮本ゼミの学生が居場所づくりプロジェクトに参加。
学生が設計・施工したユニークな店舗は、まちのシンボルの一つになりました。

 本学の建築・インテリアデザイン専攻では、住宅や建物に関する学びを通して、歴史・文化・環境・経済などの建築のバックグラウンドを学んでいきます。ときには学外に出て建築に触れたり、レイアウト設計に携わったりすることもあり、実践的な力を養えるのも本専攻の特徴といえます。その一環として宮本ゼミの学生が、複合スペースの内装設計に取り組みました。

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

 学生たちが挑戦したのは、名古屋市南区の笠寺町にある小さな複合施設「かさでらのまち箱」の内装レイアウトです。宮本先生が企画立案者であるかさでらのまち箱は、檜アロマを開発販売する「HAPPEST LAB」、本を基軸に場づくりを図る「かさでら図書館」、創業100年を超える地元の和菓子屋「御菓子司 本松」の3店舗による共同プロジェクトで、宮本ゼミはそのプロジェクトに参加し、街のリサーチや事例調査を重ねてアイデアを練り上げ、事業者へのプレゼンテーションを経て設計アイデアが採用され、店舗設計と施工を担当しました。

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

 館内は3コーナーに分かれており、本箱が不規則に積まれ、隙間も有効活用できる「ランダム積層本箱」、まちの案内や名産品が飾られており、アンテナショップの役割も担う「ディスプレイ壁」、ベンチや机が入れ子状に格納され、外へ拡張することで軒先営業も可能になる「マトリョーシカカウンター」と、学生たちのユニークな発想が存分に発揮された内装になっています。本箱は月額利用料を払うことで誰でも空きスペースを利用することが可能で、古本や自社の出版物、手作りグッズなどを貸出・販売できます。当初、宮本先生は「100弱あるスペース中の半分ほど埋まってスタートを切れれば十分」と考えていたそうですが、その予想を大きく裏切り、オープンからおよそ1カ月で7-8割ほどのスペースが埋まりました。本箱だけでなく隙間や扉付き本箱を利用したいという人も多いようで、『多様な人が箱や隙間の使い方を創造したくなる本箱』という、学生たちの設計意図が実を結んだようです。

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

 事業者の方や利用者の方からの評判も上々で、「私たちには思いつかないような個性的な並べ方でとても面白いなと思いました」「発想が柔軟な学生さんと関われたことで今後のまちづくりの刺激になりました」「本棚が独創的で、一目でかさでらのまち箱だと分かるのがとても良かったです」など嬉しいコメントを多数いただきました。

 今回のプロジェクトを通して、空間設計の面白さや難しさを改めて理解した学生たち。自分たちの考えたデザインがまちづくりに貢献し、事業者や利用者の方からも良い反応をもらえた経験は、今後の制作における確かな自信につながったことでしょう。3年生の彼らは今回の設計で得た学びや気づきを活かして、4年次の卒業プロジェクトに取り組んでいきます。

学生コメント

建築・インテリアデザイン専攻 宮本ゼミ かさでらのまち箱

創造表現学部 建築・インテリア専攻 3年
朝倉日向さん

 私は本棚の設計を担当しました。当初は別のデザイン案を考えていましたが、計画途中で「かさでらのまち箱」という名前が決まったので、「まち箱」から連想して本箱を重ねるデザインにしました。本のサイズもさまざまなので、大きさの異なる本箱を3種類用意し、空間のバリュエーションが多くなるように積んでいきました。配線や耐震性などにも注意しなくてはならなかったので大変でしたが、なんとか形にすることができてよかったです。本棚は多くの方にご利用いただけているようなので、努力した甲斐がありました。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 3年
沼田花歩さん

 マトリョーシカカウンターの設計と施工に挑戦しました。カウンターと机、ベンチが入れ子式に構成されていて、サイズが重要になるので予め設計図を作成していたのですが、なかなかうまくいかず、サイズの微調整に苦労しました。その分、無事に完成した時の安心感と達成感はとても大きかったです。今の段階で、「計画通りにいかないこともある」という経験ができたのは、卒業プロジェクトや仕事に対する心構えにつながりました。空間設計を実際に形にすることの難しさが身に染みたので、今後の制作では時間に余裕を持つようにし、多少失敗しても試行錯誤し続ける姿勢を忘れないようにしたいです。

創造表現学部 建築・インテリア専攻 3年
加納稜也さん

 私が担当したディスプレイ壁は、黒板のようにチョークで自由に絵やメッセージを書くことができるようにして、商品の宣伝やまちの情報発信に使えるようにしました。また外から見ても目を引くように、壁のベースカラーを可愛らしい黄色にしてあります。今回のプロジェクトは「利用者がどうしたら喜んでくれるか」「どうしたら楽しいデザインになるか」など、さまざまな利用者層を想像して取り組むことができました。消費者目線で設計企画を考えることの重要性を実感できたことが、自分の成長につながった一番のポイントだと思います。