追究

2023年04月17日

ビジネス学部 第11回インナーゼミナール大会

2023年3月1日(水)星が丘キャンパス55A教室、4号館2階、3階

分野の枠を超えて7つのゼミが集結し、
それぞれの観点から同じテーマに取り組む討論会が開催されました。

 ビジネス学部では「経営学・商学・会計学・経済学」といった伝統的な学問を活かしつつ、さらにビジネスに必要な専門性を高めるため、1年次の後期から「ビジネスイノベーション専修」「ビジネスアカウンティング専修」「グローバルビジネス専修」の3つに分かれています。ゼミで学ぶ分野は異なりますが、それぞれは連携しているため、専門領域の枠を超えて幅広く知識やスキルを身につけられるのが特徴です。その一環として毎年開催されているのが2年次のインナーゼミナール大会。同じ業界にある2つの企業について、学びの異なる複数のゼミ生がそれぞれの視点から分析・考察を進め、どちらがより優れているかを討論します。2023年3月1日(水)に開催された本大会では6つの分科会に分かれ、最初にゼミごとに調査内容や考察点をプレゼンテーションし、その後、司会進行を務める3年生の議団長から提示される2つの論点について議論を交わしました。

 マーケティングの分析を行うチームや、財務諸表から現状の経営力や将来性を推し測るチームなど、それぞれ異なるアプローチから白熱した討論が繰り広げられた本大会。学生たちは相手の意見や考え方を汲み取った上で積極的に質問を投げかけ、お互いの知識や視点を共有。そこから考えを統合し昇華することで、結論をまとめました。討論会後の閉会式では各ゼミの先生が討論内容を講評し、最後に大会の発起人である大塚 英揮先生から「1年次と比べるとやはり大きく成長していると思います。春休み期間に開催される大会ということもあり、モチベーションを上げにくかったかもしれませんが、それでもしっかりと形にして素晴らしい討論ができたことは胸を張っていいことです。この経験を自信につなげて3年次の実習などで結果を残せるように頑張ってください」と、熱いエールが送られ、今回のインナーゼミナール大会は閉幕しました。

 以下、各分科会の様子をダイジェスト形式でご紹介します。

【分科会1】東祥 vs セントラルスポーツ
参加チーム:三矢ゼミ、傅ゼミ、浅井ゼミ
担当教員/議長団:前田先生/前田ゼミ

スポーツクラブを展開する企業についての討論が行われたこの分科会では、「活動実績や事業戦略から見て、どちらの企業に投資を行いたいか」という論点で議論を開始。スポーツクラブの成長性についてはまだ不透明ですが、不動産事業が安定しており、リスクが分散されていることから、全てのゼミで東祥に投資すべきという結論に至りました。アカウンティングを専門とするゼミがないにもかかわらず、ROE(自己資本利益率)など多様な分析がされていました。「各企業のスポーツ事業が成長するためにはどのようなことが必要か」についての話し合いでは、ターゲット別にテナントの大きさを変えたり、サービスの多様化を実現したりすることで会員数の増加を図れるのではないか、という意見が出されました。

【分科会2】ファナック vs オークマ
参加チーム:前田ゼミ、三矢ゼミ、大塚ゼミ
担当教員/議長団:浅井先生/浅井ゼミ

3つの専修のゼミが揃った分科会2では、前田ゼミと三矢ゼミは財務諸表の分析、大塚ゼミではVRIO分析(内部資源の分析)をもとにした外部環境の変化への対応力について発表。「どちらの企業の方が、変化する外部環境に柔軟に対応できるか」についての議論では、全く違う観点から分析を進めましたが、いずれも「高い資本力や海外展開をすでに成功させているファナックの方が柔軟に対応できる」という結論となりました。議長団の3年生からは「今回はどのゼミでも触れていない分野を論点にさせていただきましたが、それぞれ異なる視点から深掘りされており、議論が活発に行われていたのでとても良かったです」と議論内容を称えました。

【分科会3】デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム vs サイバーエージェント
参加チーム:前田ゼミ、浅井ゼミ、森ゼミ
担当教員/議長団:新井先生/新井ゼミ

最初の論題である「広告業界で生き残るためには今後どのような動きが必要になるか」という議論では「流行を先取りすること」「海外市場に目を向けること」という意見がまとめられました。「自分たちが企業の社長だとしたら、どちらに広告を載せたいか」という論題については、3ゼミともにネット広告が強いサイバーエージェントと回答。AIを活用しているので人件費を多少抑えられることや、ネット広告はテレビ広告に比べてタレント起用が少なく、万が一、不祥事などが起きても対応しやすいことが理由として挙げられました。上記結果に加え、外部環境や業績、事業内容から総合的にサイバーエージェントの方が優勢であるという結論となりました。

【分科会4】Zホールディングス vs 楽天グループ
参加チーム:浅井ゼミ、新井ゼミ、森ゼミ
担当教員/議長団:傅先生/傅ゼミ

LINEやZOZOTOWN、PayPayなどコマース事業に強いZホールディングスと、楽天市場など自社サイトの運営を強みとしている楽天グループを比較した分科会4。「現時点と10年後、それぞれにおいて優位だと思われる企業はどちらか」というテーマでは、幅広い事業展開がされているZホールディングスと、グループとしての結束力が強い楽天で白熱した議論が見られましたが、結果的に現時点ではZホールディングスの方が優位だという結論に落ち着きました。10年後についても、楽天のモバイル事業に対する懸念点や、LINEやZOZOなどの各事業のサービスが現時点でメインターゲット層にアプローチができているという点から、Zホールディングスの方が優位性を保っているという結論が導き出されました。

【分科会5】Apple vs ソニー
参加チーム:渡邉ゼミ、新井ゼミ、傅ゼミ
担当教員/議長団:三矢先生/森ゼミ

世界的にサービスを展開する大手企業について、「どちらの企業に就職したいか」という第1論点と、「将来惹きつけられる製品を出し続けられるのはどちらか」という第2論点で比較。第1論点の議論では、雇用形態や社訓を軸として多くの意見が飛び交いました。Appleは入社したばかりでもチャレンジしやすいですが、能力が求められるアメリカ型企業である一方、ソニーは安定しているが年功序列の日本型の企業という分析が行われました。この議論では、チャレンジ精神を持っている人はApple、安定重視の人はソニーを目指すという結論となりました。第2論点の討論では、ソニーは工場を所持しているため、自社で商品を生産できることが強みですが、Appleは時代の変化に対応できる人材が豊富なため、Appleの方が魅力的な製品を生み出し続けられると結論付けました。

【分科会6】スノーピーク vs ゴールドウイン
参加チーム:傅ゼミ、新井ゼミ、森ゼミ、前田ゼミ
担当教員/議長団:大塚先生/大塚ゼミ

アウトドア用品を扱う2つの企業について、イノベーションとアカウンティングを専攻するゼミが2つずつ、計4つのゼミで討論を進めました。「現時点において優良であるのはどちらか」というテーマでは、収益性や安全性、メインターゲットである20代のニーズを捉えているなどの点から、ゴールドウインの方が優良であるという結論となりました。「抽象的な目線ではどちらの企業がより成長しているか」という議論では、独自の体験価値が中長期的に続くと考えるスノーピーク派と、今後アウトドアの需要が減り、多様な事業展開を行う方が相対的に成長できるとしたゴールドウイン派の2つに分かれました。最終的に結論はまとまりませんでしたが、さまざまな意見が交わされたことで、多角的な視点が学生たちにもたらされました。