追究

2023年08月22日

人間情報学部 キャリアデザイン

2023年6月24日(土)、7月8日(土)長久手キャンパス741教室

各業界で活躍されている方々が体験談や仕事への姿勢を語り、
学生たちにキャリア形成についてのヒントを伝えました。

 本学では、進路に悩む学生たちに将来を考える上でのヒントをもたらすために「キャリアデザイン」科目を設置しています。各業界で活躍されている方々を講師としてご登壇いただき、ご自身の経験を通して、就職活動の進め方や社会人に求められる能力などについてお話しいただいています。
 2023年6月24日(土)と7月8日(土)には計3名の方をお招きし、ご自身の仕事や就職活動、キャリア形成について語っていただきました。

6月24日(土)「暮らせる図書館」館長/藤野幸江 様

 藤野様は名古屋市名東区西山商店街にある子ども文庫「暮らせる図書館」で館長を務めており、読書だけでなく遊んだり飲食もできたりする小規模図書館を運営しています。本学の学生団体「NAO」とも共同で活動し、子どもたちに家や学校とも異なる新たな居場所を提供しています。

 現在、子ども文庫を運営されている藤野様は、「就職活動」「転職」「起業」の3つがご自身のターニングポイントになったと語られました。就職活動では、2社から内定をいただけたようですが、最終的には「担当者が親身に話を聞いてくれた」という理由から株式会社ジェイアール東海髙島屋に入社を決めたそうです。様々な企業へ就職活動をおこなう中で、「見せかけは通じないこと」と「大切なのは素直になること」の2点を学んだといいます。

 入社してからはマーケティングやマネジメントなどの業務を担当していましたが、疲労もあってか病気にかかってしまい、持病を抱えながらも一生懸命働いていました。休日に息抜きで書道教室に行った際、教室に通っている子どもと触れ合っているうちに「こういう場所で働きながら子どもを育てたい」と思うようになり、それをきっかけに仕事を退職。病気を転機として本当にやりたいことをイメージし、目標達成までのステップを逆算して一つずつ進むことにしました。

 株式会社ジェイアール東海髙島屋を退職後は、本学の教職員として1年間働いていましたが、さまざまなご縁があり居場所づくりの団体を立ち上げることに。西山商店街で空きスペースが見つかり、「先がどうなるかわからないが、楽しそうなので飛び込んでみた」として、勢いに任せて暮らせる図書館を設立されました。しかし、ちょうど子育て中であったことや、過去に多忙で病気になった経験から「無理をしない」範囲で活動を続けているそうです。今回の“起業”というターニングポイントでは「限られた時間でできることややりたいことを考えた」と語られ、最後に「失敗するのは不安かもしれませんが、道は何度でも変えられます。自分が本当にしたいことや、どんな自分になりたいかをしっかりとイメージして、挑戦してみてください」と、学生たちの背中を押してくださいました。

7月8日(土)トーテックアメニティ株式会社/近藤里咲 様

 ソフトウェアの開発やITインフラの設計などをおこなっているトーテックアメニティ株式会社で、図書館SEとして働いていらっしゃる近藤様。本学部の一期生であり、就職活動の際はキャリアセンターをよく活用していたそうです。学生時代に図書館司書の資格を持っており、学部でITの知識を学んでいたため、その両方を活かせる図書館SEを目指したとのこと。ただ、当時はサークルや部活に所属しておらず、アピールポイントがないことに不安を感じていましたが、アルバイトやボランティアなどの強みは身近にあることに気付き「履歴書に書けるネタは実は近くにたくさんあります」と、学生たちにご自身の経験をもとにしたアドバイスを送りました。

 続いて図書館SEの仕事内容について説明。入社1年目は、一人で黙々と作業に取り組むという当初イメージしていたSEと異なり、コミュニケーション能力が必要なことにギャップを感じたそうです。実際に設計や開発だけでなく、プレゼンや打ち合わせ、お客さまへの操作説明など、社外の方と話す機会が多く、それらを踏まえて「技術力など会社や職種特有のスキルはもちろんですが、身だしなみやマナーに気を付けて、相手と正しいコミュニケーションを取る人間力も社会では求められます」と、社会人の先輩としてメッセージを伝えました。

 学生からは就職活動やIT企業についての質問が多数寄せられました。「IT企業の面接で印象的な質問はありましたか」という質問には、「『今からカレーの作り方を説明してください』といわれたことがあります」と、個性的な選考があったことを振り返ります。これは相手がイメージできるように物事を説明するための論理性を試すものだったと語り、学生たちに「たまに変わった質問を投げかけられることもありますが、落ち着いて回答すれば大丈夫です」と、不安を抱える学生にエールを送ると、学生たちは少し安心した表情を浮かべました。

7月8日(土)東京コンピュータサービス株式会社/鈴木博貴 様

 7月8日(土)の後半の授業で登壇された鈴木様は、「自分の10年後、20年後の具体的な未来が描けますか」と今回の講演会で考えてもらいたいことを最初に伝え、ターニングポイントと3つのチャレンジについて語られました。

 東京コンピュータサービス株式会社に入社後、システム部で8年間同じプロジェクトに携わっていましたが、営業部から誘いを受けたことがきっかけで部署を異動。これがターニングポイントとなったそうです。営業部ではさまざまな人の考え方を学べたと語り、「あのとき誘っていただけたことが今の自分につながっている」と、現在のご自身のルーツを振り返りました。
 営業部として実績を積み重ね、三河支店の支店長を経て現在の名古屋支店長になってからは、「オフィスの移転」「大規模展示会への出展」「新事業の立ち上げ」という3つの大きなチャレンジを実行。オフィスは予算をかけて社員が働きやすく、自慢できるオフィスに移転し、また、展示会へ出展したことで現在まで取引が続くお客さまと出会うことができたそうです。

 新事業としては医療系の専門学校と共同で「VR解剖学アプリ」などを開発し、人体の構造をより理解しやすくし、専門学校生の学びをサポートしています。当日は新事業部のメンバーで、本学部の卒業生でもある神琴乃様と原菜々子様にVRゴーグルを持ってきていただき、学生たちは実際にアプリを体験しました。VRゴーグルをつけると目の前に人体模型が現れ、臓器などを取り出して観察したり、解説を見たりすることができます。操作練習の後、2人の学生によるゲームがスタート。指定された器官を先に発見した方が勝ちというルールで、白熱したゲームが展開されました。

 最後に卒業生のお2人からは「人生何があるかわかりません。大学のちょっとした経験でも、今後の人生を左右するきっかけになることもあります。私たちもさまざまなきっかけからこの会社に入社し、アプリ開発に携わることになったので、今回の授業も皆さんの何かのきっかけになればいいなと思います」と、きっかけの重要性を伝えました。また鈴木様は「普段の考え方や行動が、良い出会いや機会をもたらします。良い思考習慣を身につけて、自分らしいキャリアを見つけてください」と、将来のために今から考え方を変える必要性を伝えました。

 本学部の卒業生や本学の元職員など、愛知淑徳大学との関わりが深い方々から就職活動や仕事への取り組みについて語っていただいた本科目。IT企業や転職についてなどのお話は学生からの関心が高く、彼らの進路選択に大きな影響を与えたことでしょう。本学では今後も、学生たちが理想的なキャリア形成を実現できるようにサポートを続けていきます。