追究

2024年04月09日

創造表現学部 創作表現専攻 清水良典先生最終講義

2024年2月18日(日)星が丘キャンパス12A

創作表現専攻の清水良典先生の
最終講義には、多くの在校生と卒業生が集い、
先生の生い立ちを傾聴しました。

 創造表現学部 創作表現専攻は、理論と実践の両面から表現を学び、発想力、描写力、独創性を身につけます。作家、評論家、漫画家、演劇人、ノンフィクションライター、編集者など、第一線で活躍するプロフェッショナルが教壇に立ち、先生たちのリアルな経験を元にした指導を受けられるのが特長です。そんな創作表現専攻で1995年から教壇に立ち続けた清水良典先生がこの度、ご勇退されます。その最終講義が星が丘キャンパス12A教室でおこなわれました。

 清水先生は『記述の国家 谷崎潤一郎原論』で第29回群像新人文学賞を受賞して以来、多くの雑誌や新聞で文芸評論を展開されています。最終講義の題目は「ゆかりのみちすじ」とし、清水先生が教員になる以前はどんなことをされていたのか、小牧工業高校での教員時代、そして、文芸評論家としての活躍や本学に赴任してきてからの事柄を時系列に沿ってお話していただきました。
 清水先生は1954年に奈良県に生まれ、中学2年生からギターに興味を持ち、中学3年生のときには詩や小説を書き始めたそうです。応援団に入り、副団長を務める傍ら、体操部と文芸部にも所属。さらに生徒会にまで関わるという多忙な毎日を過ごしていました。1968~1970年は反戦フォークが流行し、このときに高石友也をはじめ、多くのフォークシンガーの影響を受けたと話す清水先生。その一方で高校の恩師である植村茂七先生と出会い、同人誌活動に誘われて小説や評論を書く経験もされました。大学は立命館大学に進学し「近代文学研究会」に所属。多くの友人と文学作品に対する議論を交わし、それが後に文芸評論をおこなう基盤になったとお話しされました。
 大学を卒業し、小牧工業高校に赴任した清水先生は、そこで志を同じくする先生3人と一緒に、文章を書くのが苦手な生徒でも作文が書けるようになる授業を始めます。そんな活動の中、先生は優れた作文の定義を見出します。それは「自分にしか書けないことを、誰にでもわかるように書く」こと。先生はこれがいまでもクリエイティブライティングの素地になっているとおっしゃいます。

 1986年からは『高校生のための文章読本』をはじめ、さまざまな著書を世に出し、中日新聞や朝日新聞でも連載を担当。さらに1998年から2001年までは朝日新聞の書評委員も務められました。そんな文芸評論家として活動しているときに、本学への赴任が決定。1995年当時、本学はまだ短期大学でしたが国文学科で教鞭を取ることになりました。その後、学部・学科の名称は変更になったものの、担当科目から書籍になったものもあります。また、清水先生のゼミから作家としてデビューした学生もおり、その中の数名はこの最終講義にも参加していました。
 最後に先生は「70歳の新人」と題し「生きていることは書くことであり、読むこと。そして音楽を楽しむことです。生きている限り、いろんなことを楽しめる新人でいたい。皆さんもどうか楽しんでください」と笑顔で締めくくりました。
 最終講義はときに熱く語り、ときにユーモアを交えて笑いを取る清水先生らしい時間となりました。