追究

2024年05月10日

⼈間情報学部感性⼯学専攻 新型ドライビングシミュレータ導⼊と活用

新型ドライビングシミュレータの導入により、
さまざまな状況下での運転検証ができるようになりました。

 人間情報学部 感性工学専攻では、AIやロボット等の活用や情報システムの開発、人に寄り添ったモノづくりやデザインについて学んでいます。VRやメタバース、ロボットなど最新技術に関する実験や研究に取り組むのも、本専攻の特長です。
 運転についての研究で活用するドライビングシミュレータもその一つで、2023年夏には新モデルが導入されました。ドライビングシミュレータとは、自動車の開発や交通環境の設計などを目的に、自動車の走行をシミュレートする装置です。道路環境や歩行者なども再現することができ、リアルな走行体験はもちろん、特殊な状況での走行検証も可能です。

 この新型ドライビングシミュレータは本学独自の設計となっており、三咲デザイン合同会社様に開発していただきました。これまでのシミュレータとの違いは、システムがオープンソースで成り立っていること。これにより、システムの改良や道路環境の変更、データ出力項目の設定が自由にできます。また、国土交通省が公式に配布しているデータを活用することで、名古屋駅周辺をはじめとした現実の道路環境を再現できるほか、実際の事故多発地点や学生の居住地域を対象に実験することができます。

 本専攻では、⾃動⾞用シミュレータだけでなく⾃転⾞⽤シミュレータも導入。自動車用シミュレータでは、運転者が実際の自動車と同じようにアクセル・ブレーキ・ハンドルなどを操作します。運転席を囲むように配置された7台の大型モニターによって、没入感のある交通環境を再現しているため、前方や側方だけではなく、ミラーによる後方確認に関する検証も可能。運転中の操作や速度は随時記録され、「速度が速い場面はどこか」「ブレーキを踏む回数が多いのはどのような状況か」などを分析することができます。自転車用のシミュレータも実物と同じような操作感で運転でき、自動車用と同様に運転操作に関するデータを記録しています。

 学生たちは感性工学専攻の専門科目「測定法演習」でドライビングシミュレータの基本的な使い方などを学び、卒業プロジェクトでは、現実の道路環境や運転での問題点を発見し、シミュレータで再現して実験。得られたデータを用いて、課題解決を目指して分析・研究します。テーマ例として、「VRで再現した道路環境や他の交通参加者(車両、自転車、歩行者)による運転への影響の検討」「車室内環境の違いによる運転成績の比較(音楽、香り、携帯電話の着信など、それらの個人差)」「 VRコンテンツの制作(交通環境の改善などへの提案)」などが挙げられます。ドライビングシミュレータを活用することは、交通環境や運転の安全性に関する学習はもちろん、VR制作やプログラミング、システム制作などのスキル習得にもつながっています。
 また、6月・7月・9月のオープンキャンパスでは、自動車シミュレータと自転車シミュレータの体験ブースを用意。高校生の方々にも試乗していただけますので、ぜひ体験してください。