追究

2024年06月28日

2024年度 第1回 食創造科学科 学術講演会 「茶事に見られる茶と食の関係について」

2024年5月2日(木) 長久手キャンパス1号棟 多目的ホール
国際交流会館(アイハウス)茶室

茶の湯について学ぶとともに、お点前を実践。
伝統文化にふれ、新たな視点から食への関心を広げました。

 2024年4月に設置された食創造科学科は、食について幅広く学べる新たな学科です。食品学、栄養学、調理学、健康学、食文化、食創生の6領域に関する知識を身につけるだけでなく、食品分析、食品加工、食品開発などを実践的に学び、食産業・食文化の創造や、人々が健康的に過ごせる社会の実現に貢献できる人材を育成します。学生が視野を広げて学修・研究を深めていけるように、日々の授業のほか「学術講演会」を定期的に実施。今年度の第1回として5月2日(木)に「茶事に見られる茶と食の関係について」と題した講演会が長久手キャンパス1号棟多目的ホールでおこなわれました。

 講師にお招きしたのは、茶道裏千家正教授の神谷宗舎長(ソウチョウ)先生。茶道文化を後進に伝えるとともに、茶道史や茶室建築の研究にも取り組まれています。今回の講演会では、茶道の歴史や茶事の概要、作法の背景にある人々の思いなどについて語られました。

 「お茶」「茶の湯」は生活芸術というジャンルの伝統芸能に分類されます。ルーツは、室町時代に生み出されたわび茶。千利休によって完成され、戦国武将たちにも愛されました。戦国の世においては、茶事における人と人の交流はまさに「一期一会(一生に一度の出合い)」であり、茶事の一つひとつのおこないには相手を思う心や一服のお茶への感謝の心などが込められています。神谷先生は伝統的な作法や様式などを紹介しながら、「茶の湯は、生活習慣や四季折々の生活ごよみを取り込みながら、禅の食法に基づいた懐石料理を伴った茶事として成立した伝統文化です」と説明。学生たちは奥深いお茶の世界にふれて、興味深そうに聞き入っていました。

 講演会の後は、会場を国際交流会館(アイハウス)の茶室に移し、お点前のデモンストレーションと学生による実践がおこなわれました。正座や挨拶の正しい方法といった基本から、お茶の点て方、お茶やお菓子のいただき方、掛け軸やお花、茶器の味わい方まで、神谷先生が熱心にご指導くださいました。学生たちは緊張しながらもお点前を楽しみ、おもてなしの心遣いを体感しました。
 日本の伝統文化である茶道を体験的に学び、食に関する新たな関心を広げた学生たち。知的好奇心や探究心をもち、多様な学修・研究に挑んでいくきっかけになったことでしょう。