追究

2015年09月28日

メディアプロデュース学部 メディアプロデュース学科 都市環境デザイン専修 藤本壮介講演会「未来の未来」

メディアプロデュース学部 メディアプロデュース学科 都市環境デザイン専修 藤本壮介講演会「未来の未来」

平成27年8月9日(日) 長久手キャンパス7号棟741教室

今ある建築を根本から問い直し、提案し続ける建築家・藤本壮介氏の講演会を開催。

 7月25日(土)~8月9日(日)の16日間、メディアプロデュース学部 都市環境デザイン専修の3年生35名が会場設計、設営、運営を手がけた展覧会「藤本壮介展 未来の未来」を開催しました。この展覧会は設計だけにとどまらず、実際に会場を創りあげるという経験を通して多くのことを学んでほしいと、16年前から続いているメディアプロデュース学部の伝統的な取り組みです。毎年春に東京の「TOTOギャラリー・間」で開催される建築展の「愛知巡回展」として、第一線で活躍するさまざまな建築家とコラボレーションしてきました。今年は国内外で活躍する建築家・藤本壮介氏。8月9日(日)には藤本氏が来校し、講演会も開催しました。

まるで森のような建築をめざして。

 藤本氏は近年の作品を取り上げ、設計の意図や作品に対する思いをていねいに解説しながら、「建築も世の中や自然の生態系のひとつととらえ、たとえば森のように"何かと何か"が境界線を超えて交じり合ったような建築をめざしている」と伝えました。最初に紹介したのは「敷地面積が狭いことから"家具と住宅が交わったような一軒家"をつくろうとした」と藤本氏が語った「House NA」。試行錯誤を繰り返し、小さな箱が上下左右、無造作にくっついたような全面ガラス張りの家を完成させたと説明しました。さらに、「パブリックとプライベート」を共存させようと発案したのが「Toilet in Nature」。扉を開けると目の前に庭が広がり、その中央にトイレがある斬新な公衆トイレです。藤本氏は「壁には視界をさえぎる働きと空気を分ける2つの役割があります。その2つの役割を別のものとしてとらえて表現したのがこの作品です」と解説。他にもマトリョーシカのように何層にも重なった住宅「House N」や階段や壁などすべて本棚をモチーフにして考えた「武蔵野美術大学 図書館」など、多岐にわたる作品を紹介しました。講演会終了後におこなった質疑応答には会場から建築を見るときのポイントや建築における「白」という色についてなど、さまざまな質問が寄せられ、藤本氏の考えをひもとく充実の時間となりました。「建築をつくるということは未来に種を蒔くことだ」と語る藤本氏の考えに触れた学生たちにとって、この講演会は建築の可能性や力を再認識するきっかけとなりました。