追究

2016年01月05日

愛知淑徳学園創立110周年・愛知淑徳大学開設40周年記念行事 メディアプロデュース学部主催「風景の再構成に向けて Passive Architecture & Active Landscape with Nature」

愛知淑徳学園創立110周年・愛知淑徳大学開設40周年記念行事 メディアプロデュース学部主催「風景の再構成に向けて Passive Architecture & Active Landscape with Nature」

平成27年11月23日(月・祝)長久手キャンパス511教室

持続可能な社会を実現するために、風景をデザインする。
その意義をランドスケープデザイナー・田瀬理夫氏が語りました。

 11月23日(月・祝)、ランドスケープデザイナー・田瀬理夫氏をお招きし、メディアプロデュース学部主催の愛知淑徳学園創立110周年記念行事をおこないました。メディアプロデュース学部 都市環境デザイン専修の2・3年生15名は、この日に向けて「里山×キャンパス GREEN PROJECT」と題したワークショップを実施。風景をデザインし、建築や街づくりに新たな提案を続ける田瀬氏の作品づくりに対する考え方をひもときながら、長久手キャンパス内に里山を感じさせる憩いの空間を創りあげました。
 講演会当日、長久手キャンパスに訪れた田瀬氏は開演前に「GREEN PROJECT」の作品を鑑賞し、ワークショップに参加した学生たちと交流。田瀬氏が現在関わっているプロジェクトなど、里山やランドスケープをテーマに語り合いました。その後、会場を移して「風景の再構成に向けて」と題した講演会がスタート。田瀬氏は、「都会は建材にあふれてまるで一種の砂漠のよう」と表現し、一方で田舎は地球温暖化や産業化が原因で、こけばかりの山など不自然な環境が増えているという問題点を指摘しました。そして「日本にはかつて、商いと住居と景色が共にあり、それぞれが美しい姿で共存していた時代がありました。これぞ理想の風景だと思います。時代の変化とともに、本来あるべき風景が失われつつある今、日常性と社会性と地域性のすべてを網羅した空間の提案が求められています」と語りました。風景をデザインする意義を説明した上で、田瀬氏は自身の手がけた作品を次々にプロジェクターに映し出し、自然を身近に感じながら生活できる空間を多く作り出してきたことを紹介しました。馬小屋と民家が一体となった「南部曲り家」、植物のクズでできたトンネル、緑のカーテンで覆われた集合住宅...。その多くが近代的な建築に美しい緑が調和した、新しさを感じる空間ばかり。田瀬氏は「今は東京一極集中の世の中ですが、あと50年後は果たしてこのままでしょうか? 未来の“幸せな暮らし”を想像し、新しい提案を続けていくことが風景づくりにおいて欠かせない要素なのです」と語り、講演会を締めくくりました。今回の講演会から、環境への関心がいっそう高まる今の世の中では、人の営みと自然保全を同時に実現できる空間が求められていることを学んだ学生たち。「風景をデザインする」という考え方は、建築や空間を捉える時の新たな視点として、学生たちの心に深く刻み込まれたことでしょう。