追究

2016年01月08日

愛知淑徳学園創立110周年・愛知淑徳大学開設40周年記念行事 交流文化学部主催「サスティナブルな地域循環型社会に向けての実践 ~信州小布施・保科での試み~」

愛知淑徳学園創立110周年記念 交流文化学部講演会 サスティナブルな地域循環型社会に向けての実践 ~信州小布施・保科での試み~

平成27年11月18日(水) 星が丘キャンパス2号館25A

日本を愛するセーラ・マリ・カミングス氏。
文化を守ることや自ら行動することの大切さを伝えました。

 好きこそものの上手なれ、捨てる神あれば拾う神あり、住めば都、二度あることは三度ある......。11月18日(水)、日本のことわざをふんだんに織り交ぜながら、自身の日本での活動について講演したのは、セーラ・マリ・カミングス氏。交流文化学部主催の学園創立110周年記念行事として開催された講演会で、長野県信州小布施や保科での町おこしの取り組みを紹介しながら、伝統を継承することの大切さや自国の文化の魅力を知ることの素晴らしさを学生たちに伝えました。
 まず、セーラ氏が来日したきっかけから講演会はスタート。日本語を学んでいたセーラ氏は、「ぜひとも自分の目で日本を見てみたい」と交換留学生として1991年に来日しました。ご自身がクロスカントリーの選手であったことを紹介し、富士山登頂にチャレンジするも失敗してしまったエピソードを披露。その悔しさをセーラ氏は「転んでも前に倒れれば失敗ではない、そう自分に言い聞かせて、再来日を決意しました」と表現し、さらに日本文化の素晴らしさに魅せられたことで、日本で活動したいという想いを募らせたと伝えました。
 次に訪れた転機は、1998年の長野オリンピックです。当時日本の企業で働いていたセーラ氏は、英国選手の民間特命大使を務めることに。そして、世界中の人が日本に注目するオリンピックというチャンスを活かして日本の魅力をより多くの人に伝えたいと、まずは利酒師の資格を取得したり、着物の着付けを習ったり、自らのスキルを磨いていきました。その中で、日本酒の「桶仕込み」という製法が後継者不足の影響でなくなってしまう危機にあることを知り、すぐに行動を開始。「伝統を守り、継承するためには、その土地の人々が一丸となって活動することも大切ですが、それだけでは難しいところがあります。文化を継承していくためには、外部にその魅力を発信し、成長し続ける必要があるのです。私は外からやってきた“風”として、今までにない視点で魅力を広めるお手伝いができたらと考えてさまざまな企画を実施しました」と語ったセーラ氏は「桶仕込み保存会の立ち上げ」をはじめ、「国際北斎会議の誘致」や「小布施見にマラソン」など町おこしにつながる企画を学生たちに紹介しながら、「日本には普段の生活の中に素晴らしい文化が根づいています。そのことを思い出し、自分たちの文化を誇りに思ってもらえたらと願っています」とメッセージしました。セーラ氏は、現在進行中の保科での「かのやまプロジェクト」について話を進め、日本人の心に“ふるさと”を取り戻したいと実施した、古民家での農業のイベントやノルディックウォーキングのイベントを紹介。最後は「日本の素晴らしい景色や文化が失われつつあることに、私には“もったいない”と感じます。若い皆さんにはぜひ、一人ひとりが日本文化継承の担い手になってもらいたいと願っています」という熱いメッセージで講演会を締めくくりました。セーラ氏の行動力、情熱、ポジティブな思考に触れた学生たちは、今回の講演会を通じてセーラ氏から未来を自らの力で切り開くためのパワーをもらいました。