追究

2016年02月19日

愛知淑徳学園創立110周年・愛知淑徳大学開設40周年記念行事 心理学部 考えてみよう「人・社会・環境」~高校生のための心理学セミナー~

愛知淑徳学園創立110周年・愛知淑徳大学開設40周年記念行事 心理学部 考えてみよう「人・社会・環境」~高校生のための心理学セミナー~

平成27年12月5日(土)長久手キャンパス6411教室

高校生たちが社会心理学のゲームを通して
人、社会、環境について考えました。

 「ひとのこころ」のメカニズムを科学的な眼で探っていく、心理学。未だ一般の人にとっては謎の多い学問ですが、愛知淑徳大学 心理学部は「生理・認知」「社会」「発達」「臨床」という4領域からその奥深い世界にアプローチしています。12月5日には、心理学に興味がある高校生を対象に「考えてみよう『人・社会・環境』~高校生のための心理学セミナー~」という特別授業を開催。高校1~3年生20名が参加し、体験学習を通して心理学のおもしろさを体感していました。

 最初におこなわれたのは、「赤白じゃんけんゲーム」。赤と白の札を使ったじゃんけん式のゲームで、高得点獲得を目標に高校生が一対一で対戦していきました。約1時間のゲーム終了後、全員の成績が集計されると、平均得点はなんと-23.5点。あまりの低い点数に、会場からは驚きの声が上がりました。小川一美教授は「これは『囚人のジレンマ』と呼ばれるゲームです。相手のことを考えず、自分の得ばかりを考えると、結局お互いに損をしてしまう、という社会心理学でよく扱われる現象です」と説明。その後、心理学部の学生と高校生がディスカッションし、「高得点を取るためには、対戦相手に勝つことを考えるのではなく、対戦相手と協力することが必要だった」とゲームのルールや結果をふまえて考察しました。
 「『情けは人のためならず』ということわざがあります。他者に情けをかけると、その人のためにならない、と意味を間違えている人が多くいますが、本来は『人のためは、巡り巡って自分のためでもある』ということわざです。この『情けは人のためならず』を実践していく相互依存的な社会で、人はどう行動すべきか、どう人間関係を築いていくべきかなどを研究していくのが社会心理学です」と小川教授。ゲームから社会のしくみを学んだ高校生は、社会心理学のおもしろさに惹き込まれ、真剣なまなざしで解説に耳を傾けていました。


 セミナーの締めくくりとして、斎藤和志教授が挨拶しました。「今回の心理学セミナーは、学園創立110周年・大学開設40周年の記念行事でもありました。その共通テーマは、地球環境、エコ。環境問題というとちょっと遠い世界の話に聞こえるかもしれませんが、その問題を起こしているのも、解決に導くのも、すべて私たち人間です。その人間の行動について社会心理学のゲームで学んだ今日の経験を忘れず、身近な人や社会、環境、さらには世界を思いやり、考え行動してほしいと期待します」。
 参加した高校生は「臨床心理士をめざしているため、臨床心理学に興味がありましたが、社会心理学もおもしろそうだなと視野が広がりました」「初めはゲームの意図が分からず、どんな結果になるのかドキドキしました。最終的に社会心理学とつながっていると知り、驚きました。もっと深く学んでみたい!」と笑顔で語ってくれました。
 心理学の学問としての魅力を知るだけでなく、共生社会や地球環境への考えも深める機会となった、今回の心理学セミナー。参加した高校生は、人や社会、世界、そして自分自身と向き合う新たな視点を得ることができたでしょう。