追究

2016年04月01日

メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース 2016 卒業プロジェクト展

メディアプロデュース学部 都市環境デザインコース 2016 卒業プロジェクト展

<学内展>1月20日(水)~22日(金) 長久手キャンパス8号棟5階
<学外展>2月16日(火)~20日(土) 名古屋市民ギャラリー 栄

大学で学んだすべての力を注ぎ、4年間の集大成として卒業制作や卒業研究に打ち込みました。

 都市環境デザインコースでは、建築、インテリア、街づくりなどさまざまな分野で活躍するための力を養うことができます。その4年間の学びの集大成が卒業制作や卒業研究です。学生たちは自ら課題を設定し、4年次の4月から、約1年間かけて制作や研究に取り組みました。
この卒業プロジェクトの最後を締めくくるのは、名古屋市民ギャラリー栄にて開催する「2016卒業プロジェクト展<学外展>」です。展覧会には、学内審査で高い評価を受けた設計制作13点と論文13編を出展。会場には学生の家族や建築の仕事に携わる方や建築を学ぶ他大学の学生、地域の方々が訪れ、学生たちの思いが詰まった作品や論文を鑑賞していました。
ここでは、学生たちの卒業研究や卒業プロジェクト展に対する思いを紹介します。

卒業プロジェクトの流れ

学内展 1月20日(水)~1月22日(金)
長久手キャンパス8号棟5階

4年生全員の作品が展示された学内展。地域社会に対する建築的提案や街づくりなど個性豊かなテーマが集まりました。

学外選抜者発表会 1月22日(金)
長久手キャンパス8号棟5階

教授陣による公平な審査の結果、学外展に出展する作品が決定。今年は設計・建築13作品、論文13編が出展されました。

最終講評会 1月27日(水)
長久手キャンパス8号棟5階

学生たちが自らの作品を学生や教授陣に対してプレゼンテーション。作品に対する厳しい批評やアドバイスが飛び交いました。

学外展 2月16日(火)~2月20日(土)
名古屋市民ギャラリー栄

若者も多く行き交う名古屋市栄で、学外展を開催。一般のお客様も多くご来場いただきました。

論文

「帝冠様式とファシズムの関係についての研究
―競技設計及び伊東忠太から見た帝冠様式―」

畠山 育実さん

 帝冠様式の流行は、今までファシズムとの関連が多く検討されてきました。私もはじめは、ファシズムの影響によるものだと思っていましたが、調べていくうちに公平な競技設計のもと、多くの帝冠様式の建物がつくられていることが判明しました。そこで、審査員・伊東忠太に着目して、「帝冠様式は、日本の建築を進化させようとした、伊東らの挑戦であった」という新たな解釈を提案しました。はじめの仮説と異なる結果となりましたが、その中で物事を理論立てて考える力や多角的な視点で物事を捉える力など、社会で活躍するときにも必要な力が磨かれたと思います。

◎作品紹介
 1930年~40年代に日本で流行った帝冠様式。この建築デザインの流行には、ファシズムの思想が影響しているのか否かを、文献を読み解いて検討しました。多くの帝冠様式の建物が競技設計で建てられたものであることから、審査員・伊東忠太にも着目して、研究を深めました。

「プロセス・アートが地域住民を育む効果についての考察」

野地 彩花さん

 大学2年生の時、「あいちトリエンナーレ2013」にボランティアの一員として参加しました。多くの人から「何をやっているの?」と声を掛けられ、アートを街中に発信することや、人々と協力しながら作品を創りあげることには、人の心を動かす大きな力があるように思えました。そんな「アートの力」を、明らかにしようと試みたのが今回の卒業研究です。研究を通じて「人々が協力しあうことで想像以上の力が発揮されること」をあらためて感じました。社会人としても、一人で問題を抱えるのではなく、多くの人を巻き込みながら、より良い課題解決をめざしたいと考えています。

◎作品紹介
 アーティストと地域住民やアートファンなどがコラボレーションし、街中に発信するアートを「プロセス・アート」と定義。その「プロセス・アート」の持つ力を、街中を舞台とした国際美術祭・あいちトリエンナーレ出展作品を分析することで、明らかにしました。

「刈谷城下町の空間的形態的特質について」

小島 早稀さん

 もともと歴史が好きで、建築物も好き。自分の2つの興味が交わるところが、「お城や城下町」でした。地理的に地元の豊川市に近く、ゆかりを感じていたことから刈谷市を研究材料にピックアップしました。メジャーなお城ではなく、まだ誰も深く研究したことがないことも、研究する上で、魅力的に感じました。しかし、実際に文献を調べだすと、資料の少なさに悩まされることに。自らの足で、情報を稼ぎ研究を深めていきました。卒業研究を通じて鍛えられた探求心や行動力は、時代を越えて世の中に残るものをつくりたいと考える私の大きな強みになると確信しています。

◎作品紹介
 刈谷城とその城下町には、どのような空間的な特徴があるのか。愛知県内のお城や城下町と比較することで、刈谷城ならではの特性を検討しました。また、刈谷城を築城した水野氏の神社や寺との関連性も検証。自らの足で、刈谷城下町を歩き、研究を完成させました。

建築設計

「すえみち」

平澤 拓也さん

 大学2年次に授業で建築家・内藤廣さんの愛知巡回展を手がけました。会場プランを考え、施工し、展覧会の運営も自分たちで。この経験がきっかけで、内藤廣さんが主催するワークショップにも参加しました。東日本大震災で失われた街を模型で再現し、被災者の方々が自分の家を彩色するという内容です。真っ白に塗られた模型は圧巻で、「自分も生まれ育った多治見の街の模型を創ろう」と心に決めました。その思いが実現したのが、今回の作品です。やりたいと思ったことに対して最後までやりぬいたことは、これから先、ディスプレイ業界で働くときの大きな自信となると思います。

◎作品紹介
 多治見市の市役所本庁舎が建つ場所に、多治見市の伝統文化である陶磁器を学ぶ学生などを対象にした集合住宅を設計。敷地を自らの足で歩きまわり見つけたテーマは「小道」。住居と住居の間隔をデザインして小道を再現し、まるで迷路のような空間を創りあげました。

「Textile Prototype―浜野ニットプレスの場合―」

濱野 修輔さん

 卒業設計に取り組む時、自分の身近な課題を解決できるような建築設計ができたらと考えていました。そんな時、祖父が営む繊維工場が思い当たりました。今は活気が失われた大阪府泉大津市の繊維産業です。空間設計を通じて、活性化を後押しできないかと考え、卒業作品のテーマとしました。実際に商工会議所の方や市の地域経済課の方にヒアリングをおこない、課題を明確にして保全につながるシステムづくりに注力しました。突き詰めたのは実現可能性です。いかに実現させるか、実現できるか試行錯誤する思考力は、ハウスメーカーの建築士として働く私の基盤となりそうです。

◎作品紹介
 大阪府泉大津市にある祖父の繊維工場をリノベーション。町工場にはアトリエ空間を設けて、若手デザイナーなど、次世代の作家が繊維産業に関われる機会を提供。また、繊維産業を守るために団体を立ち上げ、行政と町工場をつなぐプログラムもあわせて提案しました。

2016卒業プロジェクト展 <学外展>設営・運営スタッフ

坂木 恵美さん、柴田 玲民さん、稲吉 美佐貴さん、平澤 拓也さん、福嶋知子さん

 4年間の集大成である卒業プロジェクト展は、地域のみなさまに自分たちの作品を見ていただける最初で最後の機会です。「昔この辺りに住んでいたよ」とご高齢のお客様に声を掛けていただいたり、「この企画はどういう意図で考えたの?」と他大学の教授から質問を受けたり、展覧会を通じて多くの方々とコミュニケーションを取ることができました。もちろん、家族も見に来てくれて、自分たちが4年間どんなことに打ち込んできたか、感謝の気持ちとともに伝えることができて、本当によかったと思います。卒業プロジェクト展の成功を自信に変えて、それぞれの分野で活躍していきます。