追究

2016年07月11日

愛知淑徳大学 国際交流センター開設科目 米国NPOインターンシッププログラム

アメリカで社会貢献を実践する、本学独自のプログラム。
教員や学生、卒業生がその価値を語り合いました。

 愛知淑徳大学が男女共学化にともない、新たな大学の理念「違いを共に生きる」を掲げた1995年。翌年の1996年には、「共生」の時代を見据えた新しい取り組みをスタートさせました。それが、「米国NPOインターンシッププログラム」。アメリカ・ワシントンD.C.周辺の教育施設や非営利団体(NPO)で就業体験やボランティア活動などのワークサイトに励む、約1か月間の短期研修です。現地の人々と共に活動し、深く関わり合える学修プログラムとあって、毎年多くの学生がチャレンジ。2015年度までの延べ参加人数は約300名に上り、その一人ひとりが貴重な経験や出会いを通してたくましく成長し、希望に満ちた未来を切り拓いています。

 ここでは、5月7日(土)に開催された「米国NPOインターンシップ 評価研究報告会・交流会」と、6月8日(水)におこなわれた「米国NPOインターンシップ報告会」をレポートします。

米国NPOインターンシップ 評価研究報告会・交流会

米国NPOインターンシッププログラム

平成28年5月7日(土) 星が丘キャンパス 1号館 13B教室、交流ラウンジWEST

アメリカでのワークサイトを通して、学生たちは何を得るのか。
プログラムの成果を検証し、さらなる発展につなげる場となりました。

 米国NPOインターンシッププログラムの開始から20年の節目を迎えた2015年。活動成果を検証し、プログラムの質の向上や価値・メリットの明確化を図るために、交流文化学部助教・森下佳南先生が「米国NPOインターンシップ評価研究」をおこないました。アメリカでの経験を通して意識・行動にどんな変化があったか、卒業後のキャリア形成にどう影響しているか、1996年度から2014年度にかけて本プログラムに参加した修了生を対象にアンケート調査を実施。その結果を分析・考察した論文をもとに、5月7日(土)に評価研究報告会・交流会が開催されました。会場の大教室に集まったのは、約40人の在学生・卒業生たち。本プログラムを修了したメンバーであり、久しぶりの再会に喜び合う姿も見られました。

米国NPOインターンシッププログラム

米国NPOインターンシッププログラム

【報告会】

 日々の学修やさまざまな課外活動、進路選択、そして自分の人生そのものに対して、目的意識をより明確にして行動するようになった――アンケート調査で明らかになったのは、多くの修了生に起きたポジティブな変化です。森下先生は、評価研究の内容についてスクリーンを使ってわかりやすく伝えました。「自分自身が得られたものと、変化」に関する回答では、「自信」「積極的な行動力」「他者・多文化への思い」「多面的な視野」「人とのつながり」などの言葉が目立ち、「本プログラムが自分のキャリアを考え、次にとるべき行動への原動力になったことが読み取れます」と森下先生は説明しました。異国の地での挑戦は、実践的な英語力、行動力、問題解決力、異文化理解力などを伸ばすだけでなく、考え方、学び方、働き方、生き方をも変える経験となります。こうした本プログラムの価値を学生・卒業生、教職員が共有する、有意義な報告会となりました。

米国NPOインターンシッププログラム

米国NPOインターンシッププログラム

【交流会】

 カラフルな内装にリニューアルした交流ラウンジWESTにて、立食パーティー形式の交流会が開かれました。報告会に集まった在学生・卒業生、教職員が話に花を咲かせ、親睦を深めながら互いに刺激し合っていました。

 本プログラムは、国際交流センターが主催であり、全学生対象です。文学部英文学科や交流文化学部をはじめ、全学部・学科の学生が意欲的に参加してきました。文学部国文学科の卒業生は「現地の幼稚園や小学校でボランティア活動し、子どもたちが楽しめる遊びを日々実践していました。その経験が、イベント企画に携わる現在の仕事に通じています」とにっこり。また、福祉分野で起業した福祉貢献学部の卒業生は「NPO米国インターンシッププログラムの魅力は、4か月間の事前研修があること。英語が苦手だった僕も語学力を高めることができ、ホームレス支援センターで現地のさまざまな人と一緒に働くことができました」と当時を振り返りました。

 インドでストリートチルドレンの支援活動に力を注ぐ。アメリカの日系企業で活躍する。文部科学省で英語の教科書調査官として働く。公立中学校の英語教員として生徒と向き合う......本プログラムで世界に目を向け、将来と向き合った卒業生一人ひとりが、国際社会、地域社会のあらゆる場所で自分らしい道を歩んでいます。その輝く姿は、学生たちにとって新たな一歩を踏み出す勇気になることでしょう。

【米国NPOインターンシッププログラム創設者・榎田勝利先生のメッセージ】

子どもたちが笑顔で生きていけるように、世界で行動を起こし続けたい。

榎田 勝利先生(2016年3月、愛知淑徳大学交流文化学部教授を退職)

榎田 勝利先生

榎田 勝利先生

 1986年、アメリカ・国務省に招待され、13か国の専門家とボランティア活動について議論しました。そこで出会った人々との縁が、「米国NPOインターンシッププログラム」を立ち上げたきっかけです。約4か月の事前研修で「何ができるのか」「何がしたいのか」をじっくりと考えた上で、約1か月間、アメリカ社会で働き、生活する。すると、学生は見違えるほど成長します。多様な人や文化と出会い、「私はどう生きるのか?」と考え、自分にとって大切な生き方を見つけようとするからでしょう。

 私は約20年の教員生活に区切りをつけた今、世界の子どもたちのために自分の時間を使っていこうと思いを新たにしています。学生・卒業生の皆さんも「個」を確立して、変化を起こし続けてください。笑顔で自分らしく生きてください。皆さんと出会えたことは、私にとって宝です。

2015年度 米国NPOインターンシップ報告会

米国NPOインターンシッププログラム

平成28年6月8日(水) 星が丘キャンパス5号館53A教室

参加学生たちがアメリカでの経験や出会いについて語り、
新たな一歩を踏み出すことの大切さを伝えました。

 2015年度の米国NPOインターンシップには、12人の学生が参加。ホームステイをしながら小学校やホームレスのシェルター、乳幼児保育施設などで活動しました。このプログラムの特色のひとつが、約4か月にわたる事前研修。「目的意識を明確にする」「アメリカで必要な語学力をできる限り高める」など、出発前の準備を徹底的におこなうからこそ、約1か月間のプログラムがより実のあるものになります。

 そして6月8日(水)には事後学修の一環として、参加学生たちが主体となって「帰国報告会」を開催。代表学生4人がスクリーンを使い、「NPOインターンシップとは?」「語学留学との違い」「ワークサイト/ホームステイについて」「平日/休日の過ごし方」などについてプレゼンテーションしました。

米国NPOインターンシッププログラム

米国NPOインターンシッププログラム

 「ボランティア活動や国際交流に関心がある人、誰かのために役に立ちたいと思う人、自分に何ができるのか探したいという人、チャレンジ精神がある人......こうした人たちに、米国NPOインターンシップに参加してほしいと思います」

 「約1か月、アメリカでさまざまな人種の人たちと出会い、異文化交流の素晴らしさを体験しました。 "相手のことを理解したい!""自分の思いを伝えたい!"という強い気持ちによって、苦手だった英語でのコミュニケーションも楽しめるようになりました」

 「アメリカの小学校でワークサイトして、視野が大きく広がりました。卒業後、エアライン業界で働きたいと考えていましたが、海外勤務や教職への興味がわいてきたのです。自分の"今""将来"を見つめ直すいい機会になりました」

米国NPOインターンシッププログラム

米国NPOインターンシッププログラム

 実感のこもった言葉の数々は、プログラム参加を検討中の学生たちの心に響いたようです。さらに、交流文化学部助教・森下佳南先生は「私も愛知淑徳大学在学中に、この米国NPOインターンシッププログラムに参加しました。当時、一歩を踏み出していなければ現在の自分はないと思えるほど、かけがえのない経験や出会いが得られました。きっと皆さんにとっても、人生をより豊かにするチャレンジになるはずですよ」とメッセージ。今回の報告会で共有した一人ひとりの熱い思いが、学生たちのさらなる成長を促していくことでしょう。