巡回展：2016年7月23日（土）～8月7日（日）　愛知淑徳大学 長久手キャンパス 8号棟5階 プレゼンテーションルーム
講演会：8月3日（水）　ナディアパーク11Fアートピアホール

学生たちが建築家・三分一博志氏の展覧会を設計・運営。
実践的な活動を通じて、空間設計の奥深さや醍醐味を知りました。

　愛知淑徳大学 長久手キャンパスの8号棟にあるプレゼンテーションルームを会場に、「デザインワークショップⅠ」を受講した3年生が、「TOTOギャラリー・間」で開催された三分一博志氏の展覧会を「愛知巡回展」として再構築。会場計画から施工まで、すべて学生たちが手がけ、日本を代表する建築家とのプロジェクトを成功に導きました。

　三分一氏は展覧会のタイトルにもなっている風や水、太陽を「動く素材」と呼び、「建築がいかにして地球の一部になりうるか」を一貫したテーマとして掲げています。そのため、徹底的に実験や施工予定地の観察を繰り返していくのが、作品づくりのスタイル。そんな三分一氏の「建築観」を愛知巡回展でも表現し、来場者に伝えようと、学生たちは「実験用の模型や器具」と「実験や観察の様子を記録した動画」を同時に見ることができる空間を設計。

　8月3日（水）には、三分一氏ご本人が本学に来場し、愛知巡回展を見学。学生から企画意図や設計の工夫などの説明を受けながら会場内を見て回り、「ふきぬけの空間に無数の吹き流しをつるしたのであれば、その様子を24時間記録して、風の流れのデータをとってみるとおもしろいかもしれません」、「自分のやっていることを表現することが苦手なので、とても興味深く感じました」と次々とコメント。会場見学の後におこなわれた交流会では「来年おこなわれる自身の展覧会でも、みなさんのアイデアを参考にしたい」と最高の褒め言葉をいただきました。

　聴講者600名を超える規模となった講演会では三分一氏ご自身が考える「動く素材」と「建築」の関係についてレクチャー。「地球にも人にも認めてもらえる建築を創造したい」と語った三分一氏は、動く素材を目で見て感じて欲しいと考えた「宮島弥山展望休憩所」、樹氷をテーマに何度も実験を繰り返して完成させた展望台「六甲枝垂れ」、自然の力を活用した空調管理や水質浄化システムを導入した「犬島精錬所美術館」、2年半の歳月をかけてリサーチをした直島の個人宅とホールなど、次々と作品について解説し、ご自身の建築に対する考え方を伝えました。

　展覧会の空間設計や施工、そして講演会を通じて三分一氏の建築に対する思いを深く理解した学生たちは、会場を完成させる中で鍛えられたチームワーク力や提案力はもちろん、建築を地球規模野視点で捉える力をこれからの空間設計や卒業制作において、大いに発揮していくことでしょう。