追究

2016年09月28日

創造表現学部 特別講義「経済産業省のキャリアを捨て、はじめた超小型電気自動車ベンチャーの挑戦」

創造表現学部 特別講義「経済産業省のキャリアを捨て、はじめた超小型電気自動車ベンチャーの挑戦」

平成28年7月27日(水) 長久手キャンパス812教室

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、
ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

 愛知淑徳大学の創造表現学部は、豊かな自己表現と情報発信によって実社会の諸問題にも適切な対処ができる人材の育成を目標にしている学部です。小説や詩歌などの文章表現、映像やウェブ制作などのメディア表現、建築・インテリアデザインなどの空間表現に関心を持つ学生が多く集まります。そんな創造表現学部の1年生の授業の一つが「知的財産権」(担当:鈴木恵美講師)。著作権を中心とした知的財産権について学ぶこの授業の最終講義に、ゲストスピーカーとして株式会社rimOnO 代表取締役社長 伊藤慎介氏とドリームスデザイン株式会社 代表取締役社長 奥村康之氏をお招きし、ベンチャー企業の社長として「超小型電気自動車」に関わるご自身の経験をテーマに、ご講演いただきました。

 「経済産業省のキャリアを捨て、はじめた超小型電気自動車ベンチャーの挑戦」という演題にあるように、もともと経済産業省で働いていた伊藤氏。電気自動車の電池の質を上げるための国家プロジェクトに関わり、電気自動車の可能性を大いに感じていた2012年の頃、電気オートバイを町工場がつくりあげたというニュースを知ります。大企業でなくとも乗り物という高度な製品をつくれることに感動した伊藤氏は、「自らの手で、自分が本当に欲しいと思える乗り物を創ろう」と決意し、2014年の秋、株式会社rimOnOの設立に至りました。乗り物(NORIMONO)から「NO」を取って「rimOnO」と名付けたプロジェクトには、伊藤氏の思いに共感した奥村氏ら仲間たちが次々と集まり、2016年5月20日、布でできた2人乗りの超小型電気自動車が完成・お披露目となりました。

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

 伊藤氏は自分たちの仕事に対する姿勢を「大人が真剣にバカをやっている」と表現。「バカとはつまり、それだけ見返りを求めず愛情を注ぐことができて、寝食を忘れて打ち込める何かに一生懸命になれるということ。そんな、ものづくりに対する熱い気持ちを忘れないことに加え、さらに欠いてはいけないのが"消費者の感覚"です。自分が一消費者として心の奥から欲しいと思えるものを追求し、つくりだすことをめざしてください」と学生たちにエールを送りました。

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

 また、数々のシート設計を手掛け、その特許を取得してきた奥村氏からは、「なぜ?」と興味を持ったことに、とことんチャレンジすること、そしてやり切ることが次に繋がるとのお話がなされました。

 実は、このrimOnO誕生までも、「なぜ?」と、飽くなきチャレンジの連続だったそう。デザイン案に、どこか納得のいかない伊藤氏。そのモヤモヤに応えたのは、奥村氏が先んじて取り掛かった原寸大の模型だったという製作秘話が明かされました。チャレンジしたら、とことんやり遂げる。新たなモノを創造するチャレンジは、決して平坦な道ではないが、"おもしろい" という想い、世の中に笑顔を増やしたいという強い気持ちが、自らをわくわくの世界に駆り立て、皆がわくわくするモノを創り出す原動力となる。人のパフォーマンスを最大限に引き上げ、挫折をも凌ぐ、知的好奇心の効用が実体験に基づいてお話されました。

 国家プロジェクトを主導してきた経験からモノづくりを志した伊藤氏と、モノづくりの現場を歩んできた奥村氏との出逢いにより生まれてきた小さな小さな自動車。

 この自動車に込められた大きな大きなストーリーが紹介された本講義を通じ、学生たちは、知的財産を生み出す場面はもとより、それを護り、社会の中で育てていく過程にも触れ、自分たちの将来に広がる選択肢を体感したことでしょう。

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

電気自動車づくりに情熱を注ぐベンチャー企業の社長から、ものづくりに欠かせない視点や心構えを学びました。

 講演後には、完成したばかりの超小型電気自動車に試乗した学生たち。乗り心地はもちろん、スカイブルーの車体に真っ赤なステッチがほどこされているかわいらしい見た目にも注目があつまりました。

 ベンチャー企業を立ち上げ、真摯にものづくりに向き合う伊藤氏及び奥村氏のお話は、同じくものづくりに関わりたいと願う学生たちの良き先輩のお話として、深く心に刻まれたことでしょう。