追究

2017年03月22日

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

2017年1月20日(金) 長久手市文化の家「森のホール」

子どもたちに感動と勇気を与えるミュージカルづくりに
教育学科の4年生が挑みました。

 教育学科4年次に開講される「総合表現」の授業では、毎年学生たちが1年間かけてミュージカルづくりに取り組みます。学生たちが創り上げるミュージカルは、脚本も、演出も、大道具も、衣装も、すべてがオリジナル。舞台監督やキャスト、照明、オーケストラなどの役割に分かれながらも、学生たちは4年間で培った教育の知識やスキル、経験などを生かし、全員でアイディアを持ち寄りながら作品を完成させます。その中で、教員として欠かせない表現力や実践力、リーダーシップなどを養っています。
 2016年度の履修者45名が題材として選んだのは「ヘンゼルとグレーテル」。物語を通じて子どもたちに仲間を信じる大切さや勇気を出して行動することの素晴らしさを伝えるミュージカル「おかしのいえ」を創作し、1月20日(金)長久手市文化の家「森のホール」に長久手市の小学生をお招きし、その作品を披露しました。

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

 物語はヘンゼルとグレーテルが迷い込んでしまった森から帰ろうと奮闘するストーリーを軸に展開。二人を探すお父さんとお母さん、森の妖精など個性豊かな登場人物が歌ったり踊ったり、時には子どもたちが座る席に登場したり、さまざまな演出で物語を盛り上げます。音楽はオーケストラによる生演奏で雰囲気たっぷり。魔女役の迫真の演技には思わず「怖い!」と声をあげてしまう子も。クライマックスで魔女をやっつけるシーンでは、子どもたちとともに魔法の呪文を唱え、会場が一丸となってヘンゼルとグレーテルを助けました。その後、敵対していた魔女とヘンゼルとグレーテルがお互いの気持ちを語り合い、仲直りをしてハッピーエンド。物語の世界に引き込まれ、息を呑んで展開を見つめていた子どもたちも、最後は大きな拍手で学生たちの思いに応えました。子どもたちの輝く笑顔に触れた学生たちは4年間の集大成となる舞台の成功を実感し、喜びや達成感を分かち合いました。この成功体験は学生たちに大きな自信を与え、仲間と共に学び合い、高め合うことの素晴らしさを胸に携えて社会で活躍するための糧になることでしょう。

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

演出・脚本担当
文学部 教育学科 4年 武田 彩さん

 このミュージカルのテーマは「一人ひとりがかけがえのない存在である」ということ。そのため、脚本も主人公だけを目立たせるのではなく、すべてのキャラクターに見せ場をつくりたいという思いで書き上げました。また、例年のアンケートから子どもたちの声を拾い上げ、人気の「戦いのシーン」や「流行のギャグ」などを取り入れて、子どもたちが飽きないように工夫しました。創作の支えになったのは4年間、授業や実習で身につけた知識や経験、それに仲間の存在です。45人という大所帯で、一つのものを創り上げるためには、情報をスムーズに共有したり、意思疎通を積極的にしたり、遠慮せずに自分の意見を言ったり、さまざまな配慮が必要で難しさも感じましたが、この春から教育現場で先生になる前に経験できたことはとても大きな財産となりました。1年間仲間とともに協力しあった日々を自信に変えて、「先生」として活躍していきたいと思います。

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」

文学部 教育学科 浅田まり子 教授

 今年の題材に選んだのは「ヘンゼルとグレーテル」です。現在は物語の主人公の子どもたちのように、貧困に苦しむ子どもたちの存在が大きな社会問題になるなど、教育者にとって難しい時代を迎えていると思います。そんな社会の荒波に飲まれることなく、一人ひとり力強く生き抜いてほしいという思いを込めて、選んだ題材でもあります。学生たちは見事、その思いに応えてくれました。教員採用試験や卒業論文執筆の合間を縫って、真摯に作品に向き合い、仲間と協力することでいくつもの壁を乗り越えることができました。今日、学生たちがいきいきと役を演じ、心を込めて楽器を演奏する姿を見て、彼らの中に確かな手応えが生まれたのだと実感しています。この一年間で、悔しい思いをしたり、褒められて嬉しい思いをしたり、たくさん心を動かしたことを忘れず、これからは社会の中で子どもたちのお手本となれるような人間に育っていってほしいと願っています。

教育学会主催 子どものためのミュージカル「おかしのいえ」