追究

2017年05月01日

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

2017年3月7日(火)~12日(日) 愛知芸術文化センター アートスペースX

電子工作やプログラミングの技術を駆使して創り上げた作品を
萩原ゼミの学生たちが披露しました。

 愛知淑徳大学 メディアプロデュース学部※の萩原ゼミは、映像メディアを用いて新しい表現を探求するゼミです。作品を創り上げることだけに重点を置くのではなく、学外でさまざまな展示会やプロジェクトをおこなうことで、作品ができあがるまでのプロセスを論理的に捉えて第三者に説明する力や、物事を多角的に捉えておもしろみを発見する力を鍛えています。このゼミの1年間の締めくくりとなるのが「研究成果発表展」です。2016年度は3月7日(火)~12日(日)に愛知芸術文化センターでおこなわれ、4年生の卒業作品や3年生の進級作品が展示されました。さらに1年間の活動を振り返るアーカイブや卒業論文の閲覧スペースが設けられ、萩原ゼミのバラエティ豊かな活動を凝縮したような個性が光る展覧会となりました。

※2016年度より創造表現学部に名称変更。

作品紹介(一部抜粋)

「alt」メディアプロデュース学科 4年 小木曽 護さん

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

 もともとヒーロー物の特撮作品が大好きで、以前、特撮の要領を真似てコピー用紙で街を再現し、ビルを壊す作品をつくりました。その時に「カメラを通したときの見え方の変化」に興味を抱き、卒業制作でも「実物と映像を比べられる作品」を制作しました。3Dプリンターを活用して模型をつくり、さらにその模型をカメラで撮影して映像化します。そして模型と映像を並べて表示することで、両者を比較できるようにしました。苦労したのは模型の動きと映像の動きを同期させること。プログラミングの方法を独学で調べ、時には先生にアドバイスをいただき、トライアンドエラーを繰り返してようやく完成に至りました。現在は電子工作を活用した創作をもっと突き詰めたいという思いが募り、大学院への進学に向けて受験中です。このゼミで出会うことができた「自らの興味」をこれからも追究していきたいと思います。

「trace the trauma」メディアプロデュース学科 4年 鈴木 智捺さん

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

 人の思い込みをなんとかアニメーション作品として表現できないかと考え、創り上げた作品です。「思い込み」というキーワードを紐解く中で行き着いたのは、「トラウマが"人の思い込みや先入観"に大きな影響を与えているのではないか」ということ。私自身、幼少期にホラー映画を見たことで、それ以来苦手になってしまったので、あえて卒業作品の題材として取り上げることにしました。いくつかの有名な作品を選び、主人公が逃げるシーンを私自身が演じて、その様子をビデオで録画。その映像をトレースして、アニメーション作品に仕上げました。こだわりは「手描きアニメーション」という手法です。手書きというアナログなものと、デジタルの技術を組み合わせることで自分らしい表現に仕上げようと心掛けました。この作品を見た人が「思い込みや先入観の不思議さ」を感じてもらえれば嬉しいです。

「Liner」メディアプロデュース学科 4年 庭瀬 幸佳さん

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

 シンプルなデザインが好きで、必要最小限の要素でアニメーション作品がつくれないかと考えました。そこで着目したのが「ライン」。一本のラインが物体を沿うように動くことで、その物体の形が浮き上がるアニメーションをつくりました。人間には「資格情報を過去の経験をもとに脳が計算して、その物体が何か推測し、認知する」能力があることにも着目して、単なる直線の軌道だけでも、物体が推測できると予想したのです。手書きのラインにするのかコンピュータで描いたラインにするのか、白地に黒いラインにするのか黒字に白いラインにするのか、何度も検討を重ね、見る人が「認知できるかできないか」というギリギリの線を探りました。完成した時に達成感を感じる一方、もっと突き詰めたいという思いも芽生えました。卒業制作やこのゼミの2年間の活動で磨いた表現力や探究心は、きっと社会でも役立つと思います。

「Storage and landscape」メディアプロデュース学科 4年 八田 晃子さん

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

 「人の記憶の曖昧さを伝えたい」、「線画アニメーションをつくりたい」。その両者の思いを表現したいと思っていたのですが、やりたいことが多く、最初の頃はどのようにしたらいいのか検討を重ねる日々が続きました。萩原ゼミは作品とともに論文制作にも取り組むので、その過程で自分の考えを論理的に捉え、整理整頓することができ、方向性が決まってからは一気にスパートをかけることができました。今まで自分が撮りためた動画や写真を3色ボールペンでなぞり、その線をパソコン上で抽出。赤や青は強く記憶に残っているもの、黒はあまり記憶に残っていないものというルールのもと描き分け、その線が動画や写真上で動くというアニメーションをつくりました。やりたいことをすべて作品に落とし込むことができ、実現できたことは自分の中で確かな自信となりました。これから社会で活躍する際も、大きな糧になりそうです。

代表学生コメント

メディアプロデュース学科 4年 佐野 史織さん

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

 第1期生から歴代続いている「研究成果発表展」ですが、今年は初めて3年生を含む全員の作品を展示しました。萩原ゼミのメンバーの作品は「メディア表現」という枠組みはあるのですが、一人ひとりの表現の手法も完成品の形も異なり、個性豊か。そのため展示方法も一律にするのではなく、作品一つひとつの特徴を考えながら設置しました。また、このバラエティ豊かな作品を一見するだけでは、一般のお客様にとっては「何をやっているゼミなんだろう」と思われるかもしれません。そのため萩原ゼミでは、作者が作品の魅力や概要についてわかりやすく一般的な言葉で解説することに力を入れています。この研究成果発表展をはじめ萩原ゼミのさまざまな展示会で専門用語はできだけ使わず、誰もがわかるように説明を繰り返す中で、プレゼンテーション能力や相手の話に耳を傾ける力が磨かれたと思います。ゼミでの2年間は、とても充実していました。この経験を財産にかえて、社会でもがんばっていきます。

メディアプロデュース学科 萩原 健一先生

メディアプロデュース学部 萩原ゼミ 研究成果発表展「 pro|motion exhibition」

 作品づくりに取り組むことで、人生を豊かにするための「視点」が身につくと考えています。それは世の中の何気ない出来事や日常の一瞬に対して、「おもしろそうだな」「楽しそうだな」と感じられる嗅覚のようなもの。人生の中でいろんな気づきが得られるような人に育ってもらえればと願っています。また、気づきの対象は「世の中」だけではなく、自分自身にも向かってほしいと思っています。「自分はなぜこの表現が好きなのか」「自分はなぜこの作品をつくりたいと思ったのか」。常に考え、自分自身に問いかけ続けることで、物事を論理的に捉える力が磨かれるでしょう。それを一般の人に対して語ってみる。通じることもあれば、通じないこともあるはずです。そうやって成功や失敗を繰り返す中で、このゼミでの経験が人生の糧になれば。こんなに嬉しいことはありません。