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2017年05月02日

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

平成29年3月4日(土) あいち福祉医療専門学校2号館講堂(名古屋市熱田区)

未来の担い手である子どもたちに「認知症」をどう伝えるか。
学生が教育プログラム・教材を考案し、福祉フォーラムで発信しました。

 世界でも類を見ない超高齢社会となっている日本。国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の人口割合は2025年には約30%、2060年には約40%にまで高まると推計されています。2015年度には介護保険制度が改正され、高齢者の生活支援・介護予防をおこなう新たな総合事業が各市町村で進められています。多様な世代の活力があふれる健康長寿社会をめざして、今後ますます重要になってくるのが、"地域における支え合い体制"です。3月4日(土)にNPO法人あいち福祉ネットが開催した「福祉たすけあいフォーラム」では、地域の一人ひとりが福祉を自分事として受けとめ、それぞれの立場から"できること"を実践していくための「福祉教育」のあり方が話し合われました。このフォーラムで活動報告をおこなったのが、福祉貢献学部 福祉貢献学科・黒川ゼミの3年生。社会福祉を学ぶ彼らは、NPO法人あいち福祉ネットのご協力のもと、2016年秋ごろから認知症に関する教育プログラム開発に励んできました。

 「認知症への正しい理解や当事者・ご家族への支援を広げるための教育活動を、自分たちで考えたい!」そうした思いを抱いた黒川ゼミの学生たちは、小学生・中学生を対象とした教育プログラム・教材の企画・制作に約半年間かけて取り組みました。フォーラムでは、その成果を「認知症の見守り力教育活動モデルケース」として報告。「小学生低学年向け」「小学生高学年向け」「中学生向け」の3つのグループに分かれて進めた活動を、スライドを使ってわかりやすく紹介しました。会場に集まった福祉関係者の方々は「高齢者福祉に関して、若者の皆さんが主体的に活動してくれることを大変嬉しく思います」と語り、学生が考案した福祉教育を高く評価。活動のさらなる発展に対して数多くの期待が寄せられました。

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

 また、フォーラムではパネルトーク「地域の支え合い体制づくりにむけて、『私』ができること」も開催されました。厚生労働省やNPO法人の方々とともに、福祉貢献学部 福祉貢献学科 社会福祉専攻3年生・岩田望来さんと梅田愛加さんもパネリストとして参加。岩田さんは「私たち学生ができることは、ボランティア活動や実習で"現場"に出て福祉の実情を学び、社会の課題に気づくこと。そして、さらに学びを深め、その知識・情報を多くの人に伝えて、支え合いの輪を広げていくことが重要だと考えています」、梅田さんは「認知症になったとしても適切なサポートがあれば"できること"がたくさんあります。今回のゼミ活動を通して、認知症への偏見をなくすためにも正しい情報発信が大切だと実感しました。だから私も、地域活動に積極的に参加し、人と人のつながりを強めたいと思います」と力強く発言しました。

 地域の人と人とが互いに支え合い、誰もが歳を重ねても自分らしく暮らすことができる――そうした日本の明るい未来は、子どもからお年寄りまで一人ひとりのチカラによって実現されます。今回の黒川ゼミの活動は、その一歩をやさしく後押しするもの。学生たちは福祉の学びを社会にどう還元し、人々の笑顔を支えていくか、自分自身がめざす未来も深く考えたことでしょう。

黒川ゼミ3グループが企画・発表した「認知症の見守り力教育活動」

小学生低学年向けプログラム(紙芝居/クイズ)
「もしも桃太郎のおじいさんが認知症になったら...」
目的:子どもたちに高齢者を身近に感じてもらい、助け合いの精神を持ってほしい。

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

 子どもたちに馴染み深い「桃太郎」をベースに、オリジナルの紙芝居を作成。認知症になったとしても「できることがある」というポジティブな表現に留意してストーリーをまとめました。さらに、理解者や相談者の存在が重要だと伝え、子どもたちが祖父母や地域の高齢者への思いやりの心を育めるよう留意しました。

小学生高学年向けプログラム(紙芝居/認知症の説明)
「サッカー少年とおじいさん」
目的:認知症がどんな病気かを知ってもらい、祖父母ともっとお話してほしい。

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

 中学生のサッカー少年を主人公にしたオリジナル紙芝居を考案し、子どもたちがイメージしやすい場面設定やストーリーにしました。「地域みんなで協力することの大切さ」「認知症になっても、その人らしさは変わらない」などのメッセージを盛り込み、認知症の症状や必要なサポートについて学べるよう工夫しました。

中学生向けプログラム(リーフレット/寸劇/認知症の説明)
「認知症(Show)~おじいちゃんとおばあちゃんを支えるのは君だ!~」
目的:認知症の知識を深めて、認知症の方々を支えるに担い手になってほしい。

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

NPO法人あいち福祉ネット主催 福祉たすけあいフォーラム

 「認知症ってなに?」「具体的にはどういう症状?」「日本の現状は?」といったQ&A方式のリーフレットを作成。主な4つの症状は、駅やコンビニなどの身近なシーンを想定して解説し、さらに「良い対応」「悪い対応」を寸劇で紹介。周囲の見守りや手助けが、認知症の当事者や家族の大きな支えになることを伝えました。