追究

2017年05月26日

交流文化学部 授業「観光産業2(観光交流論)」

交流文化学部 授業「観光産業2(観光交流論)」

担当:林 大策 教授

その土地の人や文化との交流を重視し、「観光の新しい価値」を追究します。

 国内外の多様な文化の共生をめざす、交流文化学部。「言語分野」「交流分野」「観光分野」の広範囲にわたる授業を用意し、学生たちの幅広い興味や夢の実現への思いに応えています。その中でも「観光分野」では、観光マネジメントと観光ホスピタリティの両面から追究し、観光の発展に貢献し得る知識や力を養成。観光まちづくりや観光交流を専門とする林先生は、「観光の新しい価値を学ぶこと」を目標に「観光産業2(観光交流論)」を開講しています。
 観光や旅は、いまや名所旧跡やグルメを楽しむだけではありません。地域の伝統や文化を体験し、そこで暮らす人々と交流するという、「体験」「実感」に重きを置いた施設・プログラムが広がりつつあります。この授業では、林先生が調査・研究した日本各地の施設やまち、個人やゼミで協働している自治体のプロジェクトなど、これからの観光産業をリードするさまざまな事例を紹介。学生は日本の観光や地域活性化の課題を知り、その解決策を考察。国内外の取り組みを学びながら多様な価値観と出会い、社会や世界の未来、さらには自分自身の生き方とも向き合います。

交流文化学部 授業「観光産業2(観光交流論)」

交流文化学部 授業「観光産業2(観光交流論)」

2017年度前期の事例研究テーマ

事例研究(1)栃木県足利市~ココファーム・ワイナリーの奇跡
事例研究(2)長野県小布施町~セーラがまちにやってきた
事例研究(3)北海道真狩村~日本で一番遠くて予約の取れないレストラン
事例研究(4)高知県四万十町~いなかビジネス教えちゃる!デザインが地域を変える
事例研究(5)熊本県南小国町~黒川温泉の復活物語
事例研究(6)地元の取り組み[1]~岐阜県美濃市&愛知県高浜市
事例研究(7)地元の取り組み[2]~愛知県豊根村・設楽町・東栄町・新城市
事例研究(8)岩手県遠野市~かっぱの住むまち。「遠野物語」を活用したまちづくり
事例研究(9)宮城県気仙沼市~観光で復興を!チーム気仙沼の試み
海外事例(1)アメリカ・ポートランド~全米一暮らしやすいまちの理由
海外事例(2)アメリカ・ニューヨーク~セントラルパーク&ハイライン
海外事例(3)ニュージーランド・デカポ~星空を世界遺産に!

講義例

事例研究(1)栃木県足利市こころみ学園「ココファーム・ワイナリー」
~知的障がいを持つ子どもたちがつくった奇跡のワインとは~

 「知的障がいのある子どもたちが大人になったとき、働いて、食べて、寝て、社会の中で人間らしい感性を育みながら生きてほしい」。こうした願いのもと、栃木県足利市の中学校で教員をしていた川田昇先生は、1950年代、子どもたちのための教育・福祉に立ち上がりました。こころみ学園を創立し、私財をなげうって山を購入。急こう配の斜面を開墾し、園生が自立して働く場として、シイタケやブドウなどの畑を始めました。さらに「ココファーム・ワイナリー」を設立し、プロの指導を受けてワインづくりに着手。園生たちは立派な農夫に成長し、彼らが生み出すワインは九州沖縄サミットや北海道洞爺湖サミットの食事会で各国の首脳に振る舞われ、高く評価されました。そして、ココファーム・ワイナリーは足利市の山あいのまちに全国各地から多くの人を呼び込む場所になり、農業に打ち込む園生たちは地域の課題解決にも力を発揮しています。

交流文化学部 授業「観光産業2(観光交流論)」

交流文化学部 授業「観光産業2(観光交流論)」

 こうした心を打つストーリーを、写真や動画を交えて伝えた林先生。「『想い』がある人に多くの人が集まり、地域の力となるコミュニティ・ビジネスが確立して、地域の誇りが生まれます。ココファーム・ワイナリーは人々の心を惹きつける地域の観光資源であり、さらに、障がいのある人も地域社会の一員として能力や個性を発揮していく、そんな多文化共生社会の可能性も示しています」と解説しました。学生たちは観光産業や地域活性化の事例として学ぶだけではなく、信念を持って行動を起こすことが、人を、まちを、未来を大きく動かしていくと実感したことでしょう。