追究

2017年07月07日

健康栄養学科 授業風景 管理栄養士概論

健康栄養学科 授業風景 管理栄養士概論

医療チームの一員として
患者の健康と生きがいを支える「病院管理栄養士」とは

 今年度開設した健康栄養学科は、1年次から医療現場などで実習ができる「早期体験学習」などの特長的な学びを用意し、管理栄養士や栄養教諭をめざす学生たちの即戦力を鍛えています。その力を養うために用意された授業の一つが「管理栄養士概論」です。本学に在籍する教授陣がオムニバス形式で管理栄養士の働きや存在意義について紹介するとともに、社会の最前線で働く現役の管理栄養士の方々をお招きし、実情についてご講演いただきます。2017年5月22日(月)には、名古屋大学医学部附属病院 栄養管理部 副部長の田中文彦先生にご登壇いただき、「病院管理栄養士」についてご講演いただきました。

健康栄養学科 授業風景 管理栄養士概論

健康栄養学科 授業風景 管理栄養士概論

医療現場の管理栄養士の仕事

 田中先生はまず、ご自身が勤務されている名古屋大学医学部附属病院の写真を見せながら、立地条件や患者食堂の概要を紹介。その上で、病院食の提供や管理のほかに、患者さんへの栄養指導や栄養管理、医療チームの一員として働くことなどが求められると説明されました。その中で時代の変化とともに、病院で働く管理栄養士の職域が広がっていること、今の管理栄養士には栄養学の知識だけでなく、コミュニケーション能力や提案力など多彩な能力が必要だと説明されました。

患者さんの生きがいにつながる病院食

 病院で働く管理栄養士の全体像について語られた後、田中先生は仕事の詳細を解説。病院食について説明する場面では、糖尿病食、嚥下障害食、ミキサー食、刻み食の写真をプロジェクターに映し出し、それぞれの違いを紹介されました。さらに、名古屋大学医学部附属病院では1回の食事で650~700食を一度に提供していることにも言及。「患者さんは毎回の食事を楽しみにしていますし、食事提供のミスが医療事故に繋がる場合もあります。管理栄養士には強い責任感が欠かせません」と語られました。

健康栄養学科 授業風景 管理栄養士概論

健康栄養学科 授業風景 管理栄養士概論

治療をも支える管理栄養士の役割

 直接患者さんの口にする食事の管理はもちろん、栄養指導も管理栄養士の仕事の一翼を担います。田中先生は具体的な例として名古屋大学医学部附属病院の糖尿病患者に対するバイキング教室について紹介。「患者さん自身が最適なメニューを選び、自身で組み合わせができるようになることがこの教室の目的です」と語られ、特長的な取り組みを写真とともにその内容を解説されました。また、褥そう(じょくそう=床ずれ)対策チームや栄養サポートチームのメンバーの一員として医師や看護師、薬剤師らとともに患者さんの健康を直接支えていることもお伝えいただき、「多職種と協働して患者さんの治療に貢献できることが、病院で働く管理栄養士のやりがいです」と力強くメッセージ。管理栄養士としての新たな一歩を踏み出したばかりの学生たちへのエールとして、その言葉をおくられました。